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LINEがトップでFacebookが続く、動画ではYouTubeが一番…日本のソーシャルメディア実情

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 現実にまで影響を及ぼすようになったソーシャルメディアだが……

LINE、そしてFacebook。ただし動画まで含めるとYouTubeがトップ

ネットを介した意思疎通ツールの主力として君臨しているソーシャルメディア。その利用実態を総務省の情報通信政策研究所が調査結果として2015年5月に発表した「平成26年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」から探る。

利用率を確認するのは主要ソーシャルメディア、具体的にはLINE、Google+、Facebook、Twitter、mixi、Mobage、GREEの計7サービス。さらに動画系のソーシャルメディアYouTube、ニコニコ動画、Vineが2014年分調査から加わっており(今調査は経年的なものとしては今回で3年目)、合計で10サービスとなっている。LINEは厳密にはソーシャルメディアでは無くコミュニケーションサービスだが、今件ではソーシャルメディアとして取り扱われている。

具体的サービス毎の利用状況は次の通り。若年層の利用率が圧倒的に高く、これが後押しする形でLINEが一般的なソーシャルメディアでは最上位となった。

↑ ソーシャルメディアの利用率(2014年、全体比)
↑ ソーシャルメディアの利用率(2014年、全体比)

次いで多いのはFacebook、Google+、Twitter。かつて日本で一世を風靡したmixiだが、今調査の限りでは8.1%のみの利用率。LINEが厳密にはソーシャルメディアと似て非なるものなので、実質的には「国内利用率ナンバーワンのソーシャルメディアはFacebook」となる。

他方、動画系のソーシャルメディアまで含めれば、LINE以上の利用率を示しているのがYouTube。全体(13歳~69歳)の2/3近くが利用している。LINEが比較的若年層で利用が集中しているのに対し、YouTubeは幅広い年齢階層で使われているのが、全体の利用率を押し上げた原因である。

これを世代別に見たのが次のグラフ。

↑ ソーシャルメディアの利用率(2014年、世代別、全体比)
↑ ソーシャルメディアの利用率(2014年、世代別、全体比)
↑ ソーシャルメディアの利用率(2014年、世代別、全体比)(動画系)
↑ ソーシャルメディアの利用率(2014年、世代別、全体比)(動画系)

LINEが40代にまで浸透し、特に20代の利用率(9割)は圧倒的。40代ですら6割がLINEを活用中。これらの値はインターネット利用者、携帯電話利用者限定では無く、該当する世代全体比であり、例えば全30代の7割近くはLINEを利用している計算になる。

10代では意外にもTwitterがLINEに続き、20代・30代ではFacebookが続いている。実名・実肖像主義のFacebookは日本では浸透しないのではないかとの話もあったが、この値を見る限りそれは単なる杞憂だったようだ。

40代以降になると全般的にソーシャルメディアそのものの利用率が低下する。50代ではそれでもLINEやFacebookなどが2割から3割程度の利用率をキープしているものの、60代ではよくて1割程度の状況となる。利用端末そのものの普及率の低さも一因だが、シニア層ではデジタルにおけるコミュニケーションは電子メールが主流であり、ソーシャルメディアにはまだ手が及ばない。

動画系ソーシャルメディアになると、YouTubeの幅広い年齢階層における利用状況が見て取れる。30代までは8割台、40代でも2/3、50代でも過半数が利用している。60代ですらほぼ1/4。豊富なコンテンツの実装に加え利用ハードルが低く、ブロードバンドでインターネットにアクセス可能な環境であれば、会員登録の必要すら無くほぼ利用できるのが強みではある。

1年の変化を探ると

今調査項目は1年前の分、つまり2013年分の値も公開されており、1年間でどの程度利用率に変化が生じたのかを確認できる。なお前年では動画系サービス3つは回答項目に無いので、比較が出来ない。

↑ ソーシャルメディアの利用率(2014年、世代別、全体比、前年比)
↑ ソーシャルメディアの利用率(2014年、世代別、全体比、前年比)

40代から50代にかけてのLINEの成長ぶりが著しい。30代まではすでに高い利用率を示し、伸びしろが少ないための伸び悩みで、成長の主力が中堅層にシフトした形。

Google+が若年層で大きく減退しているが、これは2013年分の調査において調査様式に一部不具合的なものがあり、過大な値が出たことの反動。Google+離れが起きたか否かは、次年以降の調査結果を待つ必要がある。

Twitterは30代までの利用が急増。利用スタイルがLINEに似ていることから、それが若年層から好かれたのかもしれない。他方同じ若年層をターゲットにしているMobageやGREEは若年層の利用が減っている。

mixiは40代までで減少を示しており、特に20代の下げ方が著しい。同じ利用者がそのまま経年によるシフトを起こす場合は10年単位で起きるので(今件年齢階層の仕切りは10年)、この動きは純粋に既存利用者が脱会する・利用しなくなる事例が20代を中心とした若年層で多数発生しているものと考えられる。50代以降ではほとんど起きていないマイナス基調が10代から30代で頻発している状況を見ると、mixiの利用者がLINEやTwitter、Facebookに移行したと考えられよう。

LINEの中堅層への浸透やFacebookの健闘、Twitterの若年層への普及、若者のmixi離れなど、興味深い動きがあるが、これらの動きは前年2013年分からのものであり、単年のイレギュラー的なものでは無い。来年はさらにこれらの動きが進むに違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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