Yahoo!ニュース

中国は好きか嫌いか、世界各国の人に聞いてみた

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 諸外国の国民による中国への印象は……

全体では中央値で好意派が55%

現在の国際社会においては、いわゆる超大国・スーパーパワーたる国と呼べるのはアメリカ合衆国と中国とする意見が多い。その一方の国、中国に対し諸外国の国民はどのような印象を持っているのだろうか。アメリカ合衆国の民間調査機関Pew Research Centerが2015年6月に発表した世界規模の調査結果「Global Publics Back U.S. on Fighting ISIS, but Are Critical of Post-9/11 Torture」を元に確認していく。

次に示すのは中国に対しどのような印象を持っているかを尋ねたもの。中国以外の国に対する好感度は考慮せず、単に中国への想いを語ってもらっている。とても好き・そこそこ好き・それなりに嫌い・とても嫌い・分からない、回答拒否の5選択肢から1つを選択してもらい、そのうち好き系統2つを「好き派」、嫌い系統2つを「嫌い派」で単純加算して集計した結果。全体の中央値は55%が好き派、34%が嫌い派との結果となった。

画像
↑ 中国をどう思うか(2015年春)
↑ 中国をどう思うか(2015年春)

北米では嫌い派が好き派をやや上回っているが、西欧ではフランス、イギリスが好き派上位となっている。とはいえ大きな違いは無い。東欧ではロシアもウクライナも中国には好意的。中東ではイスラエルの好意派の多さがやや違和感を覚えるが、好意を持つ国は多く、ヨルダンやトルコなどの嫌悪派の多さが逆に目立つ。

アジア地域では各国の普段からの中国との関係が大きく反映される形となっている。パキスタンやマレーシア、インドネシアでは圧倒的に中国への好意が強く、韓国やオーストラリアもそれなり。フィリピンやインドは均衡かそれに近いが、ベトナムや日本では嫌悪派が圧倒的多数を占めている。

南米では大よそ好意派が多く、アフリカでは他地域に見られないほどの圧倒的な好意的印象が目に留まる。経済面での投資効果が多分に効いている様子がうかがえる。

個人の自由は尊重されているだろうか

中国に係わる話が持ち上がった時に、必ず注目されるのが、同国における人権問題。元々同国は数少ない独裁国家を自称する国であり、同国民における自由の権利も他国と比べることは難しい(この基本的な点を忘れている、目をつむっている人が多いのも事実)。そこで、中国は同国における国民の個人的な自由を尊重しているか否かを聞いたところ、全体では守っているとした人は34%に留まり、そうでないとの意見は45%に達する結果となった。

画像
↑ 中国は自国民の個人の自由を尊重していると思うか(2015年春)
↑ 中国は自国民の個人の自由を尊重していると思うか(2015年春)

中国そのものへの印象同様、数量的な基準が無く、多分に回答者自身の国との比較で判断していると考えられるが、北米・西欧は大よそ否定派、ウクライナは否定派でロシアは肯定派。中東ではイスラエルとトルコが否定派でそれ以外は肯定派、アジアでは対中親和度が低い国ほど否定率が高い結果が出ている。

この傾向は南米やアフリカでも変わらず、親和度の高い国ほど中国は自国民の自由を尊重しているとの意見が強いものとなっている。ただアフリカではほぼ一様だが、南米ではチリやベネズエラで肯定派が多く、ブラジルやアルゼンチンでは少ない。人権、国民の自由に係わる考え方の違いも反映されているのかもしれない。

ちなみに日本は否定派93%。好き嫌いの項目でも嫌い派は89%で、今回調査した40か国の中では一番となっている。また中国自身は今件項目では質問自身が設定できなかったようで、回答データは無い(同様の設問はアメリカ合衆国を対象としても行われているが、その項目ではアメリカ合衆国の国民自身も回答している)。これは以前新聞通信調査会が実施した「諸外国における対日メディア世論調査」と同じ状況で、中国の実態を知る結果といえよう。

■関連記事:

答えは二極化+1、日本を信頼できるか好感を持てるか

安倍外交をアジア・アメリカはおおむね評価、反発するは中韓のみ

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事