ソーシャルメディアの利用目的って何だろう
8割強は「知人との交友」
スマートフォンの普及で利用浸透が加速化したソーシャルメディア。コミュニケーションに新たな時代を開くこのサービスについて、人々はどのような目的で利用しているのだろうか。総務省が2015年7月に発表した「通信利用動向調査」の公開値を基に確認する。なお今件における「ソーシャルメディア」だが、広義では該当する掲示板や動画投稿・共有サイト、ブログは考慮外とする(別項目で存在するため)。またLINEなどのようなチャット系コミュニケーションサービスは世間一般的にはソーシャルメディアに含められており、回答者も事前説明が無ければ多分にソーシャルメディアと判断することから、該当するものと見なす。
今調査によればソーシャルメディアの利用率は、インターネット利用者においては47.3%(無回答者除く、以下同)。
世代別では20代がもっとも利用率が高く7割超え、40代までは過半数で、50代でも1/3を超えている。むしろ60代以降でもインターネット利用者の2割前後が利用している実態には驚かされる(ただし高齢者にとっては、インターネットの利用そのものが高いハードル)。
それではソーシャルメディア利用者は、何を目的としてアクセスしているのか。全体的な回答が次のグラフに示されているが、最上位の同意率を示している項目は「従来からの知人とのコミュニケーション」。つまり利用者のうち85.0%は、ソーシャルメディアで身近な知人とのお話、交流を望んでいることになる。
これは手紙やメール、電話と比べると利用ハードルが低く、気軽にコミュニケーションができるのがポイントとなり、多くの人に使われていると見て良い。また、自分の状況を披露しておくことで、自分の知人に間接的な意思表示(例えば「忙しい」「元気だ」「明日は暇だ」)をすることも可能となる。
次いで多い目的は「知りたいことについて情報を探す」で40.1%。ソーシャルメディア内で知的好奇心の充足を望んでいることになる。昨今ではソーシャルメディア上で情報を直接、あるいは間接的に(URLなどでガイダンスする形で)公知する場合も多く、これらをたどることで望んだ情報を取得できることになる。あるいは関連する情報を得られそうなアカウント(芸能人、著名識者、関連会社、報道関係、事例はいくらでも想定しえる)に追随し、日頃からチェックをする場合もあろう。
やや回答率は下がるが、「同じ趣味や嗜好を持つ人を探す」も約2割。いわゆる「類友」「同好の士」を探す主旨。趣味が同じならば有益な情報交換もでき、共に語らうことで有意義な時間を過ごせる。さらにこれと類するものだが、相手を特定せずに情報発信をし、自己顕示欲の充足やストレス解消と共に、「自分と同じ立場にある人」を探す(探してもらうきっかけを作る)動きもある。
一方、はっきりとした目的意識は無い「暇つぶし」との回答率も3割近くと高い。交通機関を使った移動の際に雑誌や新聞を読み進めるような、あるいは休日の午後、特にすることも無く外出するのも面倒な時の時間の経過を過ごす際に、ソーシャルメディアをざっと眺めて場の雰囲気を楽しむ人は案外多い。
男女・世代別に見ると…
この利用目的を男女・世代別に仕切り分けしたのが次のグラフ。
「知人との意思疎通」とのコミュニケーションは全般的に女性の方が高め。女性がデジタル・アナログを問わずコミュニケーションを好むことはすでに知られている通りだが、それがソーシャルメディア内でも結果として表れている形となる。一方で「情報探索」は男性の方がやや高くなるが、若年層ではやはり女性の方が高い。
コミュニケーションのテーマとして用いられることが多い、趣味趣向に関して「同好の士」を探す動きではやや男女間の差異は大きい。若年層は女性が、中堅層以降は男性の方が高い値を示している。一方「暇つぶし」は男女の差があまり見られない。
下位陣では「女性は悩み・相談事での利用が多い」(30代では5.2%もの値が出ており、中堅層の利用率が高い)、「男性・高齢層ほどボランティア・社会貢献への取り組み値が高い」「災害発生時の利用は、シニア層が高いが、女性は20代以降は大きな差が見られない」との形で、男女・世代別で違いのある動きを示している。特に女性陣で20-40代において「同じ悩みや相談事を持つ人を探す」率が高めなのは、注目に値すると共に、実際のブログやソーシャルメディア上の書き込みを思い返せば、納得できるものがある。
法的に、そして規約的に問題が無い限り、ソーシャルメディアをどのような利用目的で使おうと、他人がそれを束縛する権利はない(無論、盗用コンテンツの悪用や、詐称的なリンク掲載による釣り行為は問題外)。一方、ソーシャルメディアはあくまでもツールでしかなく、そのツール経由で伝達される情報の真偽性は、ソーシャルメディア自身が担保しているわけではないことに注意しなければならない。例えば「世界最大規模のFacebookで語られていた話だから、この情報は絶対に真実だ」と盲信すると、痛い目にあう可能性は十分にある。
情報の「確からしさ」を精査するには、経由されたサービス以上に、どこを情報発信源としているかについて、確認をすべきといえよう。
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