エアコンの普及率は高齢世帯の方が上
全体では8割を超え、所有世帯は3台近く
人口密集地帯の平均気温が上昇している現在では、生命維持装置的な立ち位置にそのポジションを変化させつつあるエアコン。その世帯普及率を総務省統計局による全国消費実態調査から確認する。
まず最初は総世帯のエアコン(ルームエアコン)の世帯普及状況。
世帯全体の普及率は86.4%。大よそ8世帯のうち7世帯がエアコンを実装している。そして所有世帯の平均台数は2.75台。複数の部屋にエアコンが置かれている事例が多数に及んでいる。
これを世帯種類別に見たのが次のグラフ。単身世帯より二人以上世帯、単身世帯では男性よりも女性の方が、エアコンの普及率は高い。
興味深いのは単身世帯でも大よそ1世帯につき2台のエアコンを実装していること。常に2台をフル活動しているわけではなく、必要に応じて使う場所を変えていると考えられる。さすがに部屋の数までは調査対象には無いが、例えば単身男性世帯では平均で現居住場所の延べ床面積は78.9平方メートルとあり、複数部屋であることは容易に想像はできる。
これを世帯主の世代区分で区切ったのが次のグラフ。
単身世帯・二人以上世帯共に、若年層の方が普及率は低い。特に女性は30代まで6割前後に留まっている。男性でも30台で2/3程度。単身世帯が低めなのは「自分一人で我慢すれば良い」との心境があり、二人以上世帯の場合は子供の健康リスクを多分に配慮した上での所有だと考えられる。また単身世帯・若年層では金銭的な問題から購入できない人も多分にいるのだろう(健康リスクを考えれば、むしろ導入・利用した方が安上がりにつく場合が多いのだが)。
年収別に見ると……
「金銭的な問題」と表現したが、エアコンの実装や利用に関しては、しばしば金銭問題にスポットライトが当てられる。お財布事情でエアコンを所有できないのではないか、との話である。そこで世帯年収別に普及率を確認したのが次のグラフ。
全国消費実態調査はあくまでも所有動向の調査で、稼働率・利用状況までは確認できない。従ってランニングコストの観点での精査は不可能。しかし少なくとも普及率の点では、単身世帯は所得とは関連性が無い、二人以上世帯ではある程度の相関関係がみられるものの、差は微少(最大幅で10%ポイント)でしかなく、年収とエアコンのあるなしとの間には、問題視するほどの関係は見られないことが分かる。
エアコンは今や生活必需品であり、単に設置しているだけでなく状況に応じて使いこなす必要がある。お守りのように置いてあれば良い類のものではない。高齢者は特に、人工的な冷気を好まなかったり、気温の変化に鈍感などの理由で、作動させるべき状況下でも使わないがために、健康リスクを体現化させてしまう可能性は高い。
エアコンに限らずだが単に普及率を高めるだけでなく、有益に使いこなす術も啓蒙浸透させていくべきなのかもしれない。
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