進む小中学生の新聞離れ
社会全体としての新聞離れが進む昨今、世帯単位で定期購読されるケースが多い以上、子供が新聞に触れる機会も減ってくる。実際、小中学生の新聞離れは進んでいるようだ。その実態を文部科学省が2015年8月に発表した全国学力・学習状況調査の結果を元に確認していく。
文化の主軸であり、欠かせない存在であると自己主張する新聞へ、小中学生はどのような接し方をしているのだろうか。今調査では過去3年分が比較可能なデータとして用意されており、その結果をグラフにしたのが次の図。回答者の世帯で新聞を購読しているか否かは尋ねていない。また、新聞を読む場所も指定されていない。単に「新聞を読んでいますか」とのみ尋ねている。
「若者の新聞離れ」は小中学生においても当てはまる結果が出ている。月一程度でも読む人も購読者と試算しても、小学生の購読率は5割足らず、中学生では4割足らずでしかない。しかも3年分のデータしかないので仮説となるが、ますます新聞から距離を置く傾向を示している。通常の新聞は定期購読される限り毎日世帯に投函されるから、ほぼ毎日読める機会は生じる。その上でその機会を活かし、日々新聞に目を通しているのは、小学生で1割未満、中学生では7%でしかない。
この減退傾向には、世帯ベースでの新聞購読率の減少も影響しているものと考えられる。子供が自ら望んで新聞を購入・調達するとは考えにくいからだ。一方で小学生よりは中学生の方が、購読率は低い。社会への興味関心度の低さ、あるいは自分自身の身の回りへの注力度の大きさは、新聞購読率にも表れている。
それでは紙媒体で無ければ、ニュースへの関心は高いのだろうか。テレビとネット系のニュースをひとまとめにし、その双方合わせて見ているか否か、その度合いを確認したのが次のグラフ。
テレビやインターネット経由のニュース取得率は、新聞よりはるかに高い。見ていない人は2割足らずに留まっている。まだ経年データは3年のみだが、少なくともその期間においては増減はほとんどなく、安定した高値を維持している。
今件は子供達が社会に向ける目、好奇心をどのようなルートからの情報で充足させるのか、メディアの利用様式とも係わる項目のため、非常に興味深い内容に違いない。小中学生の習慣は概して高校生にも引き継がれ、それはさらに大人になっても変わらない可能性は高い。
来年度以降も継続した調査が成され、値が公開されることにより、子供達の社会への関心度やニュース媒体の利用性向の変化がよりはっきりとした形で明らかになるに違いない。
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