Yahoo!ニュース

若者では男性190万円、女性140万円・一人暮らしの平均年収や貯蓄高の現状

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 「私の貯蓄、少なすぎ!?」的な話となるか……

若年層では晩婚化の進行、高齢者では平均年齢の伸張に伴い、一人暮らし世帯は確実に増加している。その人たちの年収や貯蓄高の現状を、総務省統計局が2015年9月に発表した「2014年全国消費実態調査」のうち「単身世帯の家計収支及び貯蓄・負債に関する結果」の公開値を元に確認する。

まず最初は年齢階層をすべて合わせた、全体、そして男女のみで仕切り分けした、現在の貯蓄高と年間収入の平均値。なお今件における貯蓄(高)とは預貯金に加え生保・損保の掛け金(掛け捨て型除く、払込総額)、株式や投信などの有価証券(時価換算。債権は額面)を意味する。なお同居しているが別世帯勘定の世帯の各種貯蓄、現金のまま保有しているたんす預金、知人などへの貸金、公的年金などの掛け金、手持ちの現金は貯蓄とは見なさない。

↑ 貯蓄現在高及び年間収入(単身世帯)(万円)(2014年)
↑ 貯蓄現在高及び年間収入(単身世帯)(万円)(2014年)

若年層から高齢層まで、会社役員から無職まですべて合わせ、全体の年収は平均313万円。貯蓄残高は1204万円。男女別では男性より女性の方が貯蓄高が大きいが、年収は男性の方が上となる。貯蓄高は後述の通り、大よそ高齢層が平均を底上げする形となっている。なお概要報告書によると、貯蓄高の中央値(貯蓄保有世帯のみで算出)は男性が480万円、女性が679万円。

続いてこれを男女別、年齢階層別に仕切り分けして各値を算出したのが次のグラフ。左右ともに縦軸の仕切り分けは男女共通にしてある。

↑ 年齢階級別貯蓄現在高及び年間収入(単身世帯、男性)(万円)(2014年)
↑ 年齢階級別貯蓄現在高及び年間収入(単身世帯、男性)(万円)(2014年)
↑ 年齢階級別貯蓄現在高及び年間収入(単身世帯、女性)(万円)(2014年)
↑ 年齢階級別貯蓄現在高及び年間収入(単身世帯、女性)(万円)(2014年)

年収は大よそ男性の方が高い。ところが貯蓄額を見ると、40代以外は男女共にさほど違いがなくなる。30代に限れば女性の方が、200万円高い金額を示すほど。当然貯蓄の年収比は女性の方が上になる。一人身を貫く女性、あるいは死別・離別をして一人きりになった中堅から高齢女性においては、お金に対する備えがしっかりしているようだ。あるいは配偶者の遺産などが絡んでいる可能性はある。

60代以降になると正規社員としての就労が難しいことから、年収は50代と比べて大きく減退するが、住宅ローンの完済派も増え、退職金で貯蓄が大きくふくらむ人も多々出てくる。60代以降は年金とこれまでの貯蓄の切り崩しで生活を立てる人も増加するため貯蓄額は減るが(60代そのものは退職金で上乗せ派が多いため、年齢区分では最大値を示す)、年収は60代とさほど変わらないことから、貯蓄年収比にも大きな変化は生じない。

今調査結果では単身世帯の事由(単に未婚なのか配偶者と離別・死別したのかなど)については調べられていないため、特に高齢層における(配偶者が居た場合の)遺産や慰謝料などがどこまで反映されているかは判断ができない。一方で高齢者の女性単身世帯では、未婚者よりも配偶者と離別・死別した世帯が圧倒的に多い。

↑ 配偶関係、年齢階層別・15歳以上人口に対する比率(女性・2010年、国勢調査より)
↑ 配偶関係、年齢階層別・15歳以上人口に対する比率(女性・2010年、国勢調査より)

中堅層以降、特に高齢層で女性の方が年収が低いにも関わらず、貯蓄額がほぼ同額なのは、単に女性が男性よりも備えへの考えをしっかりしているだけではなく、遺産なども少なからず関わっているのかもしれない。

■関連記事:

世帯持ちも一人身もじわりと増えつつある貯蓄割合

「高齢世帯ほどお金持ち」は当然?…世帯主の世代別貯蓄額推移をグラフ化してみる

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事