もしも住宅買うのなら…悩む選択「新築か中古か」「一戸建てかマンションか」
新築一戸建てが一番人気
賃貸住宅では無く自分が所有権を有する住宅を持つことは、多くの人においては夢であり目標であり、同時に恐らくは一生に一度の大きな買い物となる。それでは住宅を購入するとしたら、どのような物件を欲しいと考えているだろうか。新築か中古か。一戸建てか分譲マンションか。人々の住宅取得に関する心境を、内閣府が2015年11月に発表した住生活に関する世論調査(2015年10月1日から11日にかけて、層化二段無作為抽出法によって選ばれた日本国籍を有する20歳以上の人に対し、調査員による個別面接聴取法によって実施。有効回答数は1736人。男女比は809対927。世代構成比は20代153、30代237、40代286、50代281、60代371、70歳以上408)から確認していく。
冒頭でも触れた通り、多くの人には住宅の取得・所有権の確保は大きな夢、そして同時に熟考する事案。そこで調査対象母集団に「もし住宅を購入するとしたら、新築か中古か。一戸建てか分譲マンションか」について、択一で尋ねた結果が次のグラフ。すでに住宅を取得している人も包括して「あなたが住宅を購入するとしたら」との設定で質問している。
6割前後が新築一戸建てを希望している。実際に購入する・できるか否かは別として、大勢としては新築の一戸建てが取得したい住宅のトップ。次いで多いのは全体では新築のマンション、そして中古の一戸建て、中古マンションと続く。こだわりを持たない人も1割強。
属性別にみると男女別では女性の方がやや新築へのこだわりが強く、年齢階層別では歳を重ねるに連れて新築の一戸建てへの需要が大きくなる。中古の一戸建ては比較的若年層に人気がある。
これを世帯別、現在の居住形態別に仕切り直したのが次のグラフ。
同居世帯数が多いほど新築一戸建てを求める声が大きくなる。必要性と予算のそろばん勘定の上での結果だろう。他方、自分だけの世帯、つまり単身世帯では新築一戸建てを求める意見は5割を切る。それでは一人暮らし相応の物件がありそうな分譲マンションを求めるかというとそうでもなく、新築・中古共にマンションへの需要もやや値が高い程度。多分に「どれでも可」の回答率が高い結果となっている。買えるなら、どれでも良いから欲しいとの心境。
注目すべきは現在の居住形態別。賃貸住宅住まいでは「どれでも良い」が他の属性よりも多く、とにかく持ち家が欲しい心境が表れている。他方、家賃が低いと想定される賃貸住宅ほど、新築一戸建てへの要望が強い。現在の居住住宅で我慢をして、住宅資金を貯めた上で戸建てを購入しようとする意欲が、低家賃ほど強いと考えられる。
すでに住宅を取得している人では、大よそ現在の持ち家の形態が他の属性よりも高い値を示しており、住みたかった、購入したかった家に住んでいることがうかがえる。ただし中古物件に住んでいる人は同じ種類の新築物件に住みたいとの意欲が大きいのも事実。予算や場所などの都合が合えば、中古では無く新築の物件に住みたかったとする意図が透けて見えてくる。
中古物件を選ぶ、その理由
現在住んでいるのは中古物件だが、購入できるのなら新築が良かった人が多いのが実情。一方で中古の物件が良いとする意見も少なくない。その意見の具体的理由は次の通り。
中古一戸建ての理由のトップは「庭付き住宅に住みたい」で4割。もちろん分譲マンションでは無く一戸建てを選ばねば(原則として)庭は手に入らないが、単に庭付きならば新築でも良いことを合わせ考えると「予算や場所などとの都合もあり、新築では無理だが、それでも庭付きが良い」とする、コストパフォーマンス的な要素が多分に含まれている。その他には管理費や広さ、リフォームのしやすさを挙げている。
他方中古マンションのトップは「維持管理や掃除のし易さ」。次いで「広いスペースは必要ない」「管理がしっかりされてそう」「安く手に入る」など、取得する住宅に対する割り切り感が一戸建てより強い。
結局のところ中古に限っても、取得する住宅に何を求めるかで一戸建てかマンションかを選択するのが、自分の想いに無理のない決定ができそうである。
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