私立学校の学費は公立の2倍から5倍近く…年間学習費の現状を探る
学習費、公立は中学校・私立は小学校が最高値
子供の教育費用は必要経費同様のものだが、プライベートな情報に近く、他人の事情を推し量ることは難しい。文部科学省が行った実態調査「子供の学習費調査」から、その実情を確認していく。
まず確認するのは「学習費(総額)」。これは「学校教育費(授業料やPTA会費、制服、遠足代など)」「学校給食費」「学校外活動費(家庭内学習費や各種塾月謝、図書費など)」で構成される、各種学習関連費用の総額。要は子供の学習周りで発生する費用の総計である。直近2014年度(2014年4月1日~2015年3月31日)における学習費総額だが、幼稚園が公立22.2万円・私立が49.8万円(年次、以下同)。小学校が公立32.2万円・私立153.6万円。私立の方が高い結果が出ている。
公立と比べて私立に通う子供の学習費がかかるのは、あらゆる面で経費がかさむため。特に授業料の差が著しい。相対比率を見れば分かる通り、幼稚園・中学校・高等学校では公立と私立の差異が2倍台に留まっているが、小学校では5倍近くの差が開いている。これは「学校教育費」の差もさることながら「学校外活動費」の差が大きなものとなっているため。
今件データに限れば、小学校における「学校教育費」は公立と私立で15倍もの差が生じていることになる。またこれらの値はあくまでも「年額」であることに注意。例えば小学校課程は6年のため、小学校を卒業するまでには(単純計算で)この6倍がかかることになる。私立ならば920万円強。
経年推移で動向を確認
今件状況を経年推移で見たのが次のグラフ。私立小学校は未調査期間があるため一部欠けているが、それ以外は多少の起伏はあるものの、高校の近年期間を除き、ほぼ横ばいで推移している。
高校の動向には特殊な事情がある。まず私立高等高校の2008年度の減少だが、詳細を見ると「学校教育費」に変化は無く「学校外活動費」が大きく削られた結果。単なるイレギュラー、あるいは2007年夏に始まる金融不況に伴い、塾など習い事の切り詰めが起きた可能性が高い。
そして2010年における私立・公立双方高校の減少は「学校教育費」の減退を起因とするもの。「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」(いわゆる「高校無償化法」)の施行による結果。学習費の上では明らかに減少しており、非義務教育ではあるものの、高校就学にある生徒を持つ世帯の負担軽減が確認できる。
他方中学校以下では、私立小学校と私立中学校で漸増の傾向が見受けられる。「学校教育費」「学校給食費」「学校外活動費」の3項目すべてて漸増しており(私立中学の学校外活動費は横ばいだが)、何か特定の要因によるものでは無い。私学はますますコスト高となりつつあるようだ。
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