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外国産の食肉、加工肉をどのように思っているか、その実情

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 外国産食肉は食生活に欠かせない。でもその産地で想うところが…

外国産の食肉は今や食生活には欠かせない存在だが、同時に中国産鶏肉問題や、冷凍食品問題、BSE問題など、購入・消費する側としては、何かと気になる事案も多い。消費者の心境の実情を、JC総研が2016年4月に発表した畜産品などの消費性向に関する調査(2015年11月に実施。男女比ほぼ1対1、年齢構成比は20代以下から10歳区切りと70代以上、有効回答数2325人)の結果から探る。

今調査の該当項目では主要な外国産肉・加工肉を挙げ、それらに関するイメージを表現する項目について、同意できるか否かを複数回答で答えてもらっている。

まずは安全面。「安全である・安心である」「安全面で心配」との問いに同意できる人の結果は次の通り。いずれも回答していない人は、該当の食肉に対して安全・安心面に関してあまりイメージを有していないことになる。

↑ 外国産肉・加工肉についてのイメージ(2015年、複数回答、安全面)
↑ 外国産肉・加工肉についてのイメージ(2015年、複数回答、安全面)

安全面でもっとも頼りにされているのはオーストラリア産の牛肉で22.0%。やはり管理が徹底しているオージービーフのイメージが強いのだろう。次いでカナダ産の豚肉と米国産の牛肉が同率の9.2%で並ぶ。ブラジル産やタイ産、中国産は比較的値が低い。

他方心配との意見がもっとも多いのは中国産の鶏肉調整品で37.8%。焼き鳥などが該当するが、先のファストフードチェーン店における問題もあり、極めて高い値。次いでタイ産の鶏肉調整品、米国の牛肉が続く。

中国産の鶏肉調整品に関しては、例の事案が発覚した2014年より以前から安全面に対する懸念は強かった。一連の社会的な動きは、元々有していた不安があり、例の事案が不安明確化のきっかけとなったと見れば道理は通る。

↑ 外国産肉・加工肉についてのイメージ(複数回答、安全面、中国産鶏肉調整品、経年変化)
↑ 外国産肉・加工肉についてのイメージ(複数回答、安全面、中国産鶏肉調整品、経年変化)

2014年はわずかに事案に影響を受けた動きを示したが、大勢には変化はない。

続いてコストパフォーマンスの観点から。品質の良さ、美味しさ、価格の高さの3項目で同意できるか否かの動向。

↑ 外国産肉・加工肉についてのイメージ(2015年、複数回答、コスパ面)
↑ 外国産肉・加工肉についてのイメージ(2015年、複数回答、コスパ面)

品質の良さ、美味しさ共にトップはオーストラリア産の牛肉。価格が高いとの回答率も低く、非常に優秀な食肉であるとの結果が出ている。値そのものはやや劣る、品質の良さが美味しさに追いついていない点もあるが、米国産がそれに続いている。

品質の良好さと美味しさの回答はほぼ連動する形となっているが、興味深いのは米国産とブラジル産、タイ産で品質への好感触がさほど高くないにも関わらず、美味しさの観点では高い回答率が出ていること。品質はさておき、利用者の味覚にあったものと受け止められているのだろうか。

他方イタリア産やスペイン産は高品質で美味しいものの、価格がお高めとの回答が出ている。精肉コーナーなどで見かけるこれらの食肉や、実食した限りでは大いに納得のいく回答率ではある。

最後は需要面。要は食べたいか、食べたくないか。

↑ 外国産肉・加工肉についてのイメージ(2015年、複数回答、需要面)
↑ 外国産肉・加工肉についてのイメージ(2015年、複数回答、需要面)

食べたいとの積極的肯定意向をもっとも強く持たれているのは、オーストラリア産の牛肉で9.0%。次いで米国産の牛肉4.7%、カナダ産の豚肉が3.4%と続く。逆に食べたくないとの意見では中国産の鶏肉調整品が一番高い値を示しており46.3%。ほぼ半数に達している。上記の通り両極的な選択肢の双方に回答しなかった人は明確なイメージを持たないだけの話だが、そのような状況下でこれほどまでに高い値が出ており、同肉に対する距離感を改めて実感させられる次第ではある。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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