お金に余裕があるとより美味しさを考えるように…食品を選ぶ時の重視点と年収の関係を探る
好き嫌いや自分・家族の要望、目の前にある食材の鮮度、安全性、大きさ、そして価格。自分や家族が食する食品を選択するときの着目点は多種多様。普段食品を選ぶ際に、どのような点を重視しているだろうか。その着目点は経済的な環境の違いで差は生じるのだろうか。厚生労働省が2016年4月に発表した「平成26年国民健康・栄養調査」の結果に関する詳細な各種データを基に、世帯年収別で食品選択時の重視点の総意を確認していくことにする。
次に示すのは男女に区分した上で、世帯年収を200万円未満・200万円以上600万円未満・600万円以上に仕切り分け、そして食品を選択する際に重視している点を複数回答で答えてもらったもの。なお年収別仕切り分けでは年齢階級と世帯員数による多変量解析を行い、各種調整をしてあることに注意する必要がある。つまりそれぞれの年収属性で、年齢階級や世帯構成人数は同率ずつ存在している状況となっている。年収200万円未満の仕切り分け内では高齢者の比率が大きいため重視点が他の年収階層と異なるといった、アンバランスな状態の統計値では無い。
まずは男性。
どの年収階層でもトップは美味しさ、次いで好み、続い鮮度や価格、安全性が続く。多少の差異はあるが、この順位で大よそ変化が無い。低年収ほどエンゲル係数が高くなる傾向があるため、価格により強い関心を抱くのではと思いがちだが、実際にはそうでもないようだ。
一方で大よそ年収が高いほど各選択肢の回答率が高くなる傾向が確認できる。「特に無し」の回答率が低年収層ほど高いこともあわせ、年収が高い人ほど食品選択の際により一層の選り好みをするようだ。
女性でも大勢は変わらない。
ただし男性と比べるとほとんどの項目で回答率が高くなっている。特に栄養価や季節感は大きな差異が生じている。また安全性や鮮度の点はトップ項目の美味しさや好みと近しい値にまで達している。これは女性が食品を選択する際には、往々にして本人だけでなく、家族全体の食事を作るためのものであることが原因。
さらに男性同様、女性もまた、高年収ほど回答率が高めの結果が出ている。年収が高いほど職へのこだわりが強くなるようだ。
男女や年収の差異が一目で把握できるのが次の結果。それぞれの属性の平均回答率を算出したもの。
高年収者ほど回答数が多く、男性よりも女性の方が多い。食費に回せる金銭的な余裕と、誰のための食品選択かにより、大きな違いが生じている。
また男性は概して美味しさと自分の好みに合えばよいと考えているのに対し、女性はそれに加えて安全性や鮮度、価格にも注意を配っていると読み解くことができる。それぞれに向けた食品を提供する側には、色々と考えさせられる結果に違いない。
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