子供達は政治や選挙にどこまで関心を抱いているのか
国政、地方自治体の選挙で投票する資格(選挙権)は2015年6月に可決成立した改正公職選挙法により、18歳以上に与えられることとなった(2016年6月19日に施行)。この引き下げが適用される国政選挙は2016年夏の参議院議員選挙からであり、その時に選挙権を得られる子供達における政治や選挙への関心がどの程度なのか、これまで以上に熱い視線が注がれている。また現在選挙権が無い歳の子供達でも、国や地域の政治、そして選挙に興味を持つことは大いに意義がある。歳を経て選挙権を得た後の、政治・選挙に対する姿勢にも大きく影響しうるからだ。今回は少年教育振興機構が2016年5月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」(2015年2月から3月にかけて各学校(小学校は1年から6年まで各100校ずつ、中学校は2年生対象に150校、高等学校は2年生対象に150校)への調査票発送・返信による回収方式で実施。有効回答数は学校数が851、子供の回収数が18031件、保護者が15854件)報告書の結果をもとに、国や地域の政治や選挙について、子供達がどの程度興味関心を抱いているかを確認していくことにする。
次に示すのは直近の2014年度において回答者が国、そして地域の政治や選挙にどれほど関心を抱いているかを示したもの。青系統が肯定派、赤系統が否定派だが、赤系統の面積が大きい、つまり政治や選挙に関心が無い子供が多いことが分かる。
学年別の傾向的な差異は大よそ見られず、強い関心派が1割、弱い関心派が2割、弱い非関心派が3割強、強い非関心派が3割程度。小学生はまだしも、中高生に至るまで関心派が少数なのには少々驚かされる。もっとも強い非関心派は大よそ学年と共に減少する傾向にあることから、これからさらに歳を重ね、成人に達して選挙権を確保するまで、強い非関心からの脱却は続くものと思われる。
ただし高校2年生は、今後の選挙においては翌年にでも選挙権を得ることに成りうる。この低さでは投票率の低迷につながりかねず、問題視する必要がある。
男女別に仕切り分けしたのが次のグラフ。
小学生では多少のぶれがあるものの男女差はほとんど見られないが、中学生以降になると明らかに男子の方が高い関心度合いを示すようになる。特に選挙権を間もなく得る高校2年生で男女間に10%ポイント程度の関心層の差異が出ている状況は、今後未成年者などに向けた投票アピール・啓蒙活動の際に、関係方面は色々と頭を悩ませるに違いない。
ちなみに経年変化を確認したが、大きな動きは見られない。
強い関心派が若干増えているようにも見えるが、その分強い非関心派も増えている。少なくともこの2006年度以降、子供の政治に対する関心度合いは一定、あるいはほんのわずかだが二極化の動きを示しているとみるべきだろう。
政治や選挙に関心を持つ子供が3割、関心を持たないのは7割との結果は、若年層における投票率の低さに頭を抱えている各方面にとっては、由々しき問題に違いない。一層の啓蒙活動が必要だが、同時に子供にも分かりやすい(当然「正しい」が大前提)、そして興味関心を持たれる、嫌悪感を抱かれない、大人が見ても関心納得のいくような政治の履行や選挙活動が求められよう。
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