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小中高校生のパソコンや携帯電話利用率の実態

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 子供も気軽にパソコン操作。その実情は

ここ数年のインターネットに絡んだデジタル機器の急速な進歩発展普及は、大人はもちろん子供達の間にも大きな影響を及ぼしている。代表的な機器のパソコンや携帯電話について、子供達の利用状況の推移を、内閣府が2016年5月に詳細データ付きの確定報を発表した「平成27年度青少年のインターネット利用環境実態調査結果」の報告書の内容をもとに探る。

今件調査につき、比較できる過去のデータ7年分について「パソコン(PC)の利用者率」「携帯電話の利用者率」「スマートフォンの利用者率」「タブレット型端末利用者率」の4項目の経年変化を示したのが次のグラフ。なおスマートフォンは2009年、タブレット型端末は2009年~2011年では質問そのものが存在せず、回答値もない。また「携帯(電話)」は従来型携帯電話(フィーチャーフォン、ガラケー)とスマートフォン双方を意味する。

またパソコンはデスクトップパソコンとノートパソコン、携帯電話はスマートフォンと従来型携帯電話、タブレット型端末はタブレット型端末以外に学習用タブレット、子供向け娯楽用タブレットの合算値となる。さらにスマートフォンは通常のスマートフォンに加え格安スマートフォン、機能限定・子供向けスマートフォン、契約切れスマートフォン、従来型携帯電話は従来型携帯電話以外に機能限定電話・子供向け携帯電話を加味した値。

これらの値はあくまでも、それぞれの年における調査対象母集団全体に対する比率であることに注意。例えば2015年の「携帯保有者」は68.3%とあるので、2015年における小学生から高校生までを合わせた全員のうち、2/3強が従来型携帯電話かスマートフォン(あるいはその双方)を利用していることになる。また今件は「利用」であり、該当端末の所有権の有無は問われていない。さらにインターネット機能の利用も無関係であることに注意。

↑ パソコン・携帯などの利用推移(小-高校生対象、全体)(インターネットへのアクセスの有無を問わず)
↑ パソコン・携帯などの利用推移(小-高校生対象、全体)(インターネットへのアクセスの有無を問わず)

パソコンの使用率は2013年までは横ばい、やや漸減傾向にあったが、2014年では大いに減少している。これは設問方式の変更によるところが大きい。とはいえ、高校生までの子供において、「パソコンを利用している」との認識を持つ人が4割に満たない状況に違いは無い。その状況は2015年も続き、ついに3割強にまで落ち込んでしまった。

一方、携帯電話の利用率は少しずつだが確実に、そして加速度的に上昇している。これは主に小学生の間でも携帯電話が浸透しつつあることの表れ。この「携帯保有者」の大部分はスマートフォンで、実質的にスマートフォンの所有者増加が「携帯保有者」率を底上げしていることになる。

タブレット型端末は2012年になって初めて登場した項目であり、それ以前の経年変化を推し量ることはできない。しかしながら初年ですでに11.1%もの普及率、2年目の2013年には16.7%と確実に増加を示している。2015年には2割に届き、今後もさらに伸びていくことは容易に想像できる。保護者が所有していればそれを借りる機会は多く、パソコンよりもはるかに機動力は高く、保護者としても貸しやすいからに他ならない。

やや余談的な話ではあるが、対象となる小中高校生においては一番デジタル機器との接触率が高く、さらに購買意欲など消費方面でも強い影響力を持つ高校生に限って算出した結果が次のグラフ。

↑ パソコン・携帯などの利用推移(高校生対象、全体)(インターネットへのアクセスの有無を問わず)
↑ パソコン・携帯などの利用推移(高校生対象、全体)(インターネットへのアクセスの有無を問わず)

タブレット型端末は高校生でも14.9%。必要性の観点でも、スマートフォンと比べればはるかに低いのが原因。

高校生に限ってもパソコンの利用率は2011年をピークに減退を示している(2014年の急速な落ち込みの理由は上記の通り、設問方式の変更による)。また携帯電話ではほぼ上限に近い状態が続く一方、スマートフォン利用者が急激に増加しており、従来型携帯電話からスマートフォンへのシフトがこの数年で猛烈に生じていることが確認できる。また、高校生に限ればパソコンよりも携帯電話、さらにはスマートフォンの方が使用率が高い現状には、今や時代が大きく変化したことを再認識させられる次第ではある。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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