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貯蓄ゼロは1割強、平均貯蓄額は40万円強…社会人1年目での貯蓄事情

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ どれだけ貯蓄に回そうか。社会人1年目の苦悩。

ゼロ円もあれば100万円以上も…社会人1年目の貯蓄額

ほとんどの人は社会人になって初めてまとまったお金を自分の就業の対価として得て、生活の上でやりくりをするようになる。その中で貯蓄に充てる額はどれほどなのか。その現状をソニー生命保険が2016年4月に発表した、新社会人に対する意識調査(2016年3月27日から31日にかけて今春就職した、あるいは就職してから1年が経過した社会人に対してインターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000件。男女比、就業年数別で均等割り当て)の結果から探る。

新社会人生活の1年目には、はたしてどれだけの金額を将来のための貯蓄に回せているだろうか。生活環境や就労先の事情、給与水準など多種多様な要因が関わってくるため、条件によって大きな差異が生じ得るが、今件はあくまでも平均的な環境下における結果として話を進めていく。次に示すのは現在社会人2年目、つまり新社会人として最初の1年間を過ごした人に、実際に貯蓄した額を尋ねた結果である。

↑ 社会人1年目の1年間で貯蓄した金額(2016年)(自由回答)
↑ 社会人1年目の1年間で貯蓄した金額(2016年)(自由回答)
↑ 社会人1年目の1年間で貯蓄した金額(2016年)(平均、円)
↑ 社会人1年目の1年間で貯蓄した金額(2016年)(平均、円)

男性は約47万円、女性は約43万人。年間の差異は4.6万円。給与水準は男性の方が上であることを考えれば、むしろ女性の方が貯蓄性向は高いと見ても良いかもしれない。

詳しい金額区分を見ると、法則性は特にないものの、50万円以上の層ではいずれも男性の方が高い回答率を示している。これが平均値の底上げをしたようだ。ただし20万円超~50万円まではいずれも女性の方が回答率は高い。平均値では男性が上だが、中央値では女性の方が上の可能性はある。

貯蓄ゼロの回答は男性で13.6%、女性で14.0%。生活環境の上で仕方なく、あるいは会社側の積み立てに吸い取られている可能性もあり、また貯蓄性の低い生活用の預貯金口座にはそれなりの金額が収められているはずだが、厳しい生活事情がうかがえる。

実家への仕送りは

一方、これまで育ててもらった感謝の意を込めて、就業をして自分で稼ぎを得るようになってから、実家の保護者へ仕送りをする事例もある。その金額を尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 社会人1年目の1年間で実家に入れた金額(2016年)(自由回答)
↑ 社会人1年目の1年間で実家に入れた金額(2016年)(自由回答)
↑ 社会人1年目の1年間で実家に入れた金額(2016年)(平均、円)
↑ 社会人1年目の1年間で実家に入れた金額(2016年)(平均、円)

平均額では男性よりも女性の方が年間で約1万円ほど高額。額面区分では男女差の有意な傾向は見られないが、ゼロ回答は男性の方がわずかに多く、100万円超と30万円超~40万円の層で大きく女性が男性を引き離した回答率を示しており、これが女性の平均額を底上げしたようだ。

男女とも平均すると、大体1か月あたり1万円強となる。初任給で色々と引かれて生活費などを勘案すると、決して少ない額ではない。あるいは初任給以外はボーナスなどまとまった額が手に入った時に、そこから一定額を実家に仕送りしたのだろうか。

無論実家からすれば、気持ちだけでも十分嬉しさを覚えるに違いない。新社会人側もそれを十分理解しているはず。その上で、4割近い人がゼロとの実態は、新社会人の金銭面での厳しさを表している。もちろんお金そのものでは無く、「初任給で親にプレゼント」のパターンに代表されるように、何らかの贈り物をしていることも十分あるだろうが……。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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