任天堂のゲーム機販売動向のこれまでと今を探る(2016年版)
現在の「累計」販売台数
スマホの浸透でデジタルゲーム端末の主役を奪われそうなゲーム専用機界隈において、今なお世界的権威と実力と知名度を有する任天堂。その実情を同社が公開している各ハードの販売台数動向から探る。
次に示すのは現在公開されている最新値となる、2016年3月時点の累計ハード販売実績。据置型は次の通り。販売台数であり、現在稼働台数では無いことに注意。当然稼働台数はこれより少なくなる。
稀代の名ゲーム機ファミリーコンピューター(ファミコン)以上に、Wiiが売れているのは、意外といえば意外。日本国内でこそまだファミコンの方が上だが、全世界で計算するとほぼ6割増しでWiiの販売台数が多い。
また、横軸は左から右へ行くほど販売された年代が新しいものとして配しているが、ファミコンの販売以降、ハードの販売台数が漸減しているのは一目瞭然。ハードの台数がソフトの売れ行きに大きく影響する事実を考えれば、Wiiの直前まで「据置型ハードでは」任天堂が苦戦を強いられていたのが見て取れる。
続いて携帯ゲーム機。
ニンテンドーDSと3DSは何度かマイナーバージョンアップが行われているため、そのうち「Lite」「DSi」「DSiLL」、「3DS LL」「2DS」「New 3DS」「New 3DS LL」は別途数字を掲載している。ゲームボーイやニンテンドーDSの市場がいかに大きいか、そしてニンテンドー3DSへの期待がどれほどのものかが把握できる。
なお3DSの簡易版的立ち位置の2DSだが、当初日本国内では未発売だったものの、2016年2月27日に「ポケットモンスター」のバーチャルコンソール版とのセットで店舗限定にて発売され、その値が計上されている。現状では公式サイトで「本商品の生産は終了いたしました」と記載されており、10万本で頭打ちのようだ。
単年、そして累計の経年変化
以上は「累計」販売台数の状況。これを「年次」の販売推移で見たのが次のグラフ。要は毎年どれくらいのハードが販売されたかを見たもの。例えばニンテンドー3DSなら2016年3月末期(2015年4月~2016年3月)は236万台となる。
ゲームキューブやWii Uのような例外もあるが、任天堂のハードは大よそ発売2年目から3年目に年次セールスのピークを迎え、後は漸減する流れ。これは任天堂に限らず他のハードにも当てはまることで、よほどのテコ入れや状況の変化がない限り、発売後しばらくしてから盛り返すことは考えにくい。
また、少なくとも年間1万台以上のセールスを打ち出すまでが「商品生存期間」と見ると、大体6年から7年がハード上の寿命(累計グラフでほぼ横ばいになったあたりが「寿命」と判断できる)であることが予想できる。
ただし昨今は技術開発速度や娯楽上の競合他メディア(現状ならばスマートフォンなどの携帯電話)の進歩発展スピードの加速化に伴い、この「6年から7年」が短縮する傾向がある。直近ハードではニンテンドー3DSやWii Uの「寿命」がどれほどの長さを示すことになるのか、気になるところ。3DSはすでにピークを超えた感がある。
他方Wii Uはゲームキューブと似たような動向を示していたが、直近の2016年3月末期では大きく盛り返した。これは多分に社会現象まで巻き起こしたソフト「スプラトゥーン」によるところが大きい。ただしそれに続く、ハードのセールスを後押しするタイトルが現時点では無いことから、今後の台数に期待をすることは難しい。
やや余興的な話になるが、年次販売動向について少々切り口を変えたのが次のグラフ。時間軸を発売初年度からに揃えたもの。
ニンテンドーDSの突っ走りっぷりが目に留まる。3DSはニンテンドーDSやゲームボーイアドバンスとほぼ同じ動きを見せていたが、3年度目で失速し、4年度目以降で明らかな失速を見せ、DSには及ばないことが確定してしまった。
直上でも触れているが、過去のハードの発売時の環境と異なり、現在ではスマートフォン、さらにはタブレット型端末の躍進による、市場の「食い合い」が生じている。100%領域が重なっているわけではないが、多分に共通する部分は多く、影響が無いことはありえない。人の時間は一人当たり1日24時間しかない。スマートフォンで遊びながら携帯ゲーム機でも同時に遊ぶマルチタスクな曲芸は、ほとんどの人には不可能。
なお任天堂は2016年4月27日付で開発中の次世代ゲーム機「NX」(コードネーム)について、2017年3月に国内外で発売する予定であることを明らかにしている(任天堂ツイッターアカウントによる該当公知)。
「全く新しいコンセプトのゲーム機」との説明のみで、詳細は不明。据え置き型なのか携帯型なのかも合わせ、今後の情報開示待ちの状態。予定通りの発売日ならば、現在進行年度では新発売時の初期ロットの数が今件公開値として反映・計上されるはず。来年の動向が気になるところではある。
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