子供に一番人気のキャラは去年に続き「妖怪ウォッチ」
妖怪ウォッチが再びアンパンマンを抜くが差は縮まる
子供が好むアニメや漫画、ゲームのキャラクタは、その時代の流行に大きな影響を受け、またその人気ぶりは多方面に影響を与えうる。今、子供達の間ではどのようなキャラクターが注目を集めているのだろうか。バンダイが毎年行っている子供向け調査「お子さまの好きなキャラクターに関する意識調査」(2016年分は2016年5月13日から15日にかけて、0歳~12歳の子供を持つ保護者に対してインターネットで実施。子供の意見を反映できる状況で回答、2016年は800人)の結果から確認していく。
子供が好きなキャラクターはテレビ視聴率や映画の興行成績、関連冊子のセールスはもちろんだが、食玩、おもちゃ、文房具、ゲームソフトなど周辺商品の展開の動向を探る上で、非常に重要な情報。調査対象母集団全体における、もっとも好きなキャラクター(シリーズ単位、以下同)の人気投票の結果が次のグラフ。前年の2015年にトップを確保した「妖怪ウォッチ」が今年においても勢いが衰えていない実情を、改めて認識できる。
2002年の調査結果以来13年連続でトップについていた「アンパンマン」を抜き、2015年でははじめて「妖怪ウォッチ」が最上位についた。そして今回の2016年でも「妖怪ウォッチ」がトップを維持し、2年連続の王座を確保することとなった。しかし前年で見せた「それいけ!アンパンマン」との大きな差異は今年は見られず、僅差でのトップとなり、加熱していた人気が落ち着いてきた様子がうかがえる。なお「妖怪ウォッチ」を選択した理由としては「いろいろなキャラクターが出てきて楽しい」「ゲームにはまっている」「メダルやカードで遊べるから」などが例示され、積極的なメディア展開が功を奏していることが分かる。
差こそ縮まったものの前年に続き今年も第2位に甘んじることになった「それいけ!アンパンマン」だが、選択理由としては「兄弟(姉妹)と一緒に観ていたから」のように年齢をこえて楽しめる他に、「小さい頃から好きだから」のように継続展開のメリットが活かされていることがうかがえる言及もある。
第3位は「きかんしゃトーマス」。順位、回答率共に前年からは大きな躍進を果たしているが、これは多分に2015年で原作70周年を迎えたことから各種記念商品の展開、イベントが実施されており、それが影響したものと考えられる。
男女、年齢別の違いと共通点
これを男女別に、上位陣を確認したのが次のグラフ。
「妖怪ウォッチ」は男子で群を抜いてトップについているが、女子は第3位に留まり、「それいけ!アンパンマン」「プリキュアシリーズ」に上位を譲っている。「妖怪ウォッチ」の熱は今でも男子の間では随分とホットのままだが、女子界隈ではいくぶん醒めてしまっているようだ。他方、2015年に大きく躍進した「アナと雪の女王」だが、女子ではいまだに第3位、「妖怪ウォッチ」と同列に位置しており、女子の間で根強い人気を有しているのが分かる。
男女別の上位陣の動向を見ると、共通する作品はともかく、個々の性別でのみ上位に位置する作品では男女の趣向の違いが大きく出ており、男子はカッコイイ系、女子はカワイイ系・あこがれ系のものが高い人気を集めているのが再確認できる。他方、「それいけ!アンパンマン」は男女とも上位にあるが、男女それぞれが求める要素を欠けることなく有していると解釈すれば、道理は通る。特に上記でも触れた、同作品の魅力として挙げられるポイント「兄弟(姉妹)と一緒に観ていたから」、見方を変えれば男女・年齢の別なく楽しめる要素が盛り沢山であるのが大きいのかもしれない。
さらに世代別に区分したのが次以降のグラフ。
0~2歳で「きかんしゃトーマスとなかまたち」が大きく伸びているが、これは上記の通り2015年で原作が70周年を迎えたことを受け、各種記念商品の展開、イベントが実施されており、それが影響したものと考えられる。保護者の意思選択で子供に提供されるケースが多いこの年齢階層では、特に商用アピールの効果が高い次第。
「アンパンマン」は幼少時には絶大な人気を誇るが、少し歳を経るとバトル・アクション要素の強いものが注目を集め、そして小学校へ入学して不特定多数の人と接触して友達を作る機会が一挙に増えると、共通の話の素材として利用しやすい、多数キャラクタが登場する収集もの、ゲームとの連動性の高い「妖怪ウォッチ」「ポケットモンスター」や、漫画やテレビでお馴染みの「ドラえもん」などが上位を占めるようになる。子供の理解力、周辺環境の変化が、少なからず好きなキャラクターの変遷にも影響しているようで興味深い。
また「妖怪ウォッチ」に限れば3歳から5歳辺りから注目を集め始め、6歳から8歳が特に興味関心を示しており、9歳以降になると熱が少しさめた形となる。
次いで女子。男子とは様相を一変する。
0~2歳の「アンパンマン」の人気ぶりは男子と変わらない。この男女変わらずの人気ぶりが、2014年まで毎年トップの座を維持し、今年も安定した上位ぶりを示した原動力の一つ。一方で「きかんしゃトーマスとなかまたち」はその姿は一切確認ができない。記念すべき年として多様な展開がされてはいるが、女子自身も保護者も同作品はマッチしないと判断したようだ。
3歳以降になるとアイドル系・憧れ系ともいえる「プリキュア」「ディズニープリンセス」「アナと雪の女王」が上位に顔を見せる。「妖怪ウォッチ」も入っているが、男子と比べると回答率はさほど高くない。同作品が2年連続トップを維持したものの、2015年と比べて値を落としているのは、主に女子陣の熱の醒め方が要因であることが分かる。
今件はあくまでも各世代のトップ3に限られるが、「妖怪ウォッチ」の男子小学生における圧倒的な支持、女子における「アナと雪の女王」の根強い人気、女の子におけるアイドル系・憧れ系キャラクターの人気動向がある程度つかみ取れる、同時に「リラックマ」「すみっコぐらし」のような、単なるカワイイ系では無く、いやしを覚えるキャラの女子人気にも注目すべきだろう。
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