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期日前投票でもOK・参議院議員選挙へ行き投票済証明書をもらおう

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 今回の参議院議員選挙(期日前投票)で取得した投票済証明書

法的裏付けはないが公的証明書な「投票済証明書」

衆参議院選挙や自治体の議員選挙などの際に交付される証明書「投票済証明書」。投票をした証明書を意味するが、選挙関連の話としてあまり知られていない。それもそのはず、この「投票済証明書」は公職選挙法をはじめとした各種法令による定めが無い、法の裏付けの無い、任意の証明書である。

従って文面、サイズなど様式はさまざまで、書類名も「投票済証明書」以外に「投票済証」「投票証明書」など色々な名称が用いられている。とはいえ、各選挙区の選挙管理委員会が発行した、公的な投票を証明する書類には違いない。

↑ 東京都練馬区の選挙管理委員会が2016年7月の参議院議員選挙で発行した投票済証。期日前投票で取得。サイズ比較用の500円玉から分かるように、官製ハガキより少々小さい程度のもの
↑ 東京都練馬区の選挙管理委員会が2016年7月の参議院議員選挙で発行した投票済証。期日前投票で取得。サイズ比較用の500円玉から分かるように、官製ハガキより少々小さい程度のもの

「投票済証明書」は投票行為を証明するもので、それ以外の効用は特にない。いわば覚え書きのようなもの、あるいは寄付行為をした時に受領できるお礼状のようなものである。一方、投票をしないことには手に入らないので、選挙権を持つ人には唯一無二の存在であり、同時に投票日にしか手に入れる機会は無い。今風に言えば「レアアイテム」。額に飾っておけば選挙権を行使したことを立証できるため、自慢ができる。

なお「投票済証明書」を受領するには、事前に郵送された「選挙のお知らせ」を投票所で係の人に渡す際に「投票済証明書が欲しい」と伝えること。こちらから意思表示をしないと手に入れることはできない。意志を伝えれば、すぐに用意するか案内してくれる(発行している自治体ならば)。

また、今回掲載した各写真にある通り、「投票済証明書」は該当選挙の投票日より前に投票が行える仕組み「期日前投票」においても取得が可能。取得方法は当日投票と同じで、投票所内に居る係員の人に、「投票済証明書が欲しい」と意思を表明すれば良い。

未成年の投票者は是非「投票済証明書」を手に入れてほしい

日本ではこれまで20歳以上の男女に選挙権(投票権)が与えられていた(戦前は25歳以上、さらに当初は一定以上の財産所有が前提条件だった。つまり70年ぶりの選挙権の年齢引き下げとなる)。2016年6月19日に改正公職選挙法が施行され、それ以降としてはじめての選挙となるのが、今回の第24回参議院議員選挙。日本の選挙史上、いや日本史にも刻まれるであろう選挙となる。

はじめての未成年者、18歳・19歳も投票可能となる選挙による投票。偶然にもその名誉的な権利を得られた、今回投票が可能な未成年者は、是非とも投票所に足を運び、今件の「投票済証明書」を入手してほしい。自身にとって一生の思い出のアイテムとなるに違いない。

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一方で今回の選挙に関し、投票したことをアピールするために、投票所内、さらには投票用紙に候補者名を書いた用紙をスマートフォンで写真に撮り、ソーシャルメディアに投稿する事案が見受けられる。承認欲求、自己アピールとしての写真撮影は珍しくないが、投票所に明示されている通り、投票所内での撮影は一切禁止されている(今回の各写真も当然投票所外でのもの)。「自分だけしか写さないから」などという言い訳も通用しない。係員などに確認されれば、当然おとがめを受けることになる。投票行動をアピールしたいのなら今件の「投票済証明書」を取得すれば良いまでの話である。

「投票済証明書」で色々得することもある

選挙権を行使した証として自分の誇りにするとともに他人にも自慢が出来る「投票済証明書」ではあるが、それに留まらない効用が得られる機会も増えている。主に投票率のかさ上げを推し進めるための啓蒙的行動で、昨今では若年層の投票率の低さが社会問題化していることもあり、とりわけ若年層向けの仕組みが展開されている。

↑ 第47回衆議院総選挙・年齢階層別投票率。若年層の投票率は低い
↑ 第47回衆議院総選挙・年齢階層別投票率。若年層の投票率は低い

例えば【「投票済証明書」で検索すれば】分かるのだが、地方によって「投票済証明書」の提示でさまざまな特典が得られる用意がなされている。商店街をはじめとした特定の営業団体、個人営業店舗、さらには若年層の活動を支援するグループなども特典などを提示している(「センキョ割」などという造語もある)。

例えば 福岡県北九州市にある辻利茶舗では、投票済み証明書を店舗に持参すると、抹茶ソフトが一回限りだが通常300円のものが100円になるというサービスが展開されている(Facebook内「選挙割」ページ)

↑ 選挙割のお知らせ
↑ 選挙割のお知らせ

地域別の特典だけでなく、多数の人が集まるイベントでも証明書の提示でプラスαのサービスが用意される事例「も」ある。自分の投票地域で受けられるサービスがあるか否か、是非確認しておくべきだ。

「投票済証明書」の提供が無い場合も

一方、「投票済証明書」は発行の法的裏付けがない、経費の無駄との判断、あるいは選挙投票の啓蒙と営利活動をリンクさせることは良くないとする意見もあることから、証明書の発行を行わない、あるいは取りやめる自治体もある。よってすべての投票所で得られるわけではない。さらには政治団体や労働組合が投票行為の確認のために流用(悪用)しているとの指摘もある。

例えば福島県西郷村では投票済み証明書を発行しないことについて、選挙管理委員会が次のような説明を公知している(「投票済証明書を発行しないことについて」)

・公職選挙法に規定がないこと。

・投票は個人の自由意思によってなされるべきであり、投票に行かなかったことを理由に不利益を受けることがあってはならないものであること。

・利害誘導や買収などに利用されるおそれがあること。

・投票済証明書を発行することの是非について、賛否両論があり、過去の総務省の調査においても半数以上の市区町村において発行していないこと。

・商店街などで割引などのサービスを行っているところもあるが、選挙啓発と営利活動は分けて行うべきあること。

「投票済証明書」が受け取れるか否かは、自分の属する自治体の方針次第であり、運的な要素もある。自分の選挙区で取得できるか否かは、該当地区管轄の選挙管理委員会に問い合わせれば良い。

しかし手に入れることができれば、一生ものとなることに違いは無い。特典を得られる機会も得られるメリットもあわせ、是非とも投票所に足を運び、選挙権を行使して一票を投じ、「投票済証明書」を手に入れよう。

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※今記事は昨年の記事「統一地方選でも選挙へ行き投票済証明書をもらおう」を再構築・補完したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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