会社役員、社員、アルバイト、そして自営業や内職者…職を持つ人の立場別平均所得を確認する
就業形態や仕事場の立ち位置で所得は大きく異なる。その統計上における平均額を、厚生労働省が2016年7月に発表した「国民生活基礎調査の概況」から確認していく。
次に示すのは15歳以上における有業者の、就業状況別の平均年間所得。属する世帯全体では無く、働き手本人の所得であり、世帯構成や人数で変化は生じない。なお「国民生活基礎調査の概況」では所得は給与・賃金以外に賞与も該当し、税金や社会保険料も含んでいる。現物支給の場合は時価で見積もった額に換算して含めている。ただし事業所得(自営業など)では収入から仕入れ原価・必要経費(税金・社会保険料は該当せず)を差し引いた金額となる。
調査対象母集団全体では335.2万円。これが会社などの役員となるとほぼ倍の733.6万円となる。正社員では442.8万円だが非正規では159.9万円と半分にも満たない。ただしこれはパートやアルバイトが混じっているからで、派遣社員や契約社員・嘱託では258.6万円となる。
自営業者は329.6万円。ただ職種によりピンからキリまでなので、あくまでも今調査の対象となった人の平均としての参考値程度。むしろ内職などの場合、161.4万円との具体的な値が確認できたのは注目すべき。
これを男女別に見たのが次のグラフ。
女性は男性の大よそ半分程度の金額に留まっている。これは不思議なことにどのような就業状況でも変わるところが無い。役員の立場ですら、女性は522.6万円で、男性の正社員の平均とほぼ同じ。
最後に経年変化。「国民生活基礎調査の概況」の今件項目では2003年以降のデータが収録されている。役員や正規・非正規それぞれの推移は他の調査でも取り上げる機会も多いことから、ここでは非正規の詳細区分として、「パート・アルバイト」と「派遣社員、契約社員、嘱託など」について、男女別の動向を確認する。
意外にも取り扱われている期間内ではパート・アルバイトも契約社員なども、所得に変化はほとんどない。むしろ女性に限ればこの10年あまりの間にわずかながら上昇する動きすら見受けられる。雇用市場の変化に伴い、ここ数年は非正規でも時給が上昇していることは、アルバイト市場を見れば明らかであり、今後は今件調査結果でも小さからぬ動きもみられるかもしれない。
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