日本、そして諸外国のLINEの利用実態
日本で普及率が高いとされるチャット型ネットサービス「LINE」。そのLINEについて日本や諸国の年齢階層別における利用率を確認していくことにする。日本では若年層を中心に浸透が進んでいるが、他国ではどのような状況なのだろうか。総務省が2016年8月に発表した2016年版の情報通信白書の公開値を元に確認していく。
該当する調査の要項は2016年2月に日本、アメリカ合衆国、イギリス、ドイツ、韓国、中国に対してインターネット経由にて20代から60代までを対象として行われたもので、有効回答数は各国1000件。男女比、10歳区切りの年齢階層比はほぼ均等割り当て。今件該当部分はインターネットを用いたサービス「LINE」に関する利用状況を尋ねているため、インターネットへのアクセス機会率が低い高齢者、そして一部国家においては、その対象全体との間にぶれが生じている、具体的にはインターネットに有利に数字が動いている可能性がある(インターネットを利用していない人は回答に加われない)。さらに中国では原則的に当局によってLINEの利用を禁じられているため(代替サービスの一つが微信(WeChat))、それらの点を留意した上で見ていく必要がある。
次に示すのはLINEの年齢階層別利用率。デザインが崩れる形となっているが比較がし易いように、縦軸の仕切りはすべて100%上限としている。
日本ではLINEの利用率が他国と比べて非常に高い値が出ている。特に20代の若年層ではほぼ3/4に達している。今調査は20歳以上が調査対象だが、仮に高校生まで調査を広げれば、8割から9割にすら届くかもしれない。また、インターネット利用者限定との前提があるが、60代でも2割近くが利用しているのは、日本におけるこの類のサービスとしては驚くべき値に違いない(ちなみに日本の60代における類似サービスの利用率はツイッターで11.0%、Facebookで26.0%)。
他国では日本と比べて、一回りも二回りも大人しい値に留まっている。調査対象国の中では日本に次いで多い韓国ですら、利用率は約2割。30代が最多利用率を示しているのは興味深い動きだが、それでも3割に届かない。アメリカ合衆国では30代で2割が最大で、40代以降は急に値が減り、50代以降はゼロとなる。
イギリスやドイツ、オーストラリア、そして中国は数%の割合でしかなく、実質的にはほとんど使われていない状態に等しい。インドでは韓国には及ばないもののそれなりに高めの値を示し、全体値としてはアメリカ合衆国以上。年齢階層別の利用状況はむしろ日本のそれに近く、若年層での利用が際立っている。
LINEの広報資料を見る限りでは、日本以外の諸国にも相当の浸透が進んでいるはずだが、今件がインターネット利用者限定の回答率であるにも関わらず、韓国やインド以外ではさほど大きな値が出ていない。これは多分に、情報通信白書に係わる他の記事でも言及している通り、「アカウントを取得して利用経験がある」「気が向いた時に時々使っている」人と、「日常茶飯事的に使っている」人との差があるのだろう。
今件はアカウントの所有者では無く、LINEを日常生活の中に取り込んだような形で利用している、回答者が今回の調査の際に「利用している」と認識している人の率に他ならない。複数の銀行口座を有しているが、メインバンク以外はほとんど使っていない場合、メインバンク以外の銀行に関して「使っている」と答えるか否かをイメージすれば良い。
他方、日本ではチャット型ウェブサービスの利用が多分にLINEに集中している傾向がある。
他の汎用的なサービス、例えばFacebookやTwitterなどを併用することも、リスク管理の上では覚えおく必要があるだろう。
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