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10代の1/4近くは「パソコンは自宅にあるけど使っていない」状態

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ パソコンはネットアクセスに欠かせないツール、だったのだが

スマホの普及でネットへのアクセスが容易になったのに伴い、パソコンの必要性が薄れている、若年層にパソコン離れが生じているとの指摘がある。その実情も合わせパソコンの利用実態を総務省の調査「平成27年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2015年11月14日から11月20日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリングによって抽出し、訪問留置調査方式により実施。13歳から69歳の1500サンプルが対象。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日)の結果の公開値から確認していく。

次に示すのはパソコンの所有及び利用状況。自宅にパソコンがある・無しを回答者に答えてもらい、ある場合には回答者自身が利用しているか、それとも利用していないか(置いてあるだけなのか、家族の別の人が使っているかは問わない)、無い場合には自宅に欲しいか、いらないかを答えてもらっている。単純にある無しの回答だけでなく、ある場合には利用状況を、無い場合には所有希望の有無まで尋ねることで、細かいパソコンの需要を精査できる。なお今件はあくまでもパソコンとしか問われておらず、デスクトップ、ノートの別は区別されていない(質問票上の表記は「パソコン(キーボード取り外し型も含む。タブレット端末は除く)」)。またインターネット接続の是非も範ちゅう外となっている。

↑ パソコン所有状況(2015年、自宅)
↑ パソコン所有状況(2015年、自宅)

全体では83.8%の人が自宅にパソコンがあると回答している。ただしそのうち回答者自身が使っているのは64.0%。残りは家族の他の誰かが使っているか、何らかの理由でほこりをかぶっていることが予想される。男女別では男性の方が所有率も利用率も高い。所有率はあまり差が無いが、女性の非利用率が高いため、利用率には10%ポイント強の差が出ている。

気になる年齢階層別の所有状況だが、回答者自身では無く回答者が居る世帯における状況であることから、10代はむしろ所有率は高く、50代までは横ばい、60代でやや下がる程度。一方で利用率を見るとやはり10代は低めで50代と同程度の約2/3に留まってしまう。

10代の1/4近くは「自宅にパソコンはあるが使っていない」とする層。あるいは使っていないのではなく、使わせてもらえないのかもしれない。いずれにせよ、10代のパソコン利用率は2/3足らずにとどまり、1/4近くは「自宅にあるが使っていない」実態にあることに違いは無い。

一方、非所有者の動向を見ると、パソコンに関する属性によるスタンスの違いが見えてくる。値は各属性の非所有者ではなく、全体に対するものであることに注意。

↑ パソコン所有状況(2015年、自宅、「無い」)
↑ パソコン所有状況(2015年、自宅、「無い」)

10代から40代までは無い人の過半数でパソコンを欲しいと思っているが、50代になると無い人のうち要らないとする人の割合が急に増える。そして60代では1/4強が自宅にパソコンは無く、その大部分は欲しくもないと答えている。学生・生徒(中学生から大学生)は自宅にパソコンが無い人の大部分は欲しいと思っているが、無職でほしい人は少数派。パート・アルバイトの職にある人や専業主婦・主婦も自宅に無い人の大部分は要らないと考えている。

年収別動向だが、低年収ほどパソコン所有率は低い=非保有率は高いものの、その多くは「無いが欲しい」では無く、「無いし要らない」の回答。200万円未満では2割強がパソコンは無いし欲しくないと答えている。ただしその属性の1割強はパソコンは無いが欲しいと考えているのもまた事実ではある。

今件における「自宅にパソコンがあるが利用していない」の回答は、家族構成員の別の人が利用している上で「使わせてもらえない」「使いたくない、使う必要性を覚えない」、さらに「自宅にパソコンはあるが誰も使っておらずほこりをかぶっている」などのパターンが考えられる。世帯全体での利用状況を尋ねたわけではないので、家庭にあるパソコンの詳細状況は把握しきれたとはいえない。

とはいえ、各家庭におけるパソコンのポジションはある程度つかめる内容には違いあるまい。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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