小学生以下の子供たちのネット動画視聴動向
インターネットの高速回線化と動画再生技術の飛躍的な進歩、スマートフォンの普及浸透に伴い、機動力が高く利用者が自在に操作できる、利用ハードルの低い動画視聴エンターテインメントが、スマホと動画配信・共有サイトによって現実のものとなりつつある。それに伴い、保護者が環境を提供することにより、幼少時の子供たちも動画を楽しむ機会が増えている。その実情を総務省の調査「平成27年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2015年11月14日から11月20日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリングによって抽出し、訪問留置調査方式により実施。13歳から69歳の1500サンプルが対象。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日)の結果の公開値から確認していく。
次以降に示すのは、調査対象母集団の回答者のうち、自分の子供が居て、しかもその子供が2歳から12歳である人に限った調査結果。該当する子供が複数居る場合は、一番年上の子供について答えてもらっている。あくまでも保護者の目から見た動向で、子供の利用実態とは多少のずれが生じている可能性はある。ただしこの年齢における子供たちが、自分の資力で保護者に気が付かれないように環境を整備し、動画を視聴する可能性はきわめて低い。
まず最初に示すのは、該当する子供がネット動画を観ているか否か。頻度や機種などは一切問われておらず、「観ているか否か」との問いから判断できる状態を示している。
観ている人は65.3%。ゼロ歳から1歳児はともかく、2歳児以上のうち2/3近くが観ているとの認識。1歳単位での詳細動向が知りたいところだが、今調査では非公開となっている。
動画、映像を視聴できるツールとしては、ネット動画を観れる端末以外に、テレビによるテレビ番組が代表的。そこで、ネット動画を観ている子供に限定し、テレビとネット動画とどちらをよく観ているかを確認したのが次のグラフ。テレビ番組が多いとする意見は6割強。
ネット動画を観る子供においても、テレビ番組はまだ優勢。ネット動画を多く観る子供は1/4程度でしかない。ネット動画を観る子供自身は65.3%なので、該当する年齢階層の子供全体のうち、65.3%×25.1%=16.4%、約1/6は、ネット動画を中心に映像・動画を楽しんでいる計算になる。
最後にネット動画を観る際の利用端末。複数種類を利用している可能性は多分にあるが、どの機種を一番多く使っているかを答えてもらっている。
やはりスマートフォンを多用している人が一番多く、44.4%。次いでパソコンではなく、タブレット型端末が24.7%と続く。子守アイテム替わりとして子供に貸し与えるのには、パソコンではなくスマートフォンやタブレット型端末の方が都合はよいのだろう。
今調査項目部分は直近となる2015年分調査から新たに導入された項目で、前回分からの経年変化などの動向は確認ができない。見方を変えれば急速に変化するインターネット界隈の中で、子供による動画視聴に関して、世間が大いに注目していることの表れでもある。
昨今では幼少時向けの動画の配信も増えている。同時に、保護者にとって視聴してほしくない類の動画を子供が観てしまい、色々と不安や心配に駆られるとの話も多々見聞きする。過去には無かった環境における子育ての一様式であるだけに、今後の動向が大いに気になるところだ。
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