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夫婦となった二人の出会い、そのきっけかの変移を探る

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 仲睦まじいカップル。出会いはどこで?

気になる「夫婦間の出会いのきっかけ」

現在夫婦生活を営む男女は、何らかのきっかけで知り合い、さまざまな経験を重ね、現在に至っている。その二人の「きっかけ」は何だろうか。実情や過去からの変化を、国立社会保障・人口問題研究所が2016年9月に発表した、日本国の結婚や夫婦の出生力の動向などを長期的に調査・計量している「出生動向基本調査」の最新版となる「第15回出生動向基本調査」の調査結果から確認していく。

現在夫婦生活を営んでいる男女において、知り合った・出会ったきっかけはさまざま。資料では調査年毎の調査結果が記録されているが、直近となる2015年分では「友人・兄弟姉妹を通じて」がもっとも多く30.9%、次いで「職場や仕事」でが29.1%との結果が出ている。もちろんいずれも恋愛結婚。

↑ 夫婦が出会ったきっかけ
↑ 夫婦が出会ったきっかけ
↑ 夫婦が出会ったきっかけ(恋愛結婚の詳細、結婚全体に占める比率)
↑ 夫婦が出会ったきっかけ(恋愛結婚の詳細、結婚全体に占める比率)

1つめのグラフでは見合い結婚(結婚相談所での紹介を受けた事例も含む)も含めているが、大よそ時代の流れと共に恋愛結婚率が高まり、見合い結婚率が低下しているのが分かる。

また恋愛結婚の主要因である「職場や仕事で」「友人・兄弟姉妹を通じて」だが、「職場や仕事で」は経年と共に1992年までは増加していたものの、その後漸減する方向に転じている。一方で「友人・兄弟姉妹を通じて」はずっと増加を続けていたが、3割で頭打ちの状態となっている。今世紀に入ってから「職場結婚」より「周囲からの紹介で」のパターンが目立つようになったことに違いは無い(正社員比率の減少も一因だろう)。

さらにその他の具体的選択肢の回答率も大きな変化が無い一方で、「その他・不詳」の回答率が漸増している動きを見ると、夫婦に至るまでの男女における出会いの機会の多様化が起きている可能性は否定できない。例えばインターネットメディアでの意思疎通(ネットゲームやソーシャルメディア)がきっかけの場合、「その他」へ回答するケースは多分にあると考えられる。

「職場や仕事で」「友人・兄弟姉妹を通じて」の上位傾向は、取得可能な最古の公開値である1982年分以降変わらない。そして「見合い結婚」が年々減少する中で、その2項目に加えて「学校で」が台頭し始め、今世紀に入ってからは「職場や仕事で」「友人・兄弟姉妹を通じて」「学校で」が、現在夫婦生活を過ごしている男女における、出会ったきっかけの上位3項目として君臨している。いずれもが非日常的な場での出会いでは無く、日常的な生活の場が「恋愛結婚における」出会いの場であるのが分かる。

要は恋愛結婚におけるキューピッドは、日常生活の中にこっそりと潜んでいる「かもしれない」次第ではある。

出会いとゴールインとの差異

余談ではあるが、今件「出会ったきっかけ」は夫婦間だけでなく、単身者だが現在異性の交際相手がいる人に対しても問い合わせが行われている。直近分となる2015年分に付き、単身者と夫婦(=付き合い続けゴールインした人たち)との差を比較したのが次のグラフ。単身者の値は男女それぞれ別であることから、対象者の数を基に加重平均を行っている。

↑ 夫婦が出会ったきっかけ(夫婦・18~34歳の未婚者で異性の交際相手がいる人別(男女別を加重平均))(2015年)
↑ 夫婦が出会ったきっかけ(夫婦・18~34歳の未婚者で異性の交際相手がいる人別(男女別を加重平均))(2015年)

単身者で異性と付き合いがある人がそのまますべて結婚に至れば、両者の値にはさほど違いは生じないはず。しかしながら実際には「学校で」「アルバイトで」「サークル・クラブ・習い事」をきっかけにして付き合っている人の割合は、未婚者の方が高い。逆に「職場や仕事」「友人・兄弟姉妹を通じて」は夫婦の方が高い値が出ている。

単純比較はややリスクが高いが、それを承知の上で推測すると、「学校で」「アルバイトで」「サークル・クラブ・習い事」がきっかけに付き合っているカップルは結婚に至る可能性がやや低めで、「職場や仕事」「友人・兄弟姉妹を通じて」は高めと見ることができる。周囲のしがらみが関わってくるとすれば、納得のいく結果には違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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