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未婚女性が望む結婚後のライフスタイルは専業主婦から家事・仕事の両立へ

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ やがて結婚するであろう二人。夫婦世帯の共働きが増える中、女性自身が望むのは

未婚女性が望む将来像の一つに挙げられるのが、婚姻を経た結婚生活。その結婚生活においても、専業主婦か兼業主婦か、子供を持つ・持たない、就業状態の変化など、さまざまな条件分けによる生活様式の違いがある。また結婚を選択せずに一生仕事を続けるとの選択もありえる。その願望の実情を国立社会保障・人口問題研究所が2016年9月に発表した、日本国の結婚や夫婦の出生力の動向などを長期的に調査・計量する「出生動向基本調査」の最新版「第15回出生動向基本調査」から確認していく。

未婚女性が描くであろう女性自身の将来像・ライフコースにおいて、次の5パターンを設定。回答者がどのような生き方をしていきたいか尋ねたのが今項目の主旨。

・専業主婦……結婚し子供を持ち、結婚や出産の機会に退職。その後は仕事を持たず。

・再就職……結婚し子供を持つが、結婚や出産の機会に一旦退職。子育て後に再び仕事を持つ。

・両立……結婚し子供を持つが、仕事も一生続ける。

・DINKS……結婚するが子供は持たず、仕事を一生続ける。

・非婚就業……結婚せず、仕事を一生続ける。

独身者で仕事もせず結婚もしない場合、生活そのものが立ち行かなくなるので選択肢は用意されていない。回答率は全部足しても100%に達しないが、「その他・不詳」があるため。

この5つの選択肢について、「理想」(可能ならば、理想としてこのように生きたい)と「予定」(実際にはこのように生きていくことになりそうだ)の双方について女性に聞いた結果が次のグラフ。

↑ 調査別にみた未婚女性の理想のライフコース
↑ 調査別にみた未婚女性の理想のライフコース
↑ 調査別にみた未婚女性の予定のライフコース
↑ 調査別にみた未婚女性の予定のライフコース

理想も予定も次第に「専業主婦」が大きく値を減らし、「両立」が増加しているのが確認できる。理想では前世紀末で底打ちしたようにも見えるが、予定では一直線の減少度合いが印象的。結婚関係が「友達関係の延長上」的な意味合いを持つと認識する夫婦が増えてきた件と合わせると、「結婚して自分の好きな仕事を辞める必要は無い」との考え方が女性の間に浸透しつつあると読みとれる。また同時に、経済的な問題から専業主婦で世帯を維持するのは難しいとの認識が広まっているのだろう。「理想」で「再就職」「両立」が高い値を示しているのもその裏付けとなる。

予定で「再就職」が漸減し、「両立」が増加している動きを見るに、結婚や出産に伴う退社を経た再就職が難しいとの認識、あるいは退社はしたくないとの自意識の高まりも見受けられる。

この考え方は仕事と結婚を天秤にかけた際のバランス感覚にも影響を与えており、「予定」において「非婚就業」の割合が大きな増加している傾向に影響を与えている。仕事のウエイトが大きく、結婚以上の価値を見出したというパターンとの解釈が可能。あるいは単に結婚への期待感、可能性を肯定できず、就業し続けるしかないとの判断もあるのだろうが。この「非婚就業」が直近の予定では2割を超えており、未婚女性の2割は「自分は結婚できない」と認識しているのは覚えおくべき状況に違いない。

余談になるが、「男性」から見た「将来パートナーとなるであろう未婚女性に期待する」ライフコースは次の通りとなる。「専業主婦」の減少や「両立」の増加の点では女性と変わるところが無い。

↑ 調査別にみた、男性が未婚女性に期待するライフコース
↑ 調査別にみた、男性が未婚女性に期待するライフコース

「予想」では無く「期待」との視点で見ても「専業主婦」の減少や「両立」の増加が確認でき、男性側も女性の就業を認める傾向が高まりを見せている、あるいは金銭的に認めざるを得ないと判断することができよう。ただしそれは同時に、家事や育児において男性側の手助けが必要不可欠になることを意味する。男性が結婚相手の女性に仕事と家事の両立を求めるのなら、男性側も積極的な手助けをする姿勢が欠かせまい。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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