毎日見る人4割強、皆無な人は3割足らず…インターネットによるニュース閲覧、その実情は
毎日ネットニュースを見る人は4割強
紙媒体の新聞の需要が減る原因の一つがインターネットの普及。では実際に、どれほどの人がネット経由でニュースを閲覧しているのだろうか。財団法人新聞通信調査会が2016年10月に発表した「2016年メディアに関する世論調査結果」(2016年8月19日から9月6日にかけて住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女個人5000人に対して、専門調査員による訪問留置法で実施。有効回答数は3308人。有効回答者の属性は男性1568人・女性1740人、18~19歳70人・20代306人・30代460人・40代539人・50代524人・60代696人・70代以上713人)から、確認していく。
調査対象母集団全体(インターネット利用者に限らず)に、インターネット上のニュース(特に定義は無いので、回答者が「ニュース」と判断できる情報はすべて。また文章に限らず、図面や動画も含む。インターネット上のニュース「サイト」の閲覧状況ではないことに注意)を閲覧するか否か、閲覧するのならどの程度の頻度かを聞いた結果が次のグラフ。42.9%が毎日閲覧していると回答した。他方「見ない」との回答は29.8%。
週一以上の頻度なら65.0%。6割強の人が見ている計算になる。最近では新聞社やテレビ局の公式サイトだけでなく、ポータルサイトや主要ソーシャルメディアでもコンテンツの一つとして通信社経由のニュースを転載の形で配信、さらに新聞社などが公式のアカウントを取得してソーシャルメディア上で速報などを流している。目に留める機会が増えれば、当然気になって読んでしまう人も増えることになる。「見ない」はあえて読まない人に加え、インターネットそのものを利用していない人も多分に含むと考えて良いが、全体から見た閲覧率はそれなりに高いと見て良いだろう。
これを属性別に仕切り分けし、毎日見る人、そして頻度はともあれ見る人の状況を確認したのが次のグラフ。インターネットそのものの利用性向も、多分に影響することに注意が必要となる。
ともあれ目を通す人は7割近く。男女別では男性が7.7%ポイント高く、年齢階層別では40代までが9割前後、50代で下落基調に入るがそれでも8割台、60代以降になってようやく値の落ち方が急になる。大よそインターネットそのものの利用性向に比していると見て良いだろう。
他方毎日見る人となると4割強に留まる。年齢階層別では10代もあまり多くは無く4割と少々、20代以上40代までが6割から7割でボリュームゾーン、50代以降は漸減していく。30代は最多で、直近では実に全体の7割強(インターネット利用者比ではないことに注意。30代全体の7割強である)が毎日取得をしている。インターネットの利用性向に加え、ニュースそのものの必要性、さらにはインターネットでニュースを取得する行動への慣れなどが大きく影響しているものと考えられる。
そしてここ数年の変移だが、大体の属性で増加傾向が見受けられる。特に中堅からプレシニア層の伸びが著しい(「見る人合計」の40代まではほぼ天井だろう)。一方で若年層、特に10代の「毎日」の値が停滞気味の動きをしているのがやや気になる。口コミレベルの情報を「インターネットニュース」とは認識していない可能性もある。
7年間の変移
今調査はほぼ同じ様式で毎年行われているが、今件調査項目は2009年度から比較が可能な形で設定されている。そこで2009年度分と2016年度分を比較したのが次のグラフ。
毎日読む人は中堅層全般に増加している、とにかく目を通し始めた人はプレシニア層に多いことが分かる。インターネットの利用性向拡大に伴う部分もあるが、それに加え各サービスの配信ニュースの充実、マルチメディアによる展開の促進もまた、大きな要因。
一方10代から20代においては伸び悩み、さらには減退の動きが生じている。2013年度まではこの世代でも漸増していたが、2014年度以降はこの傾向が生じている。回答用紙が非公開のため推測でしかないが、若年層はソーシャルメディア上のみで閲覧し終えるニュースの類は「インターネットニュース」とは認識せずに回答している可能性がある。
つまりニュースのような情報はFacebookやツイッター、mixiのようなソーシャルメディアで口コミスタイルでダイジェスト的なもの(電車内のつり革広告レベル)を取得しており、日々の情報はそれで十分とするものだ。あるいは友人知人からの伝聞で満足してしまう。気になるニュースがあれば、それらの口コミからリンクをたどってニュースとしての記事で確認するため、閲覧そのものの経験はプラス化を続けているが、頻度は毎日ではない次第である。
他調査でも多分に見受けられる情報のつまみ食い的取得傾向の増加と合わせ、大いに気になる動きに違いない。
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