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喫煙率は成人男性30%・女性8%、そして受動喫煙の実情は

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 道路でも見かけるようになった喫煙に関わる規制。喫煙者の肩身が狭いこの頃だが

成人喫煙率は男性30%、女性では8%

日本を問わず先進諸国全般で減少しつつある喫煙率。それと共に喫煙を意図しない人が副流煙で喫煙したのと同じ状態となる受動喫煙も問題視されるように。その実情を厚生労働省が2016年11月に発表した「平成27年国民健康・栄養調査結果の概要」(調査時期は2015年11月。今回調査分では調査実施世帯数は3507世帯で、調査方法は調査票方式)から探る。

今調査によれば直近2015年における成人男性の喫煙率は30.1%、女性喫煙率は7.9%となった。男性よりも女性の方が喫煙率は相当低め。

↑ 現在習慣的に喫煙している人の割合(20才以上)(2015年)
↑ 現在習慣的に喫煙している人の割合(20才以上)(2015年)

男性は20代で低めだが30代で大きく跳ね、40代から50代はやや落ちるが高い値で推移、50代から漸減し、70歳以上で大きく減退。しかし女性は40代をピークとするものの、30代から50代まではほぼ同率を維持し、60代以降に減退を示す。男女で年齢階層別の喫煙率に係わる変化に違いが生じているのは興味深い。主な生活時間を職場で過ごすか、自宅で過ごすかの違い、ストレスの感じ方も多分に影響しているのだろう。

男女とも大よそ歳を経るに連れて喫煙率は減退する。しかし70歳以上でも男性では15.2%、女性では2.3%がなお喫煙を続けている。

これを男女別に経年変化で動向を確認すると、漸減しているのが分かる。

↑ 現在習慣的に喫煙している者の割合の推移(20歳以上)
↑ 現在習慣的に喫煙している者の割合の推移(20歳以上)

特に男性はこの12年で17%ポイント近い下げ幅を示している。他方女性は元々値が低いのも一因だが、あまり変化が見られない。この様相はJTの喫煙率調査と同じ動きといえる。

なお「国民健康・栄養調査」では、年齢階層で大きな違いが生じる項目に関して、長年の経緯を追うものについて、世代構成比の変化が全体平均値に大きな影響を生じさせるため、2014年分のデータ公開から年齢調整が成されたものも併記される形となった。こちらの値であれば、経年における高齢者の比率増加に伴う、平均値のゆがみを考えなくても済む。

↑ 現在習慣的に喫煙している者の割合の推移(20歳以上)(年齢調整後)
↑ 現在習慣的に喫煙している者の割合の推移(20歳以上)(年齢調整後)

男性は漸減中だが2010年の大きな下げを除けば減り方は緩やか、女性もほぼ似たような動きであるのが分かる。

受動喫煙を実体験している人は

喫煙には当事者が直接たばこを吸う以外に、周辺環境によって当事者の意図することなくたばこの煙(副流煙)を吸ってしまう機会がある。これを受動喫煙と呼んでいるが、今調査では不定期で調査を実施している。今回分の2015年分では実施されており、2008年・2011年・2013年に続く値を確認できる。

現在習慣的に喫煙している人「以外」で、過去一か月の間に受動喫煙の機会があったか否かを場所別に尋ねた結果が次のグラフ。家庭では毎日、それ以外では足を運んだ経験がある人のうち、月1以上で機会があった人の割合を示している。

↑ 現在習慣的に喫煙している人以外で、受動喫煙の機会を有する者(20歳以上)(家庭は毎日、それ以外は月一以上(「行かなかった」除く))
↑ 現在習慣的に喫煙している人以外で、受動喫煙の機会を有する者(20歳以上)(家庭は毎日、それ以外は月一以上(「行かなかった」除く))

調査実施年がまちまちで、かついくつかの施設では2013年分からの調査のため、それ以前の調査年部分は空欄となっている。多少のばらつき、ぶれはあるが、家庭や職場など繰返し同じ場所に足を運ぶ場所を中心に、大よそ減少する傾向にある。また各公的機関や不特定多数が集まる場所では分煙・禁煙化が進んでいるものの、まだ十分とは言い難い実態も見えてくる(少なくとも嫌煙家にはそのように見える値ではある)。

他方、受動喫煙の防止対策が推進されることを望む場所に関する問いでも、「飲食店」「路上」のような、実際に受動喫煙の経験がある場所における要望が高い。

↑ 受動喫煙防止対策が推進することを望む場所/受動喫煙の機会を有する者(20歳以上)(2015年)(現在習慣的に喫煙している人以外対象)(家庭は毎日、それ以外は月一以上(「行かなかった」除く))
↑ 受動喫煙防止対策が推進することを望む場所/受動喫煙の機会を有する者(20歳以上)(2015年)(現在習慣的に喫煙している人以外対象)(家庭は毎日、それ以外は月一以上(「行かなかった」除く))

「子供が使う屋外空間(公園や通学路)」では実機会が少ないにも関わらず強い要望がある一方、機会が多い「職場」では要望はさほど出ていない。受動喫煙防止対策の実情の一端を理解できる結果には違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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