サラダや料理用カット野菜、その利用実情を探る
実はサラダ用カット野菜は男性に人気
調理の手間が省け、野菜が割高な時にも安定価格で入手でき、適量を入手できるなど、利点の多さから多種多様な種類が販売されているカット野菜。その利用実情を、JC総研が2016年12月に発表した、野菜や果物の消費行動に関する調査(※)の結果を元に確認していく。
次に示すのは、今調査対象母集団における属性別のサラダ用カット野菜の摂取頻度を、週あたりの日数ベースで示したグラフ。元々今調査の調査項目ではカット野菜の摂取頻度について週あたりの利用日数を「ほぼ毎日」「週3~4日」「週2~3日」「週1日」「週1日未満」「まったく食べない」のいずれかで答えてもらった結果が提示されているが、それを基に概算平均値を独自に算出している。
全体平均では1.14日。一週間にほぼ1日の割合でサラダ用のカット野菜を使っていることになる。これが属性別では女性よりも男性の方が多く、特に既婚男性では1.39日との高値が出ている。調理の手間をかけずに気軽に野菜を食すことができるのが、重宝されているのだろう。昼食時にお弁当の付け合わせ的な感覚で食しているケースもあるのかもしれない。
世代別に見ると20代では少なめだが、それを除けば大よそ若年層の方が利用頻度が高い。30代では1.26日と、年齢階層別では最大値を示している。逆に60代になると0.99日となり、週一を切る形となる。
統計結果の見方を変えると、各属性の傾向が良く見えてくる。
既婚男性はほぼ1割が毎日サラダ用カット野菜を使っている。一方、女性の毎日利用者は5%前後。女性陣の方が高頻度の利用者は少ない。女性はサラダを食べないのではなく、サラダ用カット野菜を使わないだけだと考えられる。素材のこだわりの違いがよく出ていると解釈すれば良いのだろうか。
また年齢階層別では意外にも歳を経るほど「ほぼ毎日」の人、そして「まったく食べない」の双方の回答率が高くなる。便宜性を重要視して割り切るか、こだわりを持ちサラダ用のカット野菜を遠慮するか。年上ほど反応が二極化するのは興味深い動きではある。あるいは元々一定率の常用者がいる一方で、サラダそのものの需要が歳と共に減っているのかもしれない。つまり「サラダ用カット野菜」を摂取しないのではなく、「サラダ用カット野菜も含めサラダは食べない」人が増えるとの考え方である。これも一理はある。
料理用のカット野菜の場合は?
サラダ用カット野菜よりも歴史は古く、冷凍食品として多種多様な形で発売されているのが、料理用カット野菜。煮物やカレー用など対象の料理向けとしてさまざまな種類の野菜が一つのパックに収められているのもあれば、単一種類の野菜が素材の形で提供され利用者が単独、あるいは組み合わせて料理に用いるのもある。ミックスベジタブルもある意味「料理用カット野菜」には違いない。
その料理用カット野菜の平均摂取頻度を算出した結果が次のグラフ。
全体では0.84日/週。これが既婚男性では1.07日/週にまで跳ね上がる。世代別では30代が一番多く、それ以降は歳と共に漸減していく。恐らくはサラダ用カット野菜同様、調理の手間が省けることに加え、多様な食材をいちどきに気軽に摂取できる強みが男性や若年層に好まれているのだろう。
サラダ用カット野菜と比べると、いくぶん利用頻度は低く「全く食べない」率は高いものの、特定回答項目の回答率でも同じような傾向は確認できる。
単身男性の料理用カット野菜の摂取頻度で「まったく食べない」の回答率は45.2%。見方を変えると5割強は何らかの形で料理用カット野菜を用いている。既婚男性もほぼ同率。30代までの若年層ならほぼ2/3が利用に該当する計算となる。既婚女性でも4割強に達しているのは興味深い。また歳を経るに連れて一般的に野菜そのものの利用は増加するにもかかわらず、料理用カット野菜の利用率が減退していくのは、やはり本来の姿形で入手する、食することへのこだわりが強いからだろうか。
調理の仕方を学べない、購入者の立場からはコストが割高などの批判・弱点もあるが、カット野菜の市場が拡大傾向にあることは間違いない。
コンビニやスーパーの惣菜コーナーの充実と共に、中食において不足しがちな野菜をサラダ用のカット野菜で補う動きもある。調理の技術が未熟な単身者には、カット野菜は調理、そして量の調整の上でありがたい存在。特に女性陣や高齢層における今後の需要動向には、大いに注目したいところだ。
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