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高校生では2割が「現在虫歯あり」…子供達の虫歯の現状を探る

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 歯医者は子供にとって苦痛の場所の一つ。虫歯にならないのが一番なのだが(ペイレスイメージズ/アフロ)

基本的には該当部分を削るしか治療方法が無い、そして放置しておくと状況は悪化し痛みが増すばかりで、多くの人には苦痛に他ならない虫歯。子供達は特に虫歯が多そうに見えるが、実情はどうなのだろうか。子供達の虫歯の現状を文部科学省が2016年12月に発表した「学校保健統計調査」から確認していく。

まずは学校別の比率。「処置完了者」は虫歯を持っていたがすでに治療が終了した人。「未処理歯有の者」は今だ治療していない、あるいは治療中の虫歯がある人を指す。例えば幼稚園児では全体の14.53%が「虫歯だった」、21.11%が「現在虫歯持ちです」となる。

↑ むし歯の者の割合(2016年度)
↑ むし歯の者の割合(2016年度)

興味深い動きとしては、中学校で一度虫歯率が減少する動きがあること。これは後述の年齢別で明確に判断できる数字が出てくるが、理由としては「乳歯が永久歯に入れ替わる過程で、虫歯・処置完了の歯もろとも抜けてしまった」が考えられる。実際、今回発表の報告書でもその可能性を示唆しており(「10歳から12歳において割合が減少するのは、乳歯が生え替わることが影響していると考えられる」と記載されている)、道理の通る解説ではある。

続いてこれを年齢別に細分化した上で確認したのが、次のグラフ。

↑ むし歯の者の割合(2016年度)(年齢別)
↑ むし歯の者の割合(2016年度)(年齢別)

10歳~12歳までは虫歯率が明らかに減少する。これは前述したように、乳歯から永久歯に入れ替わる過程で、虫歯まで一緒に抜けてしまうのが主要因。しかしせっかく歯の入れ替えで下がった虫歯率も、17歳までにはほぼ元に戻ってしまう。そして一度生えた永久歯を乳歯の時と同じように抜いてしまうと、再び生えてくることは無いので、「虫歯だから」との理由だけで抜くのははばかられる(無論治療の最終手段として「抜く」選択肢は存在しうるが、生え代わりは無い)。

最後に男女別で現状を確認する。

↑ むし歯の者の割合(2016年度)(男女別)
↑ むし歯の者の割合(2016年度)(男女別)

小学生までは男性の方が虫歯率が高いが、中学生以降はむしろ女性の方が高くなる。中学生以降は男性より女性の方が成長が早いことで知られているが、それが要因なのだろう(つまり「乳歯から永久歯への生え変わりに合わせ、虫歯ごと抜いてしまう」究極の対策カードを早めに使い果たしてしまう)。

あるいは食生活上で甘いモノ好きの特性が中学生以降、女子に顕著に表れるのかもしれないが、今データからだけではその判断は不可能である。ただ、トリビア的に覚えておくと、ちょっとだけ得した気分になれる。もちろん、虫歯そのものは無い方が良いに越したことはないのだが。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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