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ロック画面未使用は3割近く…米国スマホセキュリティ事情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ スマホの安全対策はどこまでなされているか。その米国事情

インターネットへのアクセスを容易にし、しかも高い機動性を有することで便宜性を飛躍させ、インターネットそのものの利用スタイルを大きく変えたスマートフォン。この数年間における社会の変化において、一番大きな影響を与えたと評しても過言ではない。一方で多分に利用者本人との結びつき、プライバシー的要素も強いことから、スマートフォンへのセキュリティの認識は自己防衛のためにも欠かせないものとなりつつある。今回はアメリカ合衆国の民間調査会社PewResearchCenterが2017年1月に発表した、同国におけるデジタル界隈のセキュリティへの認識の実情に関わる調査報告書「Americans and Cybersecurity」(※)の内容をもとに、同国内におけるスマートフォンのセキュリティに関わる実情などを確認していく

スマートフォンのセキュリティ対策にはいくつかの手法が存在する。まずはスクリーンロックについて。物理的に第三者の手に渡った場合(盗難や置き忘れ)、容易にその人に操作をされるのは良い状態とは言えない。スマートフォンは個人とリンクしており、プライベートな内容を探られたり、なりすましによる不法行為が成される可能性があるからだ。それを防ぐための仕組みがスクリーンロックであり、そのロックを解除する仕組みとして何を導入してるかを尋ねている。

↑ スマートフォンのスクリーンロックについて(2016年春、アメリカ合衆国、スマートフォン利用者限定)
↑ スマートフォンのスクリーンロックについて(2016年春、アメリカ合衆国、スマートフォン利用者限定)

大よそ青系統色が濃い方がセキュリティの度合いが高いがPINコードの入力は25%、指紋認証は23%の人が導入している。パスワードは9%、ドットパターンも9%、その他の様式は2%。

他方、ロックをかけていない人は28%と3割近くに登っている。例えるならば常に鍵をつけたままで自動車を放置しているようなもの。恐らくは利用の際に自分自身でロックを解除する手間が面倒くさい、他人の手に渡ることはありえないと自信を持っているからなのだろうが、危険極まりないのは言うまでもない。

スマートフォンに関わるセキュリティとして、スクリーンロック以外に容易に想定される場面は、アプリケーションやOSのアップデート。時としてトラブルを呼び込む場合もあるが、大部分は不具合の改善であり、セキュリティの向上を意図して行われる。現状ではセキュリティの上で問題があるので、改善・対応策が盛り込まれたプログラムを提供するのが、アップデートの主な目的。なお「自動的に」はOSのオプションとしては(パソコンはともかくスマートフォンでは)存在しないので選択肢として提示されていないと報告書では説明があり、その項目の回答値は空白となっている。

↑ スマートフォンのアップデートについて(2016年春、アメリカ合衆国、スマートフォン利用者限定)
↑ スマートフォンのアップデートについて(2016年春、アメリカ合衆国、スマートフォン利用者限定)

存在が確認できたらすぐにアップデートを行うとの回答は、アプリでは16%、OSでも42%でしかない。利用者の都合がよい時にとの回答が最も多く、アプリでは32%、OSでは42%。一番確実かつ安全な選択肢である「自動的に」はアプリで32%と1/3程度でしかない。さらに「しない」との意見もアプリ、OS共に1割程度も存在する。

報告書では一部の属性別傾向に関する言及が確認できる。それによると65歳以上のスマホ所有者ではアプリを更新しない人は21%、OSを更新しない人は23%に登り、平均以上の非更新状態であることが分かる。他方、18~29歳ではアプリを更新しない人は6%でしかなく、OSを更新しない人も13%に留まっている。またその層では48%がアプリを自動更新すると回答しているとのことである。

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※Americans and Cybersecurity

2016年3月から5月にかけてアメリカ合衆国内に居住する18歳以上の人に対しRDD方式で選択された電話による通話応対形式で行われたもので、有効回答数は1040件。うち262件は固定電話、778件は携帯電話(そのうち477件は固定電話非保有者)。国勢調査の結果に基づき各種指標でウェイトバックが行われている。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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