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快進撃!池江璃花子の強さの秘密

萩原智子シドニー五輪競泳日本代表
リオデジャネイロ五輪で躍動する池江璃花子(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

池江璃花子の快進撃

女子100mバタフライの決勝、プールに姿を現した池江璃花子を観て鳥肌がたった。五輪初出場とは思えない冷静さ。五輪に何度目も出場しているかのようなオーラに圧倒された。

決勝の舞台で、目標としていた56秒台をマークし、6位入賞。今大会、個人種目すべてのレースで日本新記録を樹立している。五輪の大舞台で狙ったタイムをきちんと出せる強さは、本物だ。

抵抗の少ない泳ぎ

池江の強さは、体が水面に良く浮いていることだ。それはつまり、体が水に接する範囲が少ないため、水の抵抗が少ない泳ぎであることを証明している。抵抗が少ないと無駄な体力を使うことがない。最もきつい後半の大失速を防ぐこともできる。

抵抗の少ない泳ぎを支えているのは、体幹の強さだ。

約1年半前から、本格的な体幹強化を取り入れてきた。特に目を見張るのは、首の太さ。水中を頭から前に進んでいく際、頭がぐらつくと姿勢も悪くなり、フォームが崩れ、抵抗を受けてしまう。疲れが出てくるレース後半は、特に重要になる。スイマーにとって、頭と体をつなぐ首の強さは生命線ともなる。

柔らかい肩甲骨

加えてスピードを上げた中でも、フォームを崩さず、大きな泳ぎをすることで推進力は生まれる。彼女は幼い頃から鉄棒や雲梯で遊びながら、腕の強さや肩甲骨の動き、体のバランスを養ってきた。

腕だけを回すのではなく、腕と肩をつなぐ肩甲骨辺りを大きく使って泳ぐことができる。それはより遠くの水をとらえることで、多くの水を一度に掻くことができる。すなわち、1ストロークで進む距離が伸びる。これは、しっかりとした体幹、そして柔軟性がある証拠だ。

五輪は始まったばかり

2日目を終えて、残りは5種目。疲労も溜まってくるだろう。しかし五輪の舞台で沢山のレース経験を積めることは幸せなことだ。

天井知らずの彼女は、リオデジャネイロの地で、どこまで成長するのか・・・楽しみに見守りたい。

シドニー五輪競泳日本代表

1980年山梨県生まれ。元競泳日本代表、2000年シドニー五輪に出場。200m背泳ぎ4位。04年に一度引退するが、09年に復帰を果たす。日本代表に返り咲き、順調な仕上がりを見せていたが、五輪前年の11年4月に子宮内膜症・卵巣のう腫と診断され手術。術後はリハビリに励みレース復帰。ロンドン五輪代表選考会では女子自由形で決勝に残り意地を見せた。現在はテレビ出演や水泳教室、講演活動などの活動を行っている。

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