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強化が実った!日本の自由形!

萩原智子シドニー五輪競泳日本代表
52年間の想いを繋いだ銅メダル獲得(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

52年の想い

「男子800mリレーは、僕たちが銅メダルを獲得してからメダルを獲れていない。ぜひ、頑張ってほしい。」数年前、競泳日本代表のOBOG会が開かれた席で、52年前の東京五輪800mリレーで銅メダルを獲得した大先輩からかけられた言葉だ。背筋が伸びたのを今でも忘れない。

その言葉通り、日本の自由形は世界から遅れをとってきた。しかし今日、自由形に関わってきたすべての人の想いを乗せて、男子800mリレーで52年ぶりに五輪で銅メダルを獲得した。日本の自由形の歴史が、再び動きだした。

悔しい想い

世界から遅れをとってきた日本の自由形。私も自由形の選手として泳いでいた際、「自由形は、世界と戦えない種目」と揶揄されることもあった。どんなに努力をしても、世界との差は埋められなかった。他種目が決勝の舞台で世界と対等に戦っている姿をいつも観客席から応援していた。

世界に通用する自由形へ

日本水泳連盟は「世界で戦える自由形に」をテーマに掲げ、2006年から「自由形強化合宿」を定期的に行ってきた。自由形の日本トップスイマーを招集し、練習で切磋琢磨することはもちろん、細かい技術などの情報交換を行い、選手や指導者の意識改革も進めた。普段は、ライバル関係である選手や指導者。その壁を越えて日本の自由形のレベルアップを図ろうと心をひとつにしてきた。

加えて、自由形の選手たちに海外経験の場を与え、世界のスピードを体感するチャンスも積極的に作ってきた。

実を結び始めた強化

日本水泳連盟の自由形強化策は、徐々に実を結び始めた。今大会、男子800mリレーでの銅メダルは大きな成果のひとつだ。

しかしそれだけではない。男女共に、400mリレーでは、日本記録を更新し、決勝進出を果たしている。男子400mリレーで日本の決勝進出は、1968年のメキシコ大会以来、実に48年ぶり。女子に関しては、五輪2大会連続の決勝進出を果たし、安定感を示している。日本の自由形強化が順調に進んでいると言っていいだろう。

明日は、女子800mリレーが行われる。五輪では2大会連続の決勝進出を果たしている種目だけに、7年ぶりの日本記録更新を視野に入れ、決勝での活躍を期待したい。

シドニー五輪競泳日本代表

1980年山梨県生まれ。元競泳日本代表、2000年シドニー五輪に出場。200m背泳ぎ4位。04年に一度引退するが、09年に復帰を果たす。日本代表に返り咲き、順調な仕上がりを見せていたが、五輪前年の11年4月に子宮内膜症・卵巣のう腫と診断され手術。術後はリハビリに励みレース復帰。ロンドン五輪代表選考会では女子自由形で決勝に残り意地を見せた。現在はテレビ出演や水泳教室、講演活動などの活動を行っている。

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