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光学ファインダーと液晶ビューファインダー

塙真一フリーフォトグラファー

一般的に、写真を撮るときにはファインダーや液晶モニターなどで被写体を見ながら、フレーミングを決め、そしてタイミングを見極めてシャッターを押します。

これは一眼レフカメラだろうが、ミラーレスカメラだろうが、コンパクトデジカメであろうが一緒です。

ただ、一眼レフカメラではレンズを通った光を光学ファインダーで見ながら撮影するというスタイルがあります。

これに対し、ミラーレスカメラやコンパクトデジカメの多くは光学ファインダーを搭載しておらず、背面の液晶モニターか、またはEVFと呼ばれる液晶ビューファインダーを見ながら撮影をおこないます。

光学ファインダーだろうが、液晶ビューファインダーだろうが、被写体を見るということに自体に違いはありません。

ですが、光学ファインダーはガラス越しとはいえ、肉眼で見ているのと同じ景色が目に入ってきます。

一方、液晶ビューファインダーは肉眼とは違った電子的な映像を見ていることになります。

●撮れるものがそのまま見えているミラーレスカメラ

ミラーレスカメラのように液晶ビューファインダーや液晶モニターで被写体を見ることには大きなメリットがあります。

それは、写真としてどう写るかがシャッターを押す前から見えているということです。

つまり、色や明るさ、コントラストなどが撮る前から確認できているということになります。

ですので、液晶ビューファインダーや液晶モニターを見ながら、明るさや色に不満があれば設定を変えればよいのです。

そして納得する映像が見えるようにしてからシャッターを切ればよいのです。

そうすれば見えているままに写りますから、当然失敗はありません。(手ぶれなどの失敗はありますが)

ですから、写真の知識がない初心者でも見たままに撮れるということで、大変重宝するのがミラーレスカメラなどの液晶ビューファインダーや液晶モニターなのです。

そう考えると、良いことずくめのように思える液晶ビューファインダーです。

●仕上がりを想像しながら撮る一眼レフカメラ

では一眼レフカメラの光学ファインダーの良さとはいったいなんでしょう。

それは現実の景色(被写体)を見ながら、その現実を美しい、撮りたいと感じながらシャッターを押せることではないでしょうか。

現実を見ながら、それを写真にする。そのときには、現実と仕上がった写真の間にはギャップがあるかもしれません。

どんなギャップがあるかを考えながらシャッターを押す。

「このシーンで写真を撮ったらどのように写るか、設定はどうしたらいいか」を想像しながら撮影をおこなう。

これが写真の楽しさかもしれません。

そのかわり、仕上がりのイメージとカメラの設定が違うと思うような写真にはなりません。

だからこそ、カメラと写真への慣れとイメージ力が必要になるのです。

イメージすることが楽しいと感じられるなら、一眼レフカメラの光学ファインダーの楽しさを実感できるでしょう。

●両方の良さを引き出して使うのがベター

答えを見ながら確信を持ってシャッターを押すのがミラーレスカメラ。

イメージしながらシャッターを押してみて、撮った後に答えが出るのが一眼レフカメラ。

というところではないでしょうか。

失敗しにくいという意味ではミラーレスカメラのほうが優れています。

ただ、答えが見えちゃっている分だけ面白みに欠けるということもあります。

ミラーレスカメラと一眼レフカメラ、どちらが優れているかを論じるつもりはありません。

どっちにも長所、短所はあります。

ならば、どちらも長所を活かした使い方をすればいいのではないでしょうか。

余談ですが、こういう話をすると、「最近の一眼レフカメラにはライブビューモードが搭載されていて、液晶モニターを見ながら仕上がりを確認して撮影することもできる。」という方もいらっしゃるかもしれません。

でも、一眼レフカメラのライブビューモードは、ミラーレスカメラのそれとは比較にならないくらいAFは遅いし、使い勝手もよくありません。

やっぱり一眼レフカメラは光学ファインダーを覗きながら撮るのが基本として作られているのだと思います。

画像

光がきれいなところを見つけるとドキドキしてしまいます。

そんなときには、「ここを撮るとどんな風に写るかなあ」って考えながら撮れる光学ファインダーでの撮影が楽しいですね。

フリーフォトグラファー

東京都出身。人物をメインの被写体とするフリーランスのフォトグラファー。カメラ誌に写真や記事を寄稿するほか、役者、タレント、政治家などの撮影も行う。また、海外での肖像写真撮影、街風景のスナップ、夜の街を撮る「夜スナ!」をライフワークとする。写真展の開催も多数。

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