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SIGMA dp2 Quattroというカメラ

塙真一フリーフォトグラファー

SIGMAというメーカーがあります。

一眼レフカメラやミラーレスカメラ用の交換レンズを作っていることで有名ですが、

実は自社でオリジナルのカメラも作っているのです。

一眼レフカメラのSDシリーズとレンズ一体型カメラのdpシリーズ。

中でもつい最近発売となったdp2 Quattroというカメラはカメラファン、写真ファンに大注目されています。

そのdp2 Quattroについて、私なりの感想を少し書いてみたいと思います。

まずデザインに関してですが、横長のなんとも変わった形です。

デザインの好みは人によって違うでしょうが、手の大きな私にはとても握りやすい形です。

手の小さな女性などはちょっと持て余すかもしれません。

カメラをホールドするコツは左手をレンズの下に添えて、しっかりと両手で持つこと。

写真を撮るときの基本ですが、最近の小型カメラは片手ででも撮りやすい形状のものが多いですね。

このカメラはしっかりと両手で持ってあげましょう。

次にこのカメラ最大の魅力となる画質について。

新開発Foveon X3 ダイレクトイメージセンサー Quattroを搭載しており、驚愕ともいえる解像力の写真が記録できます。

コンパクトデジカメと呼ぶには微妙な大きさですが(笑)、いわゆるレンズ一体型のコンパクト。

なのに、一眼レフカメラの上位モデルと同等かそれ以上の解像力なのです。

とにかく、これにはビックリです。

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レンズは30mmF2.8の単焦点レンズ。

35mm判換算で45mm相当の標準レンズが付いています。

そして、その標準レンズで撮った夜景。

これを100%で見てみると、

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橋の欄干の様子がはっきりと写っています。

もちろん、肉眼ではまったく見えません。

これほどの解像力があるカメラはめったにありません。

(補則ですが、橋の欄干部分が白く飛んでいますが、これは暗めの夜景全体に露出を合わせているためです。そのため、ライトが強く当たった部分が白く飛んでいます。このシーンならどんなカメラでもこうなります。)

しかも処理速度が大幅に向上したため、これほどの写真がほぼストレスフリーで撮れてしまいます。

というのは、ちょっと大げさでした(笑)。

一枚撮りモードでシャッターを切った後のブラックアウトの時間が、ほかのカメラに比べるとまだ若干長いです。

ですが、従来モデルとなるDP2 Merrillでは、一枚撮るごとにずいぶん待たされた印象がありましたが、

Quattroではその待ち時間もわずかになり、本当に快適になりました。(Merrillを使ったことある人ならビックリするはずですw)

また、従来機では肌色などの発色にクセもあり、ポートレートなどを撮るのも非常に神経を使うカメラでしたが、dp2 Quattroでは、ごくごく普通にポートレートが撮れるようになりました。

オートホワイトバランスの精度も高くなり、曇りや雨の日でもポートレートが撮れちゃいます。

(一見当たり前のようですが、dpシリーズでは画期的なことですw)

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モデル:紗々

小雨が降る中のポートレート。ホワイトバランスはAWB。

カラーモードの設定に「ポートレート」が新設され、ちょっと柔らかめの仕上がりが得られます。

このカメラの場合、解像力が高すぎて、スタンダード設定だと写りすぎてしまうんです。

なので、ポートレート設定ができたのは大変ありがたいです。

JPEGでこの仕上がりならポートレートカメラとしても合格といえるでしょう。

(dp2 Quattroの進化点として、JPEGが圧倒的にキレイになったというのが挙げられるでしょう。MerrillまではRAWからの現像が基本といえましたので)

そしてもう一つの進化が高感度の画質ですね。

ISOは6400まで設定できますが、実際に使ってみた感じではISO400までは安心。状況や被写体によってはISO1600までOKという印象です。

ただし、高感度の画質に関しては、ひとそれぞれ求めるものやハードルの高さが違うので、あくまでも参考程度としてください。

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これはISO1600で撮った夜のスナップ。

拡大して見ればノイズもありますが、こういう被写体ならISO1600でも行けそうです。

ホワイトバランスは夜の街を赤っぽくするためにあえて日陰で撮影しています。

ほかにも、カラーモードがシネマやサンセットレッド、フォレストグリーンなど全11種類に増え、モノクロモードも温黒調、冷黒調などが選べるようになったのが嬉しいです。

さすがにアート風写真が撮れるエフェクトモードは搭載されませんが、それでもずいぶんと現代風カメラに進化したと感じます。

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カラーモードをシネマに設定したもの。

独特の色合いに仕上がります。

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カラーモードをモノクロームに設定し、さらに詳細設定で温黒調を選んで撮りました。

セピアとはまた違った味わいのある、懐かしい感じのモノクロが撮れます。

(もちろん、普通の白黒写真も撮れます)

このように、驚くほどの高画質カメラでありながら、ずいぶんと扱いやすく、そして多機能になったのがdp2 Quattroというカメラです。

一般的なカメラに比べると、まだまだ気難しい面もありますし、クセのある描写となることもあります。

でも、それらを考慮しても魅力いっぱいの楽しいカメラだといえます。

「ちょっと人とは違うカメラを使って本気で写真を楽しみたい」、「ただキレイに写るだけじゃ物足りない」という人ならチャレンジしてみてもいいかもしれません。

驚異的な解像力と味わい深い描写力が楽しめるカメラです。私はとても気に入って使っています。

フリーフォトグラファー

東京都出身。人物をメインの被写体とするフリーランスのフォトグラファー。カメラ誌に写真や記事を寄稿するほか、役者、タレント、政治家などの撮影も行う。また、海外での肖像写真撮影、街風景のスナップ、夜の街を撮る「夜スナ!」をライフワークとする。写真展の開催も多数。

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