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進む太陽系探査 -「はやぶさ2」の打ち上げとその意義は?-

縣秀彦自然科学研究機構 国立天文台 准教授

日本の小惑星探査機「はやぶさ2」の予定されていた打ち上げ日時が、2014年11月30日から12月1日13時22分43秒(日本時間)と変更になりました。打ち上げはその日の天候に左右されます。12月9日までが打ち上げウィンドウとなります。

「はやぶさ2」は、2010年6月13日に地球へ帰還し大気中で燃え尽きた小惑星探査機「はやぶさ」の後継機で、鹿児島県種子島にあるJAXA種子島宇宙センターより、HIIAロケット26号機によって打ち上げられる予定です。

「はやぶさ」は2003年に打ち上げられ、2010年には7年間、およそ30億キロメートルの旅を終えて地球に帰還しました。地球大気で燃え尽きたようすを思い出す方も多いかと思います。

「はやぶさ」は、イオンエンジンによる新しい航法を試みながら、太陽系の起源の解明に繋がる手がかりを得ることを目的に、小惑星イトカワの微小サンプルを持ち帰りましたが、はやぶさ2は、さらに太陽系の起源・進化と生命の原材料物質を解明するため、C型小惑星「1999 JU3」への着陸と、サンプルリターン(地球への帰還)を目指します。

小惑星には様々なタイプがありますが、主なものとしてはS型とC型です。イトカワはS型で、砂の成分、すなわちケイ酸化合物(シリケイト)が主な成分であることがその特徴です。

はやぶさ2が目指すC型小惑星は、同じ岩石質の小惑星でありながら、S型のイトカワと比べ、有機物や含水鉱物を多く含んでいると予想されています。つまり、地球上の生命と何かかかわりがあるかもしれないのです。

今回初めて、C型小惑星から岩石を採取しそれを地球に持ち帰って分析することで、太陽系空間にもともとあった有機物がどのようなものであったのかを解き明かすことで、私たち地球上の生命の起源についても何らかの手がかりが得られるのではないかと期待されています。

はやぶさと異なり、はやぶさ2は、小惑星の表面に弾丸を撃ち込み、人工的にクレーターを作ります。人工的に作ることができるクレーターは、直径が数メートル程度のものですが、衝突により露出した表面の内側から岩石サンプルを採取することで、風化や熱の影響を受けていない、新鮮な物質が手に入るのではと期待されています。

はやぶさ2が、C型小惑星「1999 JU3」に到着するのは2018年半ば、1年半ほど小惑星を調査し2019年末頃に小惑星を出発、2020年末頃に地球帰還の予定です。

自然科学研究機構 国立天文台 准教授

1961年長野県大町市八坂生まれ(現在、信濃大町観光大使)。NHK高校講座、ラジオ深夜便にレギュラー出演中。宙ツーリズム推進協議会代表。国立天文台で国際天文学連合・国際普及室業務をを担当。専門は天文教育(教育学博士)。「科学を文化に」、「世界を元気に」を合言葉に世界中を飛び回っている。

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