今年一番のお勧め天文イベント ペルセウス座流星群を楽しもう
ビール片手に満天の星空の下、天の川や流れ星を楽しむ。いまはそんなスター・ウォッチングに最適な季節です。夏の夜空は日々の生活で疲れた心をも癒してくれるに違いありません。満天の星ぼしの間を飛び交う流星に願いを込めるのもよいでしょう。
深夜の時間帯、北から東の空にはカシオペヤ座の下方にペルセウス座が姿を現しています。夏の星空の風物詩とも言えるペルセウス座流星群(以下、ペルセ群)がすでに活動を始めています。ペルセ群は、毎年8月12~13日頃を中心に前後1週間程度見られるもっとも馴染み深い流星群です。1月のしぶんぎ座流星群、12月のふたご座流星群と並んで3大流星群にも数えられますが、平均すると年間通じてもっとも流れ星が飛ぶのはこのペルセ群です。
今年は、日本時間で8月13日15時頃に極大、すなわち活動が最も活発になるのでは?と予想されています。今年の極大時刻は日本では昼間にあたりますが、極大日に近い14日が新月のため、その前後の夜は、月明かりの影響もなく、今年は暗い流星まで見ることができるのです。特にお勧めは12日水曜日の深夜から13日の明け方と、13日木曜日の深夜から14日の明け方です。両日とも晴天に恵まれ空の暗い場所で観察するのなら、1時間に30個以上の流星を見ることができるかもしれません。
流れ星には、散在流星と群流星の2つのタイプがあります。散在流星とは、いつどこを流れるか全く予測が付かない流星で、群流星とは、ある時期に同じ方向から四方八方に飛ぶようにみられる流星のことです。群流星が飛んでくる方向を放射点(または輻射点)と呼びます。放射点がどの星座に含まれているかで、その流星群の名前が決まります。
ペルセウス座流星群の場合、放射点はペルセウス座ガンマ星の近くにあります。8月中、放射点は夕方には地平線の上にありますが、実際に群流星を目にし始めるのは、もう少し放射点が高くなる午後9時から午後10時頃となります。明け方まで放射点は高くなり続けるので、真夜中頃から空が白み始めるまで観察しやすい時間帯が続きます。
したがって、ペルセウス座流星群を観る場合は、8月12日、13日を中心にその前後、一週間程度の間で、晴れた日の晩、夜9時過ぎぐらいから朝4時頃までがチャンスとなります。放射点が高くなるにつれて、すなわち明け方に近づくにつれて流星数が増えていくことが通常です。
流星とは、地球近傍の宇宙空間にある直径1ミリメートルから数センチメートル程度の塵粒が地球の大気に飛び込んできて高層大気と激しく衝突し、地球大気が発光する現象です。
群流星の母天体である彗星は、太陽に近づくと熱せられて、ガス成分のみならず、塵粒を彗星自身の軌道上に放出していきます。この様子はまさに、短周期彗星のチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星 (67P/Churyumov-Gerasimenko) と並走している欧州宇宙機関 (ESA)の彗星探査機「ロゼッタ」が送ってくる太陽に近づいた彗星表面の様子として画像として観ることが出来ます。
彗星から放出された塵粒の集団は、それを放出した彗星の軌道上に密集していますので、彗星の軌道と地球の軌道が交差している場合では、地球がその位置にさしかかると、塵粒がまとまって地球の大気に飛び込んでくることになります。地球が彗星の軌道を横切る日時は毎年ほぼ決まっていますので、毎年特定の時期に特定の流星群が出現するというわけです。
ペルセウス座流星群の母天体は、スイフト・タットル彗星(109P/Swift-Tuttle)と呼ばれる彗星で、太陽の回りを約130年の周期で公転しています。
年間通じて、流星群に関しての話題がニュースや天気予報などでも紹介されるようになりました。これは、1998年から2001年に話題になった「しし座流星群」の影響が大きいと思われます。特に2001年には大出現したのですが、しし座流星群のように年によって飛ぶ数がまったく異なる流星群がいくつもあります。しし座流星群の母天体はテンペル・タットル彗星 (55P/Tempel-Tuttle)。公転周期が33年で、比較的新しい彗星のため、通り道上の塵がかなり不均質であり、約33年の周期で流星出現数が増えたり減ったりしているのです。
毎年楽しめる安定した流星群は年間で10群程度です(1月4日前後のしぶんぎ座流星群、12月14日前後のふたご流星群など)。
国立天文台では、出現数が多いと予想される流星群の場合、流れ星を数えてウェブ上で報告しあおうという流星観察キャンペーンを行っています。今年のペルセウス座流星群では、8月12日から19日まで、「夏の夜、流れ星を数えよう2015」と題して、ウェブ上での参加型キャンペーンを行います。
また、観察の仕方についての詳しい解説ページも用意してあります。流れ星を楽しむのには望遠鏡も双眼鏡も必要ありません。肉眼で見える範囲をなるべく広くとることが流星を見るコツになります。なるべく開けた方向を見てください。ペルセウス座の方向でなくて構いません。空のどこを飛ぶかは分からないのです。そして、快適に楽しめるようブルーシートや寝袋、ベンチか椅子を用意されるとよいでしょう。
国立天文台のトップページの一番下にこれらの詳しい解説ページへの入り口がありますので、ぜひご利用ください。