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城彰二氏が唱える「グループCの反楽観論」。

本郷陽一『RONSPO』編集長

グループCは、本当に楽な組なのか。

確かにW杯優勝経験国はない。コートジボワールは、過去2大会では、グループリーグ敗退、ドログバ、Y・トゥーレというポテンシャルの高いスーパーはいるが、前者は年齢的に全盛期は過ぎている。ギリシャは、硬い守備を誇るが、欧州の中でも下位に位置するチーム。第一ポットのコロンビアは強敵だが、3戦目に戦うことになったので、そこまでにグループリーグ突破を決めておけば問題はない。

スポーツ各紙の評論家の評論を読んでも楽観論が多勢を占める。ニュース解説サイト「THE PAGE」で元日本代表MFの水沼貴史も「楽なグループはW杯に存在しない」としながらも「突破確率は50%」としていた。

私はWEBサイトアスリートジャーナルの記事構成で、元日本代表FWの城彰二さんと話をしたが、城さんは、楽観論の対極にある考え方を持っていた。ズバリ「グループCは厳しい組だ」と言うのだ。

「(突破は)厳しい組でしょう。私はまったく楽観視などできない組に入ったと思っています。南米、アフリカ系のコロンビア、コートジボワールと一緒になりましたからね。彼らは、とんでもない身体能力を持っています。日本は、そういう個の能力で来るチームへの対欧を苦手としています。日本にとって守備での課題を残したままになっているセットプレー、カウンターという戦術をうまく使ってきます。1対1の局面をいかに作らずに組織で対抗できるか。初戦のコートジボワール戦を最低でも引き分けに持ち込めないと難しいでしょう」

城さんは、初戦のコートジボワール戦では、ドログバも当然だが、プレミアでプレーしているY・トゥーレが要注意選手だという。188、79キロの体格を持った攻撃型のボランチだ。

「ゲームメーカー。加えてフリーキックの精度が非常に高い。中途半端なファウルはしてはならないでしょう。彼に直接フリーキックの機会を与えれば与えるほど失点の可能性が高まります」

城さんは、第2戦のギリシャについては、「日本のスタイルに合うチーム。パスワークを生かせば、勝ち点3は計算できる相手」と見ている。

FWに多くのタレントを抱えたコロンビアとの対戦前に勝ち点「6」を奪い、グループリーグ突破を決めておければ何も問題はないのだが、そのためにも、初戦のコートジボワール戦が、大きなポイントの試合になることは間違いない。

「1戦、2戦と会場の移動距離が近いことは日本にとっては恵まれたと思います。コンフェデ杯で一度、経験している場所ですからね。ただ、暑さについては、コートジボワールは苦にしないでしょう。気候対策も、しっかりとやっておかないと、日本にとってアドバンテージになりません」

確かにアフリカンは暑さは得意。平均気温25度以上のブラジルの地の気候も日本は味方につけているわけではない。

城さんの話を聞いていて、筆者が抱いていた楽観論もどこかに飛んでいってしまった。

『RONSPO』編集長

サンケイスポーツの記者としてスポーツの現場を歩きアマスポーツ、プロ野球、MLBなどを担当。その後、角川書店でスポーツ雑誌「スポーツ・ヤア!」の編集長を務めた。現在は不定期のスポーツ雑誌&WEBの「論スポ」の編集長、書籍のプロデュース&編集及び、自ら書籍も執筆。著書に「実現の条件―本田圭佑のルーツとは」(東邦出版)、「白球の約束―高校野球監督となった元プロ野球選手―」(角川書店)。

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