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男子バレー、22歳の初代表セッターに注目!

市川忍スポーツライター

男子大会開幕!22歳の初代表セッターに注目!

いよいよリオデジャネイロ・オリンピックへの出場権をかけた男子バレーボール、世界最終予選兼アジア予選が始まった。

全日本男子は28日の午後7時から世界ランキング20位のベネズエラと対戦。まずは初戦を勝って波に乗りたいところだ。

ベンチ入りする最終メンバーが昨日、発表されたが、その中でわたしが注目したいのはセッターの関田誠大である。

関田は今春、中央大を卒業したばかりの22歳。先のVプレミアリーグではパナソニックパンサーズの内定選手として試合に出場し、勝負のかかった場面でも試合を託されるなど、その資質はすでに注目を集めてきた選手だ。

しかし、シニア代表となると今回が初選出。

大抜擢と見ていいだろう。

「残りましたね…はい。大抜擢って思われますよね。自分でも、そうだと思います、ハハ。選考の段階では残りたいという気持ちはもちろんありましたけど、まさか残るとは思ってもいなかったので…。でも自分としては合宿やアメリア遠征が深津(英臣)さんと2人きりだったので、このまま行くのかなと徐々に覚悟はできていました」

関田は東洋高校時代、柳田将洋とともに全国制覇を経験し、中央大に進んでからは石川祐希を要して全日本大学選手権優勝を経験している。若き両エースとの相性の良さが選考の決定打になったという見方も多いが、関田のセールスポイントはそれだけではない。

セールスポイントは「勝負眼」

世界最終予選兼アジア予選を見据えた全日本男子チームは4月、アメリカに渡りナショナルチームとの練習試合を行った。

その試合で何を感じたかと関田に尋ねたところ、こんな答えが返ってきた。

「世界の強豪チームは高いし、スピードも速い。自分は下のカテゴリー(U-23代表など)でやってきたんですけど、その世代とトップは全然違う。ましてやアメリカは世界一のチーム。そういうチームを相手に試合をすることを経験したいと思っていたので、いい勉強になりました。トスに関しては、ブロックがすごく高いので、あまりネットに近づけないこと。ネットに寄っても、日本のアタッカーはもちろんリバウンドを取ってくれるんですけど、それでもやはり気をつけたいですね。あとは勝負所の選択です。ここぞという場面でどこに上げるかは、より重要だと感じました」

セッターには基本的な技術はもちろん、攻撃を組み立て、ときには伏線を張り、ときには相手を出し抜くような聡明さが必要だ。小学校からすべてのカテゴリーで日本一になってきた関田には、その「勝負眼」が備わっている。

「もちろんセッターで出場することを想定して練習しています。自分の売りはミドルの本数の多さ、コート中央の攻撃を使うこと。出來田敬さん、山内晶大は高い打点を生かすこと。特に出來田さんは高さを生かさないと、出來田さんの良さが出ない。そして富松崇彰さん、傳田亮太さんはスピードや幅を生かせるよう、考えて上げていきたいです」

石川は大事な場面ほど「トス持ってこい」と言ってくる選手

そして旧知の仲である石川、柳田とのコンビにも注目だ。

「石川、マサ(柳田選手)ともに勝負強いアタッカーです。特に石川は大事な場面であればあるほど“自分にトス持ってきてください”と言ってくる選手です。信頼してトスを上げていきたいですね」

初代表でオリンピックの切符を手に入れることができるのか。そのトスワークに注目していきたい。

スポーツライター

現在、Number Webにて埼玉西武ライオンズを中心とした野球関連、バレーボールのコラムを執筆中。「Number」「埼玉西武ライオンズ公式ファンブック」などでも取材&執筆を手掛ける。2008年の男子バレーボールチーム16年ぶり五輪出場を追った「復活~全日本男子バレーボールチームの挑戦」(角川書店)がある。Yahoo!公式コメンテーター

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