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岡田武史氏のW杯展望「日本がGLを勝ち抜くのは間違いない」

小澤一郎サッカージャーナリスト
サニックス杯国際ユースサッカー大会2014の会場で取材に応じる岡田武史氏

20日、国内外からユース年代の強豪チームが集うサニックス杯国際ユースサッカー大会2014が福岡県宗像市のグローバルアリーナで開幕した。昨年に続いて杭州緑城(中国)のユースチームが参加していることもあり、会場には昨季までトップチームの監督を務め、退任後も同クラブのアドバイザーを務める元日本代表監督の岡田武史氏が姿を見せた。

杭州緑城の試合やU-17日本代表対U-17タイ代表のオープニングゲームなど、精力的に初日の試合を視察した岡田氏は報道陣の取材に応じ、開幕まで3ヶ月を切ったFIFAワールドカップ・ブラジル大会での日本代表について「総合力から言って、日本が(グループリーグを)勝ち抜くのは間違いない」と断言した。

「各グループの他チームの予選のビデオも見ましたし、この前(3月5日)コートジボアールの試合(対ベルギー)も見に行ってきました。総合力から言って、日本が(グループリーグを)勝ち抜くのは間違いないんじゃないかなと。個別に見るとドログバが怖いとかあるかもしれないですが、客観的に総合力で見たら日本の方が上。コロンビアにしてもファルカオがいなかったら(チーム力が)半減する。もし彼がいなかったら、日本が1位突破というのは十分ありえると思っています」

■「自分たちで敢えて卑下する必要はない」理由とは?

W杯の組み合わせ抽選会が行なわれた昨年12月、日本はグループCでコートジボアール、ギリシャ、コロンビアと同組となり、国内では「楽なグループに入った」、「どの相手のFIFAランキングでは日本より上で楽な相手はいない」と中途半端な議論が目立ったが、岡田氏は「楽観的というか、『なかなか良さそうで厳しいぞ』というわけのわからない評価が多いが、『十分いける』と言えばいい」ときっぱり。

「日本人の謙虚さで『そうは言っても…』と言いがちですが、そうではなく『十分いける』と言えばいい。例えば、ブラジル人に『優勝できる?』と聞くとみんなが『絶対優勝だ』と言うわけで、そのくらいの感覚で言いんじゃないかと。この前、ドイツでザックと昼ごはんを食べましたけど、彼と話していても『本当に良い状態であれば、日本は十分それくらい(GL突破)の力がある』と。(スペイン代表監督の)デル・ボスケと話したら、『日本人というのは内からと外からで見え方が違うことをわかってないんじゃないか?』と言われました。『日本は素晴らしい試合をしているぞ』と。『コンフェデ杯で勝てなかったかもしれないけれど、日本はすごかった。普通のヨーロッパの国と何ら力は変わらない』と。だから、自分たちで敢えて卑下する必要はないと思います」

■香川ら主力の試合勘の欠如は「大袈裟に言う必要はない」

最後に『海外組』が大半を締める現在の日本代表において香川真司(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)ら主力選手が所属クラブでコンスタントに試合出場できず、試合勘を失っている問題について、元日本代表監督の立場で次のように述べた。

「海外組というのは一長一短でなかなか集められないですが、レベルの高いところでやるといういい面がある。試合に出れないのは確かに痛いんだけれど、でもヨーロッパのクラブを見たら世界中の代表クラスの選手がサブにいっぱいいるわけで、日本だけではない。そういう選手もいるし、レギュラーで出ている選手もいるわけだから、そこはそんなに大袈裟に言う必要はないと思っています」

サッカージャーナリスト

1977年、京都府生まれ。早稲田大学教育学部卒。スペイン在住5年を経て2010年に帰国。日本とスペインで育成年代の指導経験を持ち、指導者目線の戦術・育成論を得意とする。媒体での執筆以外では、スペインのラ・リーガ(LaLiga)など欧州サッカーの試合解説や関連番組への出演が多い。これまでに著書7冊、構成書5冊、訳書5冊を世に送り出している。(株)アレナトーレ所属。YouTubeのチャンネルは「Periodista」。

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