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「どれだけ上手くても人として認められなかったらダメ」果敢なスペイン挑戦をしたある日本人の言葉(上)

小澤一郎サッカージャーナリスト
約3年に渡りスペインで果敢な挑戦を行い、何かを掴んで帰国した中原健聡氏

ブラジルW杯での惨敗以後、2015年開催のU-17、U-20W杯の出場権を逃すなどネガティブな結果と危機感が漂う日本サッカーだが、このYahoo!ニュース個人の場を用いて育成を軸に日本サッカーの発展を真剣に、ポジティブに考えることができるような話題や記事を提供していきたいと考えている。そこで今回から2回に渡り、スペインサッカーに果敢なチャレンジを挑んだある日本人選手がプロ予備軍の大学生に語った言葉を紹介したい。

彼の名は、中原健聡(なかはら・たけあき)。

2014年3月にスペインでの挑戦に終止符を打った中原氏は、新たな夢である学校の創立・経営を目指して教育者としての新たな人生をスタートさせている。しかし、スペイン挑戦の最後には現FCバルセロナの指揮官ルイス・エンリケが率いていたセルタ・デ・ビーゴでトライアウトのチャンスを掴み、最終的に契約には至らなかったものの、エンリケ監督の指導や評価を受けるという偉業を成し遂げている。今回掲載する記事は、2012年1月に筆者のメルマガ(※2013年6月に休刊)に掲載したものを再編集したものである。

※ここでの話しは、スペイン3部クラブに練習参加していた大学生の内面を刺激すべく、自らのバイタリティで困難を乗り越えるどころか「奇跡」とも呼べるような現象を起こしていた中原選手を招いて自らの挑戦や人生哲学をありのままに語ってもらった講演会の一部である。

■ユーロ制覇のスペイン代表を見て直感、「俺に似ているな!」

僕は中原健聡(なかはら・たけあき)といいます。今年24歳になりまして、大学は大阪体育大学というところでやっていました。1浪して大学に入ったので、23歳で卒業しているんですね。卒業する前は僕自身「ずっとサッカーに携わりたいな」という思いがありまして。

僕自身「サッカー中心の人生はこの大学生活で終わりだな」と思ったんですね。だけど、どうしてもサッカーが好きだったので。毎日毎日サッカーしたいなと思っていて。「その人生も終わりか」って考えると、なんか終わりきれなくて、この4年間では。「まだ、やりたいな」と思って。

それでも僕はJリーガーになれるどころか、そのリストに名前すら入っていないようなレベルだったんですけど、諦めるかどうかなんていうのは、自分次第ですし。それじゃあどこでサッカーしたいかなって思った時に、「自分がサッカーできなくなった時に後悔しない場所はどこだろうか」と考えました。

僕はスペインが好きだったんですね。綺麗なパスサッカー。バルサというより、(2008年の)ヨーロッパ選手権でのスペイン代表を見ていました。「スペインみたいなサッカーがしたい」と。こんな体型で華奢で小さいんですけど、「中途半端なポジション」というのが僕の中に(キーとして)ありまして、サイドハーフに入っていても、ワイドに張っていたら相手SBがマークしやすくなるじゃないですか。

そうじゃなくて、SBとCBとボランチの三角形が真ん中をずっと動き続ける、中途半端なポジショニングをとる。その中途半端な位置どりというのが僕自身の中でキーとなっていて。そのプレーを見た時に、スペイン代表をみたら、似ているなと思って。なんか少し偉そうですけどね(笑)。スペイン代表に向かって「俺と似ているな!」なんて言うのは(笑)。でも正直そう思ったんです。

だから「こういう国はこういうことを、つまり俺の考えをやっているんだ」と。それなら、俺がスペインに行ってできるんじゃないかって、真剣に思いました(笑)。日本代表にも入ってないやつが「できる」と思ったんですよ。皆に笑われますがこれはガチです。

■人って死ぬ気になれば稼げるもの、8ヶ月で140万円を貯める

スペインに行こうと決めた時は、ビザの問題とかいろいろ考えたんですね。ちょっとスペインは若干ちょっときついなと。日本人に対して。学生ビザならいいんですけど、ワーキングホリデイというビザはないので、お金を稼いだら法律上アウトなんですよ。どうやって(ビザを)取っていこうかとなった時に、自分自身でお金を貯めていかないといけない。僕自身、家の関係とかいろいろありまして、人から援助をもらえない状態なので。自分働いてお金を貯めて、語学学校のお金も全部払っていかないといけない。

でも、サッカーのシーズンはヨーロッパは9月に始まる。僕に残されたのは半年程だったんです。8ヶ月ぐらいでめちゃくちゃ貯めないといけない。それでも「やる価値はある」と思ったんです。結構厳しかったんですけど、まあ人って死ぬ気になれば稼げるものですね。

バイトは昼間、鉄板の塗装工事をしていました。鉄板の掃除とか。制御盤とかそういう大きな鉄板って、もともと色なんてついていないんです。鉄の形ができて上がってきたものを塗る、といった仕事でした。でも僕自身は塗る技術は持っていないので、来たときは油まみれなので、それをシンナーで拭き取って、鉄板をハンガーみたいなものにかけてレーンでまわしていくといったものでした。それらは下準備だけみたいなものを朝9時から夜10時まで。

あとは夜12時から、掃除屋さん。レストラン、パチンコ屋や会社のオフィスって掃除してるのは夜中なんですね。その夜12時から早朝4時くらいです。寝る時間は移動中だけとか、そんな生活を8ヶ月間から9ヶ月間ぐらい。そう働くと、お金って貯まるものなんですね。

170万円ぐらいいこうと思っていたんですけど、ちょっと届かず、140万円ほど。でもそれで計算したら、ぎりぎりセーフだったんですよ。語学学校も払って、家賃と食費代全部踏まえたら。だから何もできないですよ、他の遊びみたいなのも。1.2ユーロ(約150円)のコーラも買えませんでした。買ったらアウトなんで。全部切り詰めて。スーパーマーケットで(食材を買って)自炊するんです。毎回毎回。

■スペイン語を話せない中、カンペを持って飛び込みの売り込み

スペインに来て最初の1カ月は知り合いもいないので、チームを紹介してもらうつてもないし、自分で何もかもしないといけない。まずは地図をもって歩いて、グラウンドってその辺に結構あるので、そのグラウンドの場所を地図に印をつけていったんです。僕の感覚的に、社会人って19時ぐらいからやっていると思ったんですよ。

でもこっちの時間って全部遅いので、社会人の練習って21時ぐらいから始まるんです。僕が19時ぐらいにグラウンドに行ったら、まだ小学生ぐらいの子らがいて、日本人の中でも僕は童顔な方なので、18歳ぐらいの連中が「お前は14歳か」という感じで言ってきて、「練習参加するか?」って言われて、本当の歳を言ったら「入れない」って言われたり。

そのまま21時ぐらいまでグラウンドで待って、監督が来たので自分自身で履歴書を書いて、辞書で予め何を言ったらいいかを調べといて、「自分の名前は◯◯です」「どこから来ました」「年齢は◯◯歳」「ポジションはここ」「サッカーしたくて来ました」そして「自分を練習に入れてほしい、見てほしい」といったことを書いて、それを棒読みで言ってみるんです。

そしたら断られて、まだ来たばっかりですから、何で断られたかもわからなかったです。特に1週間目なんて、何を言っているかわからないし、言っていることが伝わっているかもさえわからない。ただ「Lo siento(ごめんな」」っていう言葉だけ理解できたんです。謝られたってことは「断られたな」という感じで理解していました。でも、なぜなのかは理解できない。

自分はスペインにサッカーをしに来ているのに、できていない。「何しにきているんだろう、あれだけ金を貯めて……」という思いは最初はあったんです。でも、そこで何もしなかったら、それで終わるじゃないですか。何もなしで来ているというのを自分でわかっているのに。だからそこは何回も断られても、別のチームに行く、そしてまた別のチームに行く。

最初の1カ月間で、グラウンドの数でいったら4つぐらいですかね。初めて、紙に何かを書かれて「火曜日20時に来い」ってくれたんです。ただ火曜日20時というのがわかっても、「それなら、この時間にここに来たらいいのか?」って聞いたら、「そうだ、ここに来い。試してやる」って言ってくれて、初めて受けさせてくれたのがトーレ・レバンテというチームでした。

■ミスを怖れ、安パイで行って失敗

「よっしゃー! やっと自分のしたかったことができる!」って、テンション上がりまくってました。火曜日に向けて身体動かしたり、ボールを借りたり。でも当日行ったら、大人の方に入れてくれなかったんです。トップチームではなくて、ユースチームの方に入れられたんです。

「いやいや俺は向こうだ」って言ったんですけど、「いや、こっちに入れ」って言われて。「何でかな?」と思いながらやってました。でも今思ったら、こっちにきて初めてできた最初のテストということもあり、緊張もあって「とにかくミスはしたくない」というのがあったんですね。

「上手く見せたい、とにかく上手いことこなしたい」と。今思えばそれが良くなかったんですね。終わった瞬間に「ジャ・エスタ(=終わり)」って言われて、「マニャーナ(明日)?)」って聞いたら「もうない」って。なぜかを聞いても、「いや、明日はもうないよ」って言われました。

俺からしたら「えっ?」という感じでした。「高校生の中で一緒にやって劣っていたわけでもない。ミスもしていない。普通にやれた。なのに、何で俺は断られたんだ?」と思った。だけど、一番はそこですよね。何の特徴も見せずに上手いことこなすだけなら、言葉もわからないし、相手からしたら要らないんです、スペイン人には。

どれだけミスしてもいい。それが見えないぐらいの飛び抜けたものを見せたらいい。皆、それぞれの武器を持っているわけですよ。ドリブル、スピード、シュート、センタリング、ディフェンスの1対1にしても。

ミスを何回してもいいけど、自分の一番武器になる場面では絶対に負けない。武器がずば抜けて見える。そしたら、結果的に弱点なんか見えない。外国人をチームに入れる相手側からしたら、「言葉のわからない外国人をうちのチームに入れても、利益になる」っていうのを見せないと獲ってくれないんです。無難にできる選手だったら、スペイン人を獲る方がいいですから。

あるいは、言葉のわかるアルゼンチン人でもいいですし、チリ人でもいい。スペイン語話せるプレーヤーなんて、たくさんいるわけです。言葉のわからない日本人の俺らをとってもらうには、可もなく不可もなくするんだったら、要らない。

ある人に言われて初めてわかったんですね。「何で断られたのかわからないんです」と言った時に、「戦っていないからだ」と一蹴されました。でも、言われた瞬間に僕もそう思いました。「とりあえず安パイ。ミスしないように」。そして、たまに「俺はテクニックあるよ」っていう素振りをする。そんな選手は、ほしくないんです。スペイン人にたくさんいるから。

■食い下がり、もがいてぶちこんだ3ゴール

スペインからしたら日本、アジアは思いっきり下に見られている感じです。「日本ってどこにあるの?」「良い選手はいるの?」

正直そんな感じ。獲ってやろうと思ってもらうには、可もなく不可もなくしているようじゃ無理。そつなくこなしているようじゃ無理。ずば抜けた武器をみせないといけない。どれだけミスをしてもいいから。トラップミスを何回してもいい。でも、ドリブル一回したら絶対に抜けよって。

そういうメンタルに切り替えないといけないなと思ったんです。僕も断られた時に引っかかったものがあったから、食い下がってやろうと思って、「だったら、別のチームを紹介してくれ」って言ったんです。その監督に。そしたらあるクラブ名を書かれて、「ここに行け」みたいなことを言ってくれたんですね。しかも、住所まで書いてくれたんです。

翌日、そのクラブに行って、同じように履歴書を棒読みで読んで、そしたら、また入れてくれたんです。「今晩、俺らのチームもやるから、もう一回来い」って。俺からしたら昨日の失敗があるから、「全部出し切って断られたら納得いく。それで断られたらただ単に俺のレベルが足りない」っていうことですから。全部出し切って、やってやろうと思ってました。ウォームアップが簡単なポゼッションから始まったんですけど、10分間のポゼッションから俺に来たパスの本数はゼロ。あからさまです(苦笑)。あからさまに出さないんです。俺には。

でも、わけのわからない言葉を叫びながらたまには日本語でああだこうだ、猿みたいに言ってました。でも、このままだとまずいなって思ったんです。そしたら最後にゲームをしてくれて、その時にパスが来ないのなら、もしパスが来たら(周りに)出さなかったらいい。結局は僕も攻撃の選手なので。パスが入ったらドリブルしたらいいんですよ。ゴール前で絶対にパスを出さない。そんなことを続けていたら、その日のゲームが35~40分ぐらいのゲームだったんですけど、3点ぶちこんでやったんです。

そしたら終わった時に監督に呼ばれて、「トレーニングの時間割はこうだから、この時間に来い」って言ってくれて、初めてサッカーチームに入ってまともに練習できるようになったんです。俺の中では、それで「よっしゃ、試合にも出れる。あとはここから成り上がっていくだけだ」ってなったんですね。その時は何も知りませんでしたから。

■監督に「俺と契約してくれ(誰か一人をクビにしてくれ)」を直訴

そしたら、契約をできるのは1チームにつき22人の選手まで。1チームで23人以上の選手を持てないようになっているんです。そこのチームはすでに埋まっていたんですね。シーズンが始まった後に来ていますから。つまり待てど暮らせど、試合には出られない。ユニフォームすらもらえない。その時はなんも知りませんでした。

「何で?」というのをチームメイトに言ったら、チームメイトに「もう22人いるよ」って言われたんです。初めてそこで知って、俺からしたらやっと入ったチームで、試合に出られない。いわば試合に出る権利がないという状態だったんです。

そこで、ダメもとで監督に言ってみたんですよ。「俺と契約してくれ」って。つまり誰か一人をクビにしてくれって言ってるようなものです。わけわからん外国人が、いきなり監督に「俺のために一人クビにしてくれ」と言っているわけです。それは普通に考えたら変だけど、待っても何も起きないから言いました。

当然断られるし、「落ち着け、落ち着け」みたいな感じでうまいこと言われるんです。「もし1人がどこかに行ったら入れてやるから。契約してあげるから」って。結局言いくるめられて、「わかった」って言ってしまいました。そしたら、1人が本当にどこかに行ったんですよ。

「よっしゃー!!契約してもらえる」って思っていったら、なかなか契約してくれないんですね。だから監督に言ったら「外人は少し厳しい。契約するのに時間がかかる」って言うんです。本当かどうかなんてわかりませんよ。

でもルール的に、海外移籍証明書というのがあるらしくて。バレンシアのサッカー協会、スペインのサッカー協会、日本サッカー協会、俺の行っていた大阪体育大学にその手紙が行って、海外移籍の判子が押されて、またその逆の手順が行なわれて、初めて海外移籍ができるんです。俺プロでもないから絶対に要らないと思ったんです。でも、それはどうしてもいるみたいなんですね。そう説明されて。

スペイン人も、そんな面倒くさいことはしたくないんです。だから「もうちょっと待て」って。それをうまい具合に言われて、俺もそれを一応信用したんです。それが来て1カ月半ぐらいでした。

でも途中から「これは嘘だな」と思うようになって、だんだんとスペイン人の性格もわかってきますし。約束したこと、話したことが2時間後に覚えていたら良い方ですね。女の子との約束は覚えているんですけど、男との約束は絶対に覚えていない。そのへんは段々わかってきますから、このままだと一緒だなと。

■自分自身が行動を起こしたという過程と、起こさなかった過程。結果が同じでも、自分の立っている位置は違う

でも、自分の住んでいるところの地域のサッカーチームには行き尽くしたんです。もうお願いをし尽くしたんです。離れたところでいいから探さないといけない、電車でいけるところまで行って探さないといけない。そうして探し始めたんです。

メールアドレスを作って、いろいろなサイトに飛んで、片っ端から送りました。バレンシアにも送りましたし、レバンテにも送りました。どうせ返ってこないものなら、送っても一緒だし。同じ結果だったら、やったのとやらなかったでは大きく違うと思うんです。

ダメだったという結果に対して、自分自身が行動を起こしたという過程と、起こさなかった過程。ダメだったという結果が同じでも、その時に自分の立っている位置って違うと思うんですよ。人の成長の仕方も全然違いますし、成り上がり方も違う。俺の中でのスペインサッカーへの挑戦において絶対重要なところ。やって後悔した方がまし。

みんなのこれからの人生に、絶対に通用するものだと俺は思う。これからいろんなことがあると思うんですけど、結果なんて見なくていいから、そのことを実現させようとしたかどうか。そこが重要だと思うんです。

■上手いだけじゃ厳しい

プレーでスペインに来た当初から心がけているのは、どんなミスをしても絶対謝らないということ。ちょっとでも「ごめんね」みたいな顔したら、手をあげることすらしない方がいいと思っています。日本だったらそういうコミュニケーションも大事なんだけど、こっちの選手は本当に日本人というかアジア人を舐めていますから。

歩いていて「チノ」(=日本語で「中国人」で差別的意味合いも含まれる)とか言われました? やはり言われますよね?

僕の場合はサッカーのグラウンドに入った時点で爆笑でしたから(笑)。「中国人が来たぞ」みたいな感じで。もう「チノ!チノ!」コールでしたから。まあ、そういうのはスペインに来る前からわかっていたことなので、特に気にしていなかったです。1点を取ったら、最初は爆笑です。でも2点目を取ったら黙ってました。そして3点目を取ったら拍手が起きました。まあ、そこら辺は単純ですよね。実力を認めさせたら簡単な世界です。

日本と違うのは、上手いだけじゃ厳しいことですね。まだスペイン以外の国のサッカーを観たわけじゃないですから、わからないですけど。こっちにきて思ったのはどれだけ上手くても意味がないということ。人として認められなかったらダメ。ちょっとしたじゃれ合いとか、おちょくられた時におちょくり返すみたいな。そういうスペイン人の文化に入っていければ、日本人選手でもスペインで活躍できると思います。

僕の場合は、元々性格的に明るいというのもあります。逆に1人で来ていたら、そうするしかないんでね。4人いたらやはり日本語喋れる仲間がいるじゃないですか? だから喋ってしまったりすると思うんですよ。僕の場合、日本語を喋る相手は誰もいないし、皆スペイン人なんで、相手が言っていることを理解しないといけない。相手におちょくられていることを理解したら、何をおちょくられているのか、それで怒るんじゃなくて逆におちょくってやるみたいな。

ちょっと相手がこけた時に、大げさなリアクションするじゃないですか。それを最後のシャワー浴びている時に真似しておちょくるとか。そんなことを繰り返していたら、自然と会話も入ってきたりします。

あと、あるチームにフラメンコがすごく上手い選手がいたんですよ。「トマ!」(スペイン語のかけ声のようなもの)っていきなりやり出すんですけど、そういうのは、僕の場合、僕も一緒にやって、僕の踊り方めちゃくちゃぎこちないんですけど、それがまた爆笑に繋がって、そして、僕が「オレッ!!」って言ってまた皆が爆笑するっていう。

そしたら、練習でめちゃくちゃパスが回ってくるんですよ(笑)。そこで「何してんの?」という感じでリアクションを取るんじゃなくて、一緒に「オーレィッ!!」ってやったら爆笑が起きて。そうして練習に入ったら、ポゼッションの時にえぐいぐらいパスが来るんですよ。「ここなんだな」って。

2部B(3部)であろうと、単にサッカーが上手くても多分意味ないんですよ。僕も最初からやれる自信はあったし、一緒にやっていて4対2とかロンドとかやっても何も問題はなかったんです。でも、普通にそのままポゼッション練習に入っても、パスは回ってきませんでした。そして1日の練習の終わりに、そういうことがあって、2日目に入った時には、もう昨日と全然違うパスの回り方でした。

しかも、ここでは簡単に認めてくれます。それをするまでに時間がかかったらきついですけど。僕の場合、本当に言葉をできるだけ早く覚えようと努力しました。

「自分の人生を賭ける価値があるのは夢だけ」果敢なスペイン挑戦をしたある日本人の言葉(下)

サッカージャーナリスト

1977年、京都府生まれ。早稲田大学教育学部卒。スペイン在住5年を経て2010年に帰国。日本とスペインで育成年代の指導経験を持ち、指導者目線の戦術・育成論を得意とする。媒体での執筆以外では、スペインのラ・リーガ(LaLiga)など欧州サッカーの試合解説や関連番組への出演が多い。これまでに著書7冊、構成書5冊、訳書5冊を世に送り出している。(株)アレナトーレ所属。YouTubeのチャンネルは「Periodista」。

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