工事現場でiPadが増殖する理由とは?意外に進んでる最近の建設業

米国・デンバー国際空港ターミナル拡張工事の現場で使われているiPad

ヤフー・ニュース読者の皆さん、はじめまして。

建設ITジャーナリストの家入龍太と申します。

「建設」というと、土にまみれたヘルメット姿の作業員が働く昔ながらの現場、一方、「IT」というとハイテクでスマート、最先端でグローバルな世界と、全く正反対のイメージを持つ人も多いでしょう。

しかし、最近の建設業は、ITを本格的に導入し、大きくイメージが変わろうととしています。建設とITが融合した建設業は、橋やビルのような巨大でリアルな物体を、3Dなどバーチャルな技術を駆使して設計し、作り上げていく新しい産業といってもいいくらいです。

私の仕事はそこにある超面白い世界を取材し、情報発信していくことです。一般の方にもできるだけ分かりやすい表現で、今後、情報発信に務めていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

さて、最初のトピックですが、あの土とコンクリートにまみれた工事現場で最近、iPadなどのタブレット端末が増殖中であることをご存じでしょうか?

建設現場にはコンクリートを「型枠」という型に流し込んだり、パワーショベルなどの建設機械を運転したりする「作業員」と、工事のスケジュールやコスト、品質、そして安全などを管理する「技術者」がいます。

工事現場の技術者はこれまで、重装備が欠かせませんでした。図面や資料の束やデジタルカメラ、ノート、そして黒板、測量器などを持ち歩いていましたが重いし、かさばるし、大変です。

そこで現場の技術者が注目したのがiPadです。図面や資料はデジタル化して持ち歩けるし、デジタルカメラは内蔵しているし、図形や文字を書いておくノートの機能もあります。さらに加速度センサーも付いているので、「水準器」の代わりにもなるのです。

つまり、これまでのかさばる重装備の機能が、小型・軽量のiPadなどが1台あれば済んでしまうわけです。

米国の工事現場ではここ2~3年でiPadなどの導入が急速に進んでいます。例えば、今年6月に筆者がコロラド州のデンバー国際空港ターミナル拡張工事の現場を訪れたとき、現場の技術者が1人1台のiPadを持っていました。

iPadにどんなデータが入っているのかを見せてもらうと、ナント、3次元の設計図がはいっていました。最近はコンクリートの建物や土木構造物も曲面のデザインを採用したものが多く、型枠を作るときも長方形の型枠材では作れないことがあります。その型枠の展開図を作るのに、3次元の設計図が大活躍しているそうです。

日本でも大林組が約3000人の現場技術者にiPadを配布したり、大成建設がiPadで図面や資料を見られるクラウドシステムを開発したりと、現場での本格的なiPadなどの導入が始まっています。

その一番のメリットは何だと思いますか? それは作業をしている現場から「現場事務所」という建物までの往復時間を減らせることです。これまでは現場で必要な図面や資料を持ってこなかった時、技術者はいちいち現場事務所に戻らなければなりませんでした。

それがiPadなどでクラウド上の図面や資料をいつでも見られるようにしておくことで、現場事務所との往復が必要なくなります。トンネル現場などでは事務所に戻るまで1時間近くかかることもありますので、これだけでも大きな生産性向上になるんですよ。

現場でのiPadの使い方は、図面を見るだけでなく、AR(拡張現実感)を使って完成後の建物を現場で見たり、地中に埋まっている配管を“透視”したりと、面白いですよ。

これからも、面白い建設業の今をお伝えしていきたいと思いますので、よろしくお願いします!