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ドコモ加藤社長「初の増収増益」で次期社長にバトンタッチか 石川 温の「スマホ業界新聞」Vol.177

石川温ケータイ/スマホジャーナリスト

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石川 温の「スマホ業界新聞」

2016/05/07(vol.177)

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《目次》

1.NTTドコモ・2015年度決算は加藤社長にとって「初の増収増益」

━━2017年中期計画を1年前倒しで、次の社長にバトンタッチか

2.サムスン・Galaxy S7 edgeが初速2倍のペースで売り上げ好調

━━「ハートセブン」の愛称で女子向けアピールが成功

3.富士スピードウェイにKDDI・田中孝司社長が陣中見舞い

━━キャリアの同質化が進む中、ブランド認知につなげられるか

4.今週のリリース&ニュース

5.編集後記

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1.NTTドコモ・2015年度決算は加藤社長にとって「初の増収増益」

━━2017年中期計画を1年前倒しで、次の社長にバトンタッチか

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4月28日、NTTドコモは2015年度決算を発表した。営業収益が4兆5271億円(前年度比3.3%増)、営業利益が7830億円(同22.5%増)の増収増益となった。新料金プランの影響を大きく受け、減収減益となった2014年度から大きく回復した格好だ。

加藤社長によれば、2014年春に導入した新料金プランでは、当初、新料金プランに移行する件数を1カ月で50万件程度と想定していたものの、実際には1カ月で470万件が殺到。さらに7割以上のユーザーが最もデータ容量の少ないプランを選択したことが誤算となり、大幅な減収減益を招いた。

しかし、今年4月12日には、新料金プランの契約数が3000万件を突破。Mパック以上の選択率が9割を超え、1GBの追加データ購入率も約3割を記録するなど、安定した収益をもたらすように改善された。

スマートライフ領域も計画の700億円を上回る787億円の営業利益を達成。コンテンツ関連の契約者数の伸びが著しい結果をもたらしているようだ。

加藤社長は「(社長就任後)初めての増収増益となってうれしい」と感想を述べた。

ドコモは2016年度により、減価償却方式を定率法から定額法に変更。この影響を除いた2016年の予想営業利益は8600億円になるとしている。これまでNTTドコモは2017年度の中期目標として、営業利益8200億円以上などを掲げてきたが、1年前倒しで達成できる目処が立った。

加藤社長は「この数年間でiPhone、新料金プラン、ドコモ光を導入し、競争力が回復してきた。コスト効率化も進み、筋肉質な会社になろうとしている。今年度は飛躍の年にしたい」と締めくくった。

この会見に参加してみて、率直に感じたのは「なんだか、加藤社長の退任の挨拶のようだな」ということだ。奇しくも日経新聞が5月3日に「NTTドコモ社長に吉沢氏が昇格」と報じており、6月に開催の株主総会を経て加藤社長から吉沢氏にバトンタッチするとある。

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ケータイ/スマホジャーナリスト

日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、日経TRENDY編集記者としてケータイ業界などを取材し、2003年に独立。現在は国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップル、海外メーカーなども取材する。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。ニコニコチャンネルでメルマガ「スマホ業界新聞」を配信。近著に『これからの5Gビジネス』(エムディーエムコーポレーション刊)がある。

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