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ソフトバンクを嘘つき呼ばわりした日本通信に勝ち目はあるか 石川 温の「スマホ業界新聞」Vol.197

石川温ケータイ/スマホジャーナリスト

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石川 温の「スマホ業界新聞」

2016/10/01(vol.197)

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《目次》

1.日本通信がソフトバンクに「接続を拒否された」と総務省に駆け込み

━━「嘘つき」呼ばわりでソフトバンクをつるし上げた日本通信に勝ち目はあるか

2.総務省が10月13日からスマホ競争施策を検証する会合を開催

━━アメリカも下取り割賦販売を強化する中、日本はどこに向かうのか

3.全国携帯電話販売代理店協会が「あんしんショップ認定制度」を開始

━━過剰オプション販売が問題視される中、自浄作用は働くのか

4.今週のリリース&ニュース

5.編集後記

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1.日本通信がソフトバンクに「接続を拒否された」と総務省に駆け込み

━━「嘘つき」呼ばわりでソフトバンクをつるし上げた日本通信に勝ち目はあるか

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9月29日、日本通信が「ソフトバンクに接続を拒否された」として、総務省に対して、接続協定に関する命令申請書を提出したという。

これに対してソフトバンクは「協議中の段階と認識している」として、双方の主張にズレが生じていることが浮き彫りとなった。

日本通信は一部メディアに対して、電話会見というかたちで現状説明を行ったようだ。残念ながら筆者には声がけされなかったので、一部報道を引用すると「NTTドコモと同じような接続を求めている」(福田尚久社長)という。

NTTドコモの回線を利用したMVNOであれば、SIMロック解除をしなくてもNTTドコモの端末を流用できる。それと同じ状況をソフトバンクに求めているようだ。

しかし、ソフトバンクとしても、虎の子であるiPhoneユーザーをそう簡単に手放すわけにはいかない。iPhone7発売セレモニーで宮内謙社長が「我々はiPhoneを最初に発売していることもあり、たくさん使われるユーザーが多い」と語っていた。iPhoneを積極的に使うユーザーとなれば、ソフトバンクとの契約年数も長く、9月からは「ギガモンスター」も契約してくれる優良顧客といえる。

ソフトバンクが、そう簡単にiPhoneユーザーが流出するような施策を快諾するとは思えない。

また、背後にはSIMカードの問題もありそうだ。ソフトバンクの場合、端末によってSIMカードが異なることが多い。iPhoneとAndroidでも違いがあるだけでなく、Android向けのnano USIMカードでも6種類存在している(同社、ウェブサイトを参照)。

仮にSIMロック解除のガイドラインが有効となった以前の端末でも使えるようにするには、それぞれの端末にあったUSIMカードをソフトバンク側が発行しなくてはならず、オペレーション的にとても現実的とは言えない。

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ケータイ/スマホジャーナリスト

日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、日経TRENDY編集記者としてケータイ業界などを取材し、2003年に独立。現在は国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップル、海外メーカーなども取材する。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。ニコニコチャンネルでメルマガ「スマホ業界新聞」を配信。近著に『これからの5Gビジネス』(エムディーエムコーポレーション刊)がある。

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