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関西電力CM動画「20歳の神戸」が見せてくれる新成人という人の姿

いしたにまさきブロガー/ライター/アドバイザー

2015年という年は、1995年の阪神大震災から20年という節目の年です。そこで、というのも変な言い方ですが、関西電力が「20歳の神戸」というCM動画を制作して公開しています。関西電力、ちゃんとこういう仕事をしているんですね。インフラにかかわる人たちの誇りを感じる仕事です。

ナレーションが一切ないこの動画、それでも見れば一瞬でわかるように、阪神大震災の年に生まれた子供たちが、もうこんなに大きくなって自分の人生を邁進しているのですよね。20年経っているのだから、ものすごく当たり前のことなんですが、こうして多くの人の当時の写真と今の姿を次々に見ていくだけで、心を打たれるものがあります。

そして、この動画には2つのメッセージが流れます。

  • 「二度と、この街の明かりを消さない」20年前のあの日の誓いを忘れない。
  • この街の20年は、この国の希望だ。

このシンプルだけど、まっすぐなメッセージの後ろには、この動画のために録音された「あの鐘を鳴らすのはあなた」のカバーが流れます。

ええ、ここでぐっとくるんですよ。ああ、そうだ。人を見せるだけでよかったんだ。人を見たかったんだということです。

なお、この関西電力CM動画「20歳の神戸」には約4分半のフルバージョンもあるので、そちらもぜひどうぞ。

さらに、阪神大震災から20年なので、震災20年メモリアルの活動は他にもあり、まさに人を見せることにフォーカスをした「世界に知ってほしい、新しい神戸をつくっている100人の話」というサイトを神戸市が作っています。

その中で、現在は慶應義塾大学環境情報学部(SFC)で防災の研究室を持たれている、元東大地震研の広報アウトリーチの大木聖子さんが、「語り継ぐのって、10年またげないと思うんです」というタイトルで話をされています。

大木さんは上の動画で、東日本大震災の20年先を行っている神戸では10年前に語り継ぐだけでは変わらないということを経験している、だからさらに防災を習慣化する文化にまで広げていきたいという話をされています。

神戸から20年、東北から4年。ここから先、私たちには風化という課題がのしかかります。そんなとき、この関西電力CM動画「20歳の神戸」を見直すことが、ひとつのきっかけになると思います。

ブロガー/ライター/アドバイザー

Webサービス・ネット・ガジェットを紹介する考古学的レビューブログ『みたいもん!』管理人。2002年メディア芸術祭特別賞、2007年第5回Webクリエーションアウォード・Web人ユニット賞受賞。「ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である(技術評論社)」「あたらしい書斎(インプレス)」など著書多数。2011年9月より内閣広報室・IT広報アドバイザーに就任。ひらくPCバッグ・かわるビジネスリュックなど、ネット発のカバンプロデュースも好調。 #カゲサポ

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