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進路相談1・親が勧める福祉系学部に進学するかどうか

石渡嶺司大学ジャーナリスト

進路相談・親が福祉系学部を勧めるけどそこまでではない

Q1 親が将来は福祉業界が安泰だから福祉系学部に行け、と言います。

だけど、そこまで福祉に関心があるわけではありません。親の意向も無視できないし…。

石渡さんはどう思いますか?

A1 高校生向け進路ガイド『時間と学費をムダにしない大学選び』シリーズをかれこれ6年刊行している石渡です、こんにちは。

「Yahoo!個人」ではすでに就活ネタは何本か書いているのですが、自分の専門分野なら何でもあり、ということで今後は高校生向け進路相談も掲載していきます。

お初の方、特に高校生や保護者の方などで進路相談があればお気軽にどうぞ。

さて、ご質問の件。福祉業界は10年ほど前から成長分野と言われ続けています。

確かにすでに高齢化社会となっている日本では福祉業界は需要があります。

一方、そこまで儲かる業界か、と言えばやや疑問。特に介護事業はそもそもビジネスとして考えること自体無理、との意見もあるほど。

で、そういうのを前提にしていただいてご質問にお答えしますと、一番いいのは福祉以外に大学でやってみたいことを模索して他学部を受験することです。

福祉系学部がダメ、ということでなくご自身の将来を決める話なので、乗り気になれないならやめた方がいいかな、と。

ただ、これから出願を決めていくという受験生であれば、ちょっと遅いですね。ご相談の方が高校2年ならまだ時間はありますので考えてみてください。

志望校決定が目前ということであれば、福祉の専門大学でなく、上智かマーチクラス、無理ならせめて日東駒専クラスの総合大学の社会福祉系学部を受けることです。

マーチクラスの法政大だと現代福祉学部、東洋大だと社会学部社会福祉学科、関西だと関西学院大人間福祉学部あたりが候補。

なぜ総合大の難関~中堅大の福祉系学部か、それは理由があります。

あなたのように「そこまで福祉をやりたいわけじゃないけど」という学生が一定数いること。それと、福祉教育はしっかりしていて、それでいてその評価をするのが福祉業界だけでないこと、この2点が理由です。

総合大学だと福祉系学部であっても、福祉を将来の就職先に、と考えていない学生はある程度はいます。

しかも、福祉教育を評価しながら福祉業界以外からも評価、というのは理由があります。

福祉の専門家を採用するほどでないにしても、福祉業界のことをある程度わかっている学生が欲しいという業界があるからです。

たとえば、生命保険など金融業界は高齢者向けの金融商品を販売するなど福祉と無関係というわけではありません。

住宅、建設、鉄道、流通なども同様です。それから、テーマパーク・ゲームセンターなどを経営するアミューズメント業界などは高齢者の利用も見込めます。

こちらも福祉を勉強してきた学生への需要があります。

さらに言えば、

「難関~中堅の大学ならそこそこの頭があるだろうから学部はどこでもいい」

という企業も、業界とは無関係に結構あります。

大学の勉強は勉強で評価するのですが、勉強内容がどうこうでなく、体系的に何か学んでいれば色々な判断ができるだろう、という見込みによるものですね。

実際に、法政大や関西学院大などは福祉業界以外への就職者が多いです。

東洋大でもライフデザイン学部よりは社会学部社会福祉学科の方が福祉業界以外への就職者は多いようです。

これが福祉専門の大学だと福祉業界に就職せざるを得ない雰囲気になるのであなたには向いていないと思います。

志望校決定のご参考までに。

進路相談があればお気軽にどうぞ。石渡の個人メール(namio@eurus.dti.ne.jp)かフェイスブックなどでお知らせください。

※お寄せいただいたご質問にすべて回答または掲載することをお約束できるものではありません。ご了承ください。

※著者個人の独断・偏見が相当入っていることを前提にしてください。

※進路決定の最終判断はご自身でお願いします。

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計31冊・65万部。 2023年1月に『ゼロから始める 就活まるごとガイド2025年版』(講談社)を刊行予定。

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