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就活の「話し方」損得勘定は

石渡嶺司大学ジャーナリスト

「そうですね」が就活でアウト?

質問 この間、会社説明会に出席しました。

全体の説明のあと、社員と1対1で話す機会があったので、色々話していたところ、急に怒られました。

その社の担当社員が言うには

「君、いちいち『そうですね』って挟むよね?そんな話し方の学生はうちではいらない」

とのこと。

かなり、ヘコみました。僕は話の合いの手くらいの意味で「そうですね」を使っていただけです。それが「そんな話し方」扱いなのでびっくりしました。

それ以来、面接など社会人の方と話すときのNGワードや話し方でまずい点を考えるようになりました。なにかあれば教えてください。

そうですね、と思わず言いそうになった石渡です、こんにちは。

このYahoo!個人で就活相談ネタも始めましたのでお初の方はご愛顧のほどを。

うーん、「そうですね」がそれほど違和感あるフレーズとは思えません。

話すスピードは問題なし?

話すスピードが聞いていてちょっとゆっくりかな、とは思いましたが、イラッと来るほどではありません。

極端に聞きづらいほどの早口、イラッとするほどのゆっくり感であれば改善した方がいいですが、そこまでとは思いませんでした。

その企業の方が、どこで「そうですね」に怒りを感じたのか、いまいちわかりません。

ひょっとしたら、ですが、「そうですね」という合いの手を「仕方ないから話す」という意味にとらえられたのかもしれません。

それで怒りを覚えた、という可能性はあります。

「そうですね」と同様に、本人は悪意なく話しているつもりでも、周囲や社会人側がイラッとすることはそれなりにあります。

「はあ」と「じゃあ」で怒られた石渡

私の場合は「はあ」と「じゃあ」ですね。

「はあ」は、25歳くらい、派遣社員をやっていたときに言われました。

「石渡、お前、話しかけると必ず『はあっ?』と聞き返すだろう。あれ、ものすごく人を小馬鹿にしているからやめろ」

いやいやいやちょっと待って下さい、僕は「はあ」としか言っていないし、悪意があるわけでもなく、と言ってもムダ。

相手(確か派遣先の偉い人だったと思いますが)からすれば、「はあ」ではなく「はあっ?」と語尾上がり。

つまり、「忙しいのに話しかけるんじゃねえ」くらいの意味にとっていたわけです。

全く自覚していなかった話し方であり、以降、「はあ」は言わなくなりました。

「じゃあ」は29歳か30歳(ちなみに2014年現在は38歳…)のときのことです。

当時、ライターになってまだ1~2年目くらい。ある週刊誌に出入りしていたのですが、面倒を見てくれていたデスク(編集部の中のエラい人)にあるとき、

「石渡、お前、その『じゃあ』はやめろ、ものすごく腹立たしい」

と怒られました。

具体的にご説明しますと、記事企画などを話しているとき、

石渡「××というテーマはどうでしょう?」

デスク「そのテーマだと、△という切り口なら面白いんじゃないか?」

石渡「じゃあ、こういうまとめでどうでしょうか?」

などと使っていました。つまり、これも深い意味があるわけでなく、なんとなく使っていただけにすぎません。

ところがデスクはそうとらえていたわけでなく。

「俺が『こうしたらどうだ』と提案しているのに、答えが『じゃあ』。

提案に対して『仕方ないから変えてみる』くらいの意味にしか思えない。

『じゃあ』ではなく

『それなら』『それでは』に言い換えるようにしろ」

「仕方なく」なんて思いながら「じゃあ」を使っていたわけでなく、デスクの指摘は想定外でした。

しかし、こちらも、この指摘以降、変えるようにして現在に至っています。

本人の悪意の有無より相手のとらえ方

繰り返しますが、私は「はあ」にしろ、「じゃあ」にしろ、相手をバカにするとか反抗心を示すとか、そういう意味合いで使っていたわけではありませんでした。

しかし、聞いている側がイラッとすると指摘した以上、私には変えるしか選択肢はありませんでした。そうしなければ、仕事が円滑に進まないからです。

もちろん、あなたの「そうですね」が私の「はあ」「じゃあ」と同様にすぐ変えた方がいいか、と言うと難しいところです。

指摘した相手は、あなたの場合、会社説明会の担当社員。私はどちらも仕事相手。あなたの場合は会社説明会の一度きりですが、私の場合は仕事のやり取りで何度も「はあ」「じゃあ」を繰り返していました。

話したことに対して、すべて

「そうですね」

を挟んでいたら、相手が

「いちいち、うるさいな」

とムカッときた可能性はあります。

私は特に違和感はありませんでしたが、私以外にも、社会人と話をしてみてください。

「イラッとする」との指摘を他の社会人からも受けるようであれば変えた方が無難です。

地方の方言も意外な落とし穴?

「そうですね」や私の「はあ」「じゃあ」にしろ、本人に悪意がなくても相手がそうはとらえない、というのはよくあります。

似たようなところだと、方言や地方独自の話し方。

本人に悪意がなくても、怖そう、目上でもバカにしている、などととらえられたり、そもそも意味が通じないということもあります。

これも、社会人と話をしてみて、誤解されそうと気づいたら標準語で話すようにした方が無難です。

この辺、47都道府県擬人化マンガ『うちのトコでは』シリーズを刊行されているもぐらさんがよくネタにしています。意識の違いなどが分かって、それでいて漫画としても面白いのでお勧めです。

※サイトがごちゃごちゃしてよくわからん、という方は「四国四兄弟」→「落書き」というところからどうぞ。

話し方にしろ、回答があるわけでない

なお、話すスピードにしろ、話し方・方言にしろ、必ずこう話せばいい、というわけではありません。

あなたの場合、

「これでもかなり早く話している」

とのことでした。

聞いている私からすれば、ゆっくりした話し方だな、と思いましたが、イライラするほどではありません。

きちんとコミュニケーションを取れているのであれば、あとはもう個性と相性の問題です。

ゆっくりした話し方でわかりやすいととらえる人もいるでしょうし、トロくさい、ととらえる人もいるでしょう。

色々な反応があるのが社会ですし、そういうものと割り切るしかありません。

という話をしたところ、君は

「それ、ハンデだなあ」

と言っていましたね?

いやいや、ハンデじゃないですよ。

それを言うなら、日本全国、どの学生であっても、方言を話す学生もそうでない学生もすべからくハンデを持っています。

みーんな、ハンデを持っていて、それぞれ損をするときもあれば得をするときもある、そう割り切るようにしてください。

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計31冊・65万部。 2023年1月に『ゼロから始める 就活まるごとガイド2025年版』(講談社)を刊行予定。

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