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センター試験会場は下見した方がいい?

石渡嶺司大学ジャーナリスト

さて、センター試験が近づきましたが

センター試験まであと1週間を切りました。

この時期、ときどき、受験生から質問が来るのが、

「受験会場は下見した方がいいですか?」

というものです。

下見をしておくメリット

自分の高校が受験会場に指定されているなら話は別ですが、大学の場合だと、下見はした方がいいでしょう。

というのも、大学が受験会場でも、以下の事例がよくあります。

パターン1:違うキャンパスで開催

パターン2:同じキャンパスで開催するが、キャンパスの中が広すぎる

パターン3:大学開催と言いつつ、別の大学・会場で開催

パターン1は、大学のキャンパスが複数ある大学が該当します。

たとえば、東京農工大学は小金井キャンパス(工学部)で開催。もし、知らずに府中の農学部キャンパスに行くと、アウト。

私立大開催だと、日本大学の生産工学部実籾校舎、理工学部船橋校舎あたりも混同する受験生がいそうです。

気付いてからすぐ移動できればいいのですが、センター試験当日はどこも大学周辺が渋滞しています。

しかも、会場を間違えた、という動揺は試験に間に合ってもかなりメンタルに影響があるでしょう。

パターン2は、筑波大、千葉大、広島大、九州大などが該当。

パターン1ほど、ダメージは大きくないものの、それでも広大なキャンパス内を迷うのは、結構、ダメージがあります。

パターン3もよくあります。

離島の高校での開催(新潟大~佐渡高校、島根大~隠岐高校など)ならまだわかります。

が、大学とは全く関係ない場所での開催もそこそこあります。

・東京医科歯科大~代々木ゼミナール本部校代ゼミタワー

・和歌山県立医科大~桐蔭高校

・大阪大~大阪青山大、藍野大、千里金蘭大(大阪大の学内開催もあり)

これも、場所を間違えると結構悲惨なことに。

下見のメリットは、試験当日、交通機関などを間違えずに行けることです。

大学開催、それも国立大など規模の大きな会場だと、臨時バスを出すなどの対応をしています。

その際も、人の多さに右往左往してしまうより、下見をした方が落ち着いて対応できます。

下見のデメリット、自家用車送迎は?

下見のデメリットは、何と言っても試験前日に勉強時間が潰れることです。

下見する暇があるなら勉強した方がいい、とする専門家もいます。

ただ、試験前日に頑張ったから得点が上がる、というわけでもないですし、数時間、勉強しなかったからと言って、だから何だ、という気も。

それから、受験生の保護者からすれば自家用車での送迎を考えるでしょう。

が、これは別の意味でお勧めできません。

確かに車の中でゆっくり勉強できるメリットがあります。

が、同じことを多くの保護者が考えるため、大学周辺は毎年のように大渋滞します。

一番、強硬な書き方をしているのが、金沢大

本年度の大学入試センター試験は,1月16日(土),17日(日)に実施され,本学試験場では約3,000名が受験予定です。

本学においては,角間キャンパスと鶴間キャンパスで試験が行われますが,例年両キャンパス周辺は,朝と試験終了後に交通渋滞が生じています。特に試験終了後は,角間キャンパスから杜の里まで通常5分もかからない2キロの距離が1時間以上もかかることもあり,鶴間キャンパスでも,キャンパス周辺の道幅が狭く,また行き止まりが多いため,例年激しい交通渋滞が発生しています。

このため,受験者の自家用車でのキャンパス乗り入れは禁止です。また,受験者の送迎による乗り入れもお控えください。

平成27年12月 金沢大学

そして、「自家用車での受験者の送迎は自粛を!」との項目には、3項目あり、「できれば自粛を」「もし使う場合は交通規則にしたがうこと」とあり、3項目目は赤字でわざわざこう書いてあります。

「自家用車を利用し、交通渋滞で遅刻した場合、追試験の対象になりません」

どうしても試験会場まで自家用車で、という場合は、

・朝、送るときは大学に8時前までに到着するくらい、早めに出る。

・往復とも、大学の最寄りターミナル駅かその周辺などにしておき、そこからは公共バスで移動

・帰りは公共バスに乗る

などを検討した方が良さそうです。

下見はどこまでできる?

下見がどこまで可能か、47都道府県の国立大すべてを確認しました。

方法は、大学のトップページ、それからGoogleでの「●●大学 センター試験 下見」でのキーワード検索。

確認したのは2016年1月11日16時~22時です。

下見についての記載があったのは、24校。それと、京都大は京都大生協受験生サポートページに記載がありました。

他の大学はサイトで確認できませんでした。

が、たとえば、弘前大では、記載がないものの、「受験生が前日、下見に来た」などの地元紙記事が検索に出ていました。

なので、記載がない大学も、下見そのものは可能と思われます。

24校のうち、下見が可能なのは試験会場の建物の前までとするところが大半でした。

ただし、長崎大熊本大大分大の3校は、下見期間中なら教室の前までは下見可能。

下見期間以外だと、他大学と同様、建物の前まで可能。

もし試験会場を間違えたら?

大学入試センターサイトのQA集にもありますが、指定された試験会場以外での受験はできません。

正しい受験会場に試験開始までに間に合えばいいのですが、問題は遅刻した場合。

20分以内の遅刻なら受験は認められます。

また、公共機関が雪などで遅れた場合は試験開始の繰り下げまたは追試験受験となる可能性が高いです。

しかし、遅刻の理由が試験会場の勘違いで「妥当な事由」と認められなかった場合は、追試験受験などの配慮はされない可能性が高いです。

九州大は'''、「いかなる理由があっても指定された試験場以外では受験できないことになっていますので,必ず下見を行い,試験場を間違えないようにしてください」'''と、わざわざ出すほど(しかも、これも赤字表記)。

おそらく、毎年、一定人数は試験会場の勘違いをしてしまうのでしょう。

というわけで、センター試験会場の下見はしておくことをお勧めします。

付記

センター試験については、

センター試験はトイレも行けない?~センター試験のトラブル、クレーム対応を考える

センター試験で替え玉受験は可能か?

大学関連については、

「Fの悲劇」記事への反論~Fランク大学ってそんなにダメですか?

「Fの悲劇」記事への反論・2~5年制じゃダメですか?

なども合わせてお読みいただければ幸いです。

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計31冊・65万部。 2023年1月に『ゼロから始める 就活まるごとガイド2025年版』(講談社)を刊行予定。

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