芥川賞・直木賞に強い大学、学べる大学
芥川賞・直木賞作家へのキャリアは?
前回は又吉直樹の受賞で沸いた芥川賞・直木賞が発表されようとしています。
高校での進路講演などでときどき、
「将来は芥川賞・直木賞を目指せるような小説家になりたいですが、どんな大学がいいですか?」
「うちの子が小説家志望。文学部に行くと言ってきかないが、本当に小説家になれるのか?」
などのご質問をよくいただきます。
では、実態はどうでしょうか?
2000年以降の芥川賞・直木賞受賞者の出身学部は?
いい機会なので、2000年以降の芥川賞・直木賞作家受賞者のキャリアを調べてみました。
まずは学部から。
「文学部系」に含めたのは、文学部・第二文学部・文芸学部・文化構想学部・短大文学関連学科です。
楊逸のお茶の水女子大学文教育学部地理学専攻は「それ以外」としました。
池井戸潤の慶應義塾大学文学部・法学部はダブルカウントとしました。
芥川賞2000年以降の受賞者 35人
文学部系出身者 10人
それ以外の学部・高卒等出身者 25人
直木賞2000年以降の受賞者 41人
文学部系出身者 19人
それ以外の学部・高卒等出身者21人
不明 1人
意外と「文学部系」が伸びていません。
7~8割近くは占めていると思ったので、これは意外でした。
文学部に近いところでは、
・教育学部7人(2012年芥川賞・黒田夏子など芥川賞5人、直木賞2人)
・教養学部3人(2014年芥川賞・小野正嗣など芥川賞3人)
・図書館情報学群(2006年芥川賞・青山七恵)など。
それ以外では、
・経済・経営・商学部系統9人(2015年直木賞・東山彰良など芥川賞5人、直木賞4人)
・法学部4人(2014年直木賞・西加奈子など直木賞4人)
・理工・農・情報など理工系統5人(2011年芥川賞・円城塔など芥川賞1人、直木賞4人)
出身大学は早稲田が圧勝
大学だと、
早稲田大15人(芥川賞6人、直木賞9人)
慶応義塾大5人(芥川賞2人、直木賞3人)
東京大2人(芥川賞2人)
明治大2人(芥川賞・直木賞各1人)
同志社大2人(芥川賞・直木賞各1人)
西南学院大2人(直木賞2人)
その他30人
早慶対決で言えば、早稲田大が圧勝です。
そういえば芥川賞候補にもなった村上春樹は早稲田大第一文学部演劇学科卒業。
演劇の脚本を読んだことが勉強になった、とエッセイなどで書かれているので、演劇学科を目指すのもいいかもしれません。
意外!芥川賞作家に学べる大学は?
大学のシラバスを確認したところ、芥川賞作家に学べる大学もありました。
※2015年のシラバスなので、2016年4月以降にあるかどうかは保証の限りではありません
高崎経済大地域政策学部は地元在住の芥川賞作家・絲山秋子が非常勤講師となるインタビュー実習があります。
絲山氏は同大の非常勤理事でもあります。
山形大は基盤教育の中に「山形クリエイティブ・ライティング」という講義があり、これも小説創作の実習。
招待講師は地元在住で直木賞作家の高橋義夫です。
文芸学科もあり
小説を学ぶ、ということであれば、文芸関連学部・学科へ進学する、という選択肢もあります。
日本大芸術学部文芸学科、近畿大文芸学部、大阪芸術大芸術学部文芸学科、東北芸術工科大芸術学部文芸学科など
もちろん、他学部に進学し、文学同好会などに入る、自学自習で作品を書いていく、なども考えられます。