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熊本地震の被災学生もそれ以外の学生も知っておきたい就活トラブル対処法

石渡嶺司大学ジャーナリスト

説明会・選考に間に合わない!どうすればいい?

日本の地震観測史上4度めとなる震度7を記録した熊本地震。

熊本学園大、九州ルーテル学院大などで講演をしたことのある私としては知人の安否が不安でした。

ひとまず、全員無事だったようでホッとしました。

が、被災された方のことを思うと心が痛みます。

さて、熊本地震の被災学生だけでなく、被災していない学生でも、交通網の混乱などで就活の予定が合わなくなることが多々あります。

説明会や選考に合わない、となると、パニックになり、そこから就活そのものを絶望視する学生もいます。

結論から言いましょう。

基本的に、まずは採用担当部署に連絡をしてください。

連絡をすれば、どうにかなります。

※以降、「連絡」というキーワードが何度となく、出てきます。鬱陶しい、と思う方は他の記事をどうぞ。

ケース1:これから説明会・選考に参加しようとしてトラブルが起きた場合(かつ、連絡を取ることが可能)

連絡を取れるのであれば、どういう事情かを説明するためにも連絡しましょう。

もし、説明会・選考について別日程での参加をしたいのであれば、その旨、先方に伝えるべきです。

熊本地震のような天災はもちろんのこと、交通網の乱れや学生個人の事情であっても、何らかの代替措置を企業側は検討します。

仮に、ですが、トラブルによって、説明会・選考に参加することを断念した場合でも、その旨、伝えておくべきです。

もし、万が一、翌年以降に説明会・選考を検討する場合でも企業・採用担当者の心証は全くと言っていいほど異なります。

ケース2:説明会・選考に参加予定だったが、トラブルにより参加不可能に。連絡を取れるようになったときはすでに説明会・選考が終了していた。

今回の熊本地震の被災学生だとかなり該当しそうです。

被災学生でなくても、よくある話。

これも、大丈夫。

まず、連絡してください。

説明会・選考がすでに終了していても(予定日の翌日以降でも)、連絡をしたうえで、事情を説明することです。

地震に伴う停電で連絡が取れなければ、それは学生個人の責任ではありません。

多くの企業では、説明会・選考について、代替措置を検討するはずです。

もし、代替措置を検討しない企業だったとしても、翌年以降、再度志望する際には、心証が大きく異なります。

ケース3:説明会・選考には十分に間に合うが、家族・親族の家が被災した。片づけなどを手伝いたいので、日程を変更したい。

これも連絡したうえで採用担当者に相談してみてください。

実家や親族の家が被災したのであれば、身内として片づけなどを手伝いたい、と考える学生もいるでしょう。

採用担当者側も家族・親族を大事にする心情を理解して、代替措置が可能かどうか、検討するはずです。

ただ、企業によっては代替措置が難しい場合もあります。

その場合は、就活を続けるか、ひとまず中断するか、学生側が検討するしかありません。

私個人としては、つらいかもしれませんが就活の継続をお勧めします。

確かに短期的な片づけなどはできませんが、就活を終えたあとでも、学生個人ができることはあるはず。

それを考えた方がいいのではないでしょうか。

ケース4:説明会・選考には十分に間に合うが、被災地にボランティアに行きたいので予定を変更したい。被災地には家族・親族がいるわけではない。

これも要相談。

ただ、就活を中断してまで行く話かどうか、というのはやや疑問です。

被災地も、被災直後からしばらくはボランティアの受け入れ態勢が整っていないでしょう。

そんな中に、一学生が行っても迷惑なだけです。

それと、家族・親族がいる場合の「その3」にも書きましたが、長期的に学生ができること、というのもあるはずです。

企業側がトラブルに遭った学生にやさしい理由

地震から交通事故、場合によっては単なる寝坊に至るまで、企業側は学生のことを基本的にケアしようとします。

説明会・選考の日程変更にも柔軟に対応するケースが多い、ということを学生に話すと、

「なんでそんなにやさしいのでしょうか?」

「なんか裏があるのでは?」

などと、逆に驚かれます。

カラクリは簡単です。

交通事故や交通網の乱れなど、何らかのトラブルに遭遇することは社会人になってもよくある話です。

まあ、地震や火事などの天災はそう多くないにしても、トラブルが起きて、予定が合わなくなった、あるいは間に合わなかった、ということはよくあります。

もちろん、交通網の乱れなどは事前に予測して行動しろ、という発想もあります。

私が以前、出入りしていた某週刊誌編集部では、

「取材地には、必ず前日に近くまで行って宿泊。当日は交通網が乱れても、すぐ行けるようにしておけ」

と、叩きこまれました。

ただ、そうした予防策をしてもなお、トラブルにより、予定に間に合わない、ということが社会人になっても、往々にしてあります。

そのとき、すぐあきらめてしまうのか。

それとも、連絡をしたうえで、最善策を検討できるのか。

後者の方が社会人のあるべき姿勢であることはいうまでもありません。

これは学生であっても同じです。

まず、採用担当者に事前であれ事後であれ、連絡して、

「すみません!実は~」

と、事情を説明できるかどうか。

結構な数の学生が、間に合わなかったら、もういいや、とあきらめてしまいます。

その点、連絡ができていれば、それは他の学生と異なります。

自分自身を守るためにも、まずは連絡をしてみてください。

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計31冊・65万部。 2023年1月に『ゼロから始める 就活まるごとガイド2025年版』(講談社)を刊行予定。

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