エントリーシート地獄から解放されるための法則集・2~ガクチカ編
ESで比重が大きくなる「ガクチカ」
エントリーシートシリーズ、2回目はガクチカ編です。
ガクチカ、すなわち、「学生時代に頑張ったこと」。
エントリーシートが導入されたのが1991年(ソニー)、そして1990年代後半には定着します。
その1990年代後半から2008年のリーマンショック以前のあたりまでエントリーシートでの主役は、志望動機と自己PRにありました。
ところが、取材をしていくと、志望動機と自己PRの比重がどんどん落ちていき、ガクチカや学生本人の話が主流を占めるようになります。
対策できる自己PR、対策できない「ガクチカ」
これは、企業からすれば合理的な理由があります。
志望動機や自己PRって、ある程度までは対策ができてしまいます。
対策とは、ここでまとめた法則を使って書く、という意味ではありません。
ここで使う「対策」とは、抽象表現を使うことです。
自己PRは結局のところ、抽象表現を使わざるを得ません。
いくら学生がオリジナリティを出そうとしても、20年以上もの蓄積から、ほとんどの表現は使い回されている、と言っていいでしょう。
詳しくは自己PR・志望動機編でも書きますが、抽象表現を使うのがダメ、というわけではありません。
私は使わざるを得ないし、それで量産していく方が話は早いと思います。
自己PR・志望動機で抽象表現を使っていくと、困るのが企業側です。何しろ、どの学生も書く内容はほぼ同じになってしまうからです。
もう、オチが見えた人もいるでしょう。
ガクチカ中心だと、同じアルバイト、同じサークル、同じゼミのネタでも学生の個性は少しずつ異なります。
企業にとって欲しい人材かどうか、見極めることが可能となるのがガクチカであり、だったらそちらを中心に、という次第。
それと、モノづくり業界の商社・メーカーだと、志望動機も何も世間一般にほとんど知られていません。
学生からすれば志望動機のネタ自体が少ない、ということを当の企業側がよくわかっています。
そこを深堀しても、意味がない、と考える採用担当者が増えています。
「ガクチカ」イコール「すごい」も古くなりつつ
ガクチカと言えば、なんか、すごいエピソードを書かなくてはならない、と勝手に思い込む学生が結構います。
そこで、「盛る」学生が続出しています。
これもなあ……。
有効だった時代があることは否定しません。
ただ、今となっては、古い手法です。
何よりも、企業側が求めていません、そんなのは。
ほとんどの企業では、すごい学生よりも、普通の学生を求めています。
その普通の学生の経験から、企業が求める人材に合う部分がどこか、それを見るのがガクチカです。
いくら学生が盛ってすごいエピソードを書いても、ピント外れで意味がありません。
すごい学生も普通の学生もガクチカを書けない理由
就活相談に乗って、詳しい話を聞くと、ほとんどの学生はガクチカで使えるネタの1つや2つ(学生によってはもっと)を持っています。
ところが、そのネタを生かし切れていない学生が大半です。
このネタの無駄遣い、すごい学生も、普通の学生もどちらにも言えます。
理由をつらつら考えてみました。
理由1:就活マニュアル本などに出てくる「すごい学生」ESの例が古すぎて現状に合っていない
理由2:多くの学生にとって、「すごい学生」が留学、コンテスト優勝、体育会系レギュラーなどかなり限定されている
理由3:学生側が「すごい学生」像を盛ろうとしすぎて、結果的に学生の個人情報を生かし切れていない
理由4:学生がアピールしたいガクチカと、企業側が見たいガクチカが決定的にズレている
理由5:学生本人の自己肯定観の低さからガクチカをうまく書けない
理由6:そもそもアピールすることに慣れていない
理由7:ガクチカの変化球(「挑戦」「最大の変化」など)で戸惑ってしまう
それぞれ、ちょっとずつ重複しますが、こんなところでしょうか。
どれもありそうですが、私が一番大きいと考えるのは理由4「学生と企業側が決定的にズレている」です。
では、このズレを埋めるにはどうすればいいか、以下、まとめていきました。
法則1:ガクチカに自己PRを入れない
通過率アップ
項目のラストに自己PRを入れない
通過率ダウン
項目のラストに自己PRを入れる
解説
学生回答構成1・2とも内容はほぼ同じ。
書道同好会で頑張りました、という内容です。
回答構成1は、
「『楽毅論』に挑戦した」
という事実がオチになっています。
一方、回答構成2は、書道で求められる平常心と集中力を説明、
「この書道の精神を貴社でも生かしたい」
という自己PRをオチに使っています。
文章の構成としてきれいなのは、回答構成2の方ですね。
ところが。
ES文法・書き方のコツ編の法則1でES文法についてご説明しました。
ガクチカは、多くの企業では、学生時代に頑張ったことを書け、という指示であり、自己PRを入れろ、という指示は入れていません。
自己PRを入れたから落ちる、とまでは言いません。
しかし、ガクチカは実際あった話を書くのが基本です。
それを考えると、文章の構成としてはややおかしくても、回答構成1の方が、通過率は高いでしょう。
それから、回答構成2の問題点は自己PRにあります。
実はこれ、『とめはねっ!』という書道漫画を読んで私が創作したものです。
付言しますと、私は書道をやっていません。
書道をやっていないのに、それっぽいことを書けてしまう、これが自己PRの怖さです。
実際にあった話をベースに書かなければならないのに、誰でも書けてしまう自己PRをオチに使うと、どうなるでしょうか。
自己PRを入れた分だけ、学生個人の話を書く分量が減ってしまいます。
企業側も、自己PRでごまかせることはよく理解しています。
誰でも書ける自己PRを入れている、とすれば、実はこのガクチカは盛ったもので事実ではないのではないか、とも考えます。
判別不能であれば、落としていくのがエントリーシートの宿命。
つまり、学生本人にしか書けない個人情報が薄まれば薄まるほど、通過率は落ちてしまいます。
学生本人からすれば、本当の話であっても、自己PRを入れるだけで、ウソをついている、と勘違いされてしまいます。
それを考えれば、下手に自己PRを混ぜるのは得策ではないのです。
法則1まとめ:ガクチカには自己PRを混ぜない
法則2:アルバイトネタなら「飲食店」とまとめず、どんな店かを書く
通過率アップ
「スターバックス」「中華料理店」など具体的な店名・業種名などを書く
通過率ダウン
「飲食店」とまとめる
解説
なぜか、アルバイトネタで飲食店だと、具体的な店名・業種名を挙げない学生が結構います。
それが、学生回答構成1の例。
これ、法則1でも書いた通り、誰でも言えてしまいます。
そこで、この回答のエントリーシートを見せてきた学生に、
「どういうアルバイトだったか、5分話して」
と言ったら出てきた内容が回答構成2・3・4。
中華料理店、イベント会場内レストラン、イタリアンレストランとそれぞれ違います。
中華料理店では厨房の中国人留学生とのコミュニケーション。
イベント会場内レストランでは、混雑時の行列対応。
イタリアンレストランだとメニューの説明。
それぞれ、苦労した点が異なります。
「だったら、それを書こうよ。というか、書け」
と私が話すと、
「えー、それ、書いていいのですか?」
と、びっくりされました。
そんなの、こちらの方がびっくりです。
飲食店に限りません。
同じコンビニでも、ローソンなのか、ファミリーマートなのか。
駅前にあるのか、大学内にあるのか、イベント会場内にあるのか、など、立地によっても、アピールできる内容は変わってくるはずです。
学生からすれば、
「そんな当たり前の話を書いても」
と思うかもしれません。
当たり前の話が当たり前なのか、それともネタとして使えるか、これはやはり他者評価が必要。
キャリアセンター職員、キャリアカウンセラーなど、社会人を捕まえるのがいいのですが、難しいなら同じ学生同士でも可。
ともかく、自分のアルバイトの話を5分ほど話して、相手の反応を見てみましょう。
「へえ」
「そこまでやるんだ」
などの反応があれば、それはエントリーシートのネタになりうる価値があることを意味します。
なお、これはゼミ・サークルなどでも同じです。
法則2まとめ:飲食店と抽象的にせず、具体的に書く
法則3:中高ネタより大学ネタ
通過率アップ
大学時代をネタにする
通過率ダウン
中高以前をネタにする
解説
ガクチカは大学時代の話を書くのがお約束です。
だからこそ、ガクチカなわけで。
ところが、このガクチカ、近年では変化球が増えています。
それが設問1、とある商社のものです。
「過去」「最大の決断」がポイントです。
どうとでも取れる設問ですし、「最大の決断」であれば、人生のクライマックスを出さなければ、と学生を惑わせます。
そこで、回答構成1のように生徒会長に立候補した話を持ってくる学生が多数。
生徒会長以外だと、大学受験、高校受験もありがちですし、小学校の児童会をもってきた学生もいました。
大学受験、高校受験だとほとんどの学生が経験をしています。
ビリギャルだって、元が良かったから慶応に入ったのでしょ、と言われる昨今ですし、アピールポイントとしては弱すぎます。
生徒会や委員会活動も、古すぎます。
それと、多くの高校では生徒会・委員会活動というのは、それほど盛んなわけではありません。名目だけ、という高校もあるはず。
生徒会・委員会活動を書く学生は、
「いや、そんなことはない」
と反論するかもしれません。
が、よほど詳細に書けるならまだしも、200字や400字で詳細を伝えるのは難しいでしょう。
それを考えれば、学生個人にとって、多少弱い部分があったとしても、大学時代の話をネタにした方がいいのです。
たとえば、アルバイトを複数やっていたという回答構成2がそう。
これだって、どの学生でも書けてしまいます。
ですが、学生時代の話を出しているわけで、他にネタがなかったか、と誤解されないだけまだましです。
どうしても、中高以前のネタを出したいのであれば、体育会系の部活動か実家の家業など。
それも、大学生活にうまくつなげるような書き方が必要です。
法則3まとめ:ガクチカは指定がなくても大学以降のネタが基本
法則4:同年代より年上・異なる集団
通過率アップ
年上や異なる集団とのコミュニケーションをネタにしている
通過率ダウン
同年代とのコミュニケーションをネタにしている
解説
お題は「学生時代に頑張ったこと」そのままで、回答構成を2つ、見ていただきましょう。
これも、実は全く同じ学生のガクチカです。
確か、筝曲だったか、大正琴だったか、音楽関連のサークル。
最初の回答構成1は、部活動をしている同じ学生とのコミュニケーションが中心です。
なんか、楽しかったのだろう、ということは伝わってきます。
でも、それだけ。
「ミーティング」は要するに、おしゃべり。
合宿地選定も、意見が割れた、と言っても、しょせんは合宿地の選定。そんな深刻な話かあ、となってしまいます。
うなだれる学生に、
「秋季の活動では大学学生部や大会に参加するOBとの折衝にも力を入れた」
これがわからないので、聞くとネタの宝庫でした。
「学生部との折衝は予算獲得のプレゼンテーションです。毎年秋に大学学生部に、活動を報告。今後の見通しから、何が必要か、予算は増やすとしたらどれくらい必要か、プレゼンするのです。学生部の職員から厳しいツッコミも入るので、プレゼンは相当、気合いを入れて作成しないと、当初目標にしていた予算を減らされる、ということもあります。実際、前年には予算を減らされてしまいました。単にパワーポイントで資料をまとめるだけでなく、みんなで勢ぞろいしてパフォーマンスをするなど、アピールに力を入れました。結果、予算は満額、獲得できました」
「秋の大会は大学祭での発表会なのですが、現役生だけでなく、OBも参加します。人気の演目をみんなやりたがるのですが、毎年、テーマを決めているので、現役学生側から指定してお願いすることもあります。もちろん、すぐOKしてくれる卒業生ばかりではありません。だからまあ調整が大変です。こちらから一方的に話すだけでなく、相手の意見を最後まで聞いてから、なぜ、その演目でお願いしたいのか、丁寧に説明します」
なぜ、この話を使わずに、自称・ミーティングなのか、と聞いたら、逆に問い返されました。
「いや、そんなの、当たり前と思っていたので」
この対社会人のコミュニケーションを軽視してしまうのは、この学生だけではありません。
なぜか、私がES添削をした学生では8割以上が該当していました。
対社会人でなくても、同じ学生なら先輩学生(ゼミ研究室なら大学院生)や留学生なども含めれば、話せるネタのある学生は結構います。
が、なぜか、使わないわけで、これは実にもったいない。
探してうまく使うことをお勧めします。
企業からすれば、同年代とうまくコミュニケーションが取れる(と主張する)学生はいくらでもいます。
一方、年上・異なる集団とのコミュニケーションをネタにする学生はそれほど多くありません。
希少価値があるうえ、企業からすれば気になるのはどう考えても後者。
というのも、社会人になれば、どの企業でも(あるいはフリーランスでも)、年齢も含めて、自分とは異なる集団とコミュニケーションをとる機会が学生の想像以上に増えます。
それを学生にうちに疑似体験しているのであれば、それは企業からすれば気になる内容なのです。
学生からすれば、同じ年代とのコミュニケーションの方が思い出、としては強いでしょう。
が、エントリーシートのガクチカは思い出をまとめる書類ではありません。
法則4まとめ:年上、異なる集団とのコミュニケーションをネタにしていく
法則5:ガクチカ写真は集合写真NG・普通はOK
通過率アップ
個人の日常の写真など学生本人が特定できる
通過率ダウン
サークルの飲み会の集合写真
解説
ガクチカの変化球として写真を使う企業も増えてきました。
ま、内容は基本的に同じです。
この変化球に手こずる学生は多くいます。
以下、ダメなパターンから。
ネタだろ?と思うかもしれませんが、そこそこいます。
貼らないのは論外ですし、子どものときの写真を貼られても…。
風景写真も多いなあ。
「いや、これはこの企業をイメージした写真で…」
企業のイメージ写真を貼れ、なんて指示はなく、本人の写真、とある以上はこれもアウト。
この手に出ると、通過率が大幅にダウンしてしまいます。
このカテゴリー、共通しているのは、
「本人が特定できない」
点にあります。
集合写真だと、楽しそうなのはわかりますが、本人は小さくしか写っていません。
特に、リクナビのオープンESなど、ネットに貼りつけるものだと、集合写真もさらに小さくなるので、見づらさはなおさら。
演奏や試合も、本人が特定できないか、吹奏楽だと、目をつぶっていて、よくわからない、という特徴があります。
美大生の作画(作品作成)の後姿、というのも、一見、それっぽい写真ではあります。
顔がはっきり写っていない、ということは、よほど自信がないのか、それとも、他に適当な写真がなかったか、などネガティブな発想にも行きがちです。
先ほどのカテゴリーよりは、まだ通過しやすいですが、それでもダウン評価となるカテゴリー。
テーマは「自信がなさそう」。
リクルートスーツを着て、自分らしいと言われても絶対にウソであることは明らかです。
理工系だと研究室で適当に撮影する写真が多いのですが、大体は笑顔なし。技術職採用ならそれでいいかもしれませんが、総合職採用だと、
「真面目だけど、笑顔とか少なさそうでコミュニケーション能力もきつそう」
などと、ネガティブな評価を受けることも。
研究室写真を使うなら、何枚も撮影して笑顔を引き出すようにした方がいいでしょう。
女子学生だと、旅行やサークル、ゼミなどでの3人組の集合写真が多いですね。
それも、本人がセンターを取らず、後ろで小さくなっているもの。
ダメとは言いませんが、センターを取らないのは、取れないのか、それとも他に写真がなかったか、など考えてしまいます。
お調子者学生に多いカテゴリーです。
通過率がややアップすることもありますが、微妙か、大幅ダウンもあり得ます。
一発芸系は、それを許す社風の企業ならいいのですが、そうでなければ、アウト。
まあ、変顔くらいだったら、よくあるのでいいのではないでしょうか。
ただし、大企業だと100枚単位で変顔写真を採用担当者は見るわけです。決して、差別化のために変顔をしよう、などと思わないこと。
「モノを粗末に」は、具体的には、
「フリーペーパーサークル所属/フリーペーパーの束の上に腰かけた一枚」
「製菓メーカー志望/お菓子の袋でロゴを作成」
など。
本人からすれば、悪意があって、というわけではありません。
しかし、ネガティブにとらえる人はいるでしょう。
前者なら、自分たちが作ったフリーペーパーに腰かけるなど大切にしていない、と考えられるかもしれません。
後者なら、お菓子を無駄にしている、と捉える人もいるでしょう。
ネガティブにとらえられると、本人が良かれとおもったことが通過率を大幅に下げる可能性すらあります。
その程度でいいのですか、と学生にはよく聞かれますが、その通り。
どんな写真か、思いつかないようなら、記念写真や、日常生活の笑顔の写真程度で十分です。
「1枚のみ」という指示がなければ、2枚使う、という方法もあり得ます。
ただ、あんまり凝り過ぎても時間がかかるだけなので、ほどほどに。
集合写真をどうしても使いたい場合は、自分が写っている場所に赤丸を付けるか、矢印で表示するなどすればわかりやすいでしょう。
一番いいのがこれ。文章だけではわかりにくいネタも写真を見ればすぐわかります。
しかも、本人が大きく写っているのであれば、なおさら。
変に動きを付けようとしなくても大丈夫。
アルバイトなら、アルバイト先の店長などに頼んで一緒に写ってもらうとか。
何にしても、本人がわかるかどうか、これが最優先です。
法則5まとめ:顔が分かる、普通の笑顔の写真を使おう
法則6:理工系・オタク・専門ネタは「文系高校生」「一般人」に説明する気持ちで
通過率アップ
文系高校生・一般人にもわかるように書く
通過率ダウン
専門家・オタク同士にしかわからないように書く
解説
理工系・オタク学生やマニアックな団体に所属している学生は、ガクチカで自滅しやすいです。
理由は簡単で、同じ研究者、同じオタク、同じ団体に入っている人にしかわからないように書いてしまうからです。
結果、部外者である採用担当者からすれば、理解不能。
もしくは、ネガティブな印象しか持てず、どちらにしても、ゴミ箱行き、というケースがほとんど。
別に理工系やオタク学生、マニアックな団体に所属している学生がダメ、というわけではありません。
書き方がまずいのです。
回答構成1は、ミリタリーファンですね。
戦史より前に戦車を挙げているあたり、どう考えても、『ガールズ&パンツァー』のファンでしょう。
この構成だと、
「戦史と戦車が好きなのね、ふーん」
で、おしまいです。
回答構成2は、理工系にありがちなもの。
理工系学生の場合、技術職・研究職なら、自身の研究分野について書く欄が多いはず。
で、専門用語を出しても、それは問題ありません。
この回答構成2の問題点は総合職向けのエントリーシートであることです。
これだと、何がどうすごいのか、よくわかりません。
回答構成3は仏教団体。
話を聞くと、真面目な団体でした。
しかし、この回答を見る限り、新入生勧誘でトラブル、とあれば、どんなカルト宗教団体なのか、と誤解されても仕方ないでしょう。
オタクネタだと、好きなことを列挙するのはアウト。
それよりは、行動特性などを書いた方がいいでしょう。それと、一般人でもわかるようにすること。
理工系学生だと、文系の高校生にプレゼンするくらい、かみ砕いた書き方をして、ちょうどいいくらいです。
それから、回答構成3のように、誤解を招きかねないネタは、あえて書かないようにした方がいいでしょう。
法則6まとめ:一般人でもわかるような書き方をすること
法則7:ゼミ・研究・ボランティアネタは青年の主張にしない
通過率アップ
所属したゼミなど団体の話を書く
通過率ダウン
研究内容・主張を中心に書く
解説
こういう回答はアウト。
この石渡を悪く書いている時点で、その学生に未来はありません(ウソ)。
というのは冗談ですが、ゼミ・研究ネタを使う学生は結構な確率で、その研究内容、特に文系だと、政治的主張を使いたがります。
政治的主張と言えば、ボランティアサークルなども多いですね。
その主張は、何でもいいのですが、採用する側からすれば、
「それ、お前の主張じゃないだろ。そもそも、ガクチカを聞いているのに、政治主張をしてどうする?」
で、おしまいなのです。
ゼミ・研究をネタにするなら、その簡単な紹介は必要です。
が、そこから政治的主張に入るのではなく、そのゼミで何があったか、などを書いていった方がいいでしょう。
法則7まとめ:1ネタの使い回しより複数ネタを出す
法則8:副部長ネタはあえて切る
通過率アップ
サークルの話は書いても副部長など役職はあえて書かない
通過率ダウン
副部長など役職者として頑張ったことを強調する
解説
フェルミ推定で考えていくと、日本の大学にサークル・部はいくつあるでしょうか。
782校あって、1校あたり50サークルあったとすれば3万9100サークル。
ざっくり考えると、2万か3万以上ものサークルがこの日本の大学には存在します。
となると、部長・代表職だけで、2万人か3万人。
副部長・会計担当などの役職者はその倍以上いる計算になります。
学生からすれば、副部長で頑張った、会計担当で頑張った、と言いたいところでしょう。
が、企業からすれば、
「あ、またか」
なのですよ。
サークルの話自体は悪くありません。
が、わざわざ、
「あ、またか」
と思われる役職者で苦労した話を強調するよりは、平の部員でもいいので、何をやったか、書いた方がまだましなのです。
法則8まとめ:副部長ネタはできるだけ切る
法則9:家庭教師・塾講師ネタはあえて切る
通過率アップ
家庭教師・塾講師ネタはあえて切る
通過率ダウン
家庭教師・塾講師で苦労した話を強調する
解説
家庭教師・塾講師ネタって、結局のところ、この回答構成1のパターンにはまりこんでいます。
しかも、このパターン、エントリーシートが日本の就活に定着して以来、ずっと使われ続けています。
採用担当者からすれば、
「あ、またか」
なのですよ。
もちろん、塾講師・家庭教師をする学生は難関大や地方国公立大に多いわけです。
ガクチカ欄の評価自体は低くても総合評価で、書類選考は通過する可能性はそれなりにあります。
が、それにしても、ガクチカというPR欄でわざわざ、評価を下げるネタを出してしまうのはもったいない。
そもそも、指導した生徒・児童は、元の成績が良く、学生本人の手腕でない可能性すらあります。
仮に、教科指導にすぐれているなら、無理に民間企業を受けなくても、となってしまいますし。
どうしても、家庭教師・塾講師をネタにしたいのであれば、生徒・児童の話は、あえて書かない、という手があります。
では、何を書く?
さあ、よーく考えてみてください。
家庭教師・塾講師をした学生諸君。
指導をした生徒・児童以外に、かかわった人は誰もいませんでしたか?
そこで苦労した話であれば、まだ書く価値あり。
どうしても思いつかないならやめた方が無難です。
法則9まとめ:塾講師・家庭教師ネタは生徒指導以外か、いっそ切るかどちらか
法則10:家族ネタは慎重に
通過率アップ
家族ネタのネガティブな話だけを書かない
通過率ダウン
家族ネタのネガティブな話のみを書く
解説
現代の複雑な家族環境を反映してか、ガクチカで家族ネタを書く学生も増えてきました。
苦労したからこそ書けるわけですが、内容としては微妙なところです。
回答構成1のような、父親からモラハラを受け続けた、という話を聞いた側は、
「そうか、大変だったのだね」
としか、言いようがありません。
そこから、一緒に働きたいかどうか、判断できるか、というと難しいところ。
エントリーシートが苦労話を披露する場なら、回答構成1でもいいでしょう。
ですが、実際はそうでないわけです。
まして、家族観について、
「いや、ひどかったとしてもそこは家族なのだから、最後は仲良くすれば」
と考える人が多数です。
そうした家族観を持つ社会人からすれば、この回答構成はずいぶん、狭い見方をする学生だなあ、でおしまいです。
個人的な話をしますと、私は高校1年のとき、母が亡くなりました。
病死でしたが、その前の父からのDV・モラハラが遠因であり、これについて、高校から大学を卒業してしばらく、あるいはつい最近まで相当、ムカッと来ていました。
ひどい言い争いをする、というよりも、もうどうでもいい、というパッシングの状態が相当期間続いていました。
が、ここ数年、入退院を繰り返すようになり、入院時は、毎日、見舞いに行って付き添うなどしています。
「仲良く」というところまでは言っていませんが。
個人談が長すぎました。
そんな背景がある私としては、
「家族仲良く」
とは単純には言えないだろうと思いますし、回答構成1を書く学生の気持ちもわかります。
ただ、繰り返しますが、エントリーシートは苦労話の披露合戦の場ではありませんし、家族で苦労した学生とは異なる家族観を持つ人が採用担当者の多数を占めます。
ならば、相手に合わせた書き方をするしかありません。
回答構成1を変えるとしたら、こんな感じでしょうか。
親の離婚の話はカット。
「小学3年生のときに父子家庭となった」
と書けば十分です。
父親への不満は
「大変だった」
で終わり。
ずいぶんと前向きな書き方に変わりました。
嘘くさい?
そうかもしれません。
が、家族ネタはこれくらいの前向きさで終わらせた方が無難です。
それが嫌、というのであれば、他のネタに代えた方がいいでしょう。
法則10まとめ:家族ネタは前向きに書くか切るかどちらか