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公務員教員志望学生は県の石を答えられるか~「県の石」選定が重石となる件

石渡嶺司大学ジャーナリスト

日本地質学会、県の石を制定

「都道府県のシンボル」は、花や木、鳥などが有名です。

それ以外では、魚、動物などを定めている都道府県もあります。

この「都道府県のシンボル」シリーズに、「石」が加わることになりました。

日本地質学会は、全国47都道府県について、その県に特徴的に産出する、あるいは発見された岩石・鉱物・化石をそれぞれの「県の石」として選定いたしました。日本地質学会は来る平成30年(2018年)に創立125周年を迎えますが、都道府県の石の選定をその記念事業のひとつとして実施するものです。

日本地質学会サイト「『県の石』発表」(コメントは井龍康文会長)

さて、この「県の石」、正確には3種類あります。

岩石、鉱物、化石。

読売新聞鳥取版のこちらの記事、

「県の石」県内から3件認定

タイトルからは、

「鳥取は他県より多く3件も認定された」

と誤解する読者もいるでしょうが、どの都道府県も3件は認定されています。

以下、日本地質学会サイトから47都道府県の岩石・鉱物・化石、合計141種をリストにまとめました。

北海道・東北の岩石・鉱物・化石

北海道

岩石:かんらん岩

鉱物:砂白金

化石:アンモナイト

青森県

岩石:錦石

鉱物:菱マンガン鉱

化石:アオモリムカシクジラウオ

岩手県

岩石:蛇紋岩

鉱物:鉄鉱石

化石:シルル紀サンゴ化石群

秋田県

岩石:硬質泥岩

鉱物:黒鉱

化石:ナウマンヤマモモ

宮城県

岩石:スレート

鉱物:砂金

化石:ウタツギョリュウ

山形県

岩石:デイサイト凝灰岩

鉱物:ソロバン玉石

化石:ヤマガタダイカイギュウ

福島県

岩石:片麻岩

鉱物:ペグマタイト鉱物

化石:フタバスズキリュウ

関東の岩石・鉱物・化石

茨城県

岩石:花崗岩

鉱物:リチア電気石

化石:ステゴロフォドン

栃木県

岩石:大谷石(凝灰岩)

鉱物:黄銅鉱

化石:木の葉石(植物化石)

群馬県

岩石:鬼押出し溶岩(安山岩)

鉱物:鳥冠石

化石:ヤベオオツノジカ

埼玉県

岩石:片岩

鉱物:スチルプノメレン

化石:パレオパラドキシア

東京都

岩石:無人岩

鉱物:単斜エンスタタイト

化石:トウキョウホタテ

千葉県

岩石:房州石(凝灰質砂岩・細礫岩)

鉱物:千葉石

化石:木下貝層(きおろしかいそう)の貝化石群

神奈川県

岩石:トーナル岩

鉱物:湯河原沸石

化石:丹沢層群のサンゴ化石群

中部の岩石・鉱物・化石

新潟県

岩石:ヒスイ輝石岩

鉱物:自然金

化石:石炭紀−ペルム紀海生動物化石群

富山県

岩石:オニックスマーブル(トラバーチン)

鉱物:十字石

化石:八尾層群の中新世貝化石群

石川県

岩石:珪藻土(珪藻泥岩)

鉱物:霰石

化石:大桑層の前期更新世化石群

福井県

岩石:笏谷石(火山礫凝灰岩)

鉱物:自形自然砒

化石:フクイラプトル・キタダニエンシス

静岡県

岩石:赤岩(凝灰角礫岩)

鉱物:自然テルル

化石:掛川層群(大日層)の貝化石群

山梨県

岩石:玄武岩溶岩

鉱物:日本式双晶水晶

化石:富士川層群の後期中新世貝化石群

長野県

岩石:黒曜石

鉱物:ざくろ石

化石:ナウマンゾウ

岐阜県

岩石:チャート

鉱物:ヘデン輝石

化石:ペルム紀化石群

愛知県

岩石:松脂岩

鉱物:カオリン

化石:師崎層群の中期中新世海生化石群

関西の岩石・鉱物・化石

三重県

岩石:熊野酸性岩類

鉱物:辰砂

化石:ミエゾウ

滋賀県

岩石:湖東流紋岩

鉱物:トパーズ

化石:古琵琶湖層群の足跡化石

京都府

岩石:鳴滝砥石(前期三畳紀珪質粘土岩)

鉱物:桜石(菫青石仮晶)

化石:綴喜層群の中新世貝化石群

兵庫県

岩石:アルカリ玄武岩

鉱物:黄銅鉱

化石:丹波竜(タンバティタニス アミキティアエ)

大阪府

岩石:和泉石(和泉青石/砂岩)

鉱物:ドーソン石

化石:マチカネワニ

奈良県

岩石:玄武岩枕状溶岩

鉱物:ざくろ石

化石:前期更新世動物化石

和歌山県

岩石:珪長質火成岩類

鉱物:サニディン

化石:白亜紀動物化石群

四国の岩石・鉱物・化石

香川県

岩石:讃岐岩(古銅輝石安山岩)

鉱物:珪線石

化石:コダイアマモ

徳島県

岩石:青色片岩

鉱物:紅れん石

化石:プテロトリゴニア

高知県

岩石:花崗岩類(閃長岩)

鉱物:ストロナルシ石

化石:シルル紀動物化石群

愛媛県

岩石:エクロジャイト

鉱物:輝安鉱

化石:イノセラムス

中国の岩石・鉱物・化石

鳥取県

岩石:砂丘堆積物

鉱物:クロム鉄鉱

化石:中新世魚類化石群

島根県

岩石:来待石(凝灰質砂岩)

鉱物:自然銀

化石:ミズホタコブネ

岡山県

岩石:万成石(花崗岩)

鉱物:ウラン鉱

化石:成羽植物化石群

広島県

岩石:広島花崗岩

鉱物:蝋石

化石:アツガキ

山口県

岩石:石灰岩

鉱物:銅鉱石

化石:美祢層群の植物化石

九州の岩石・鉱物・化石

福岡県

岩石:石炭

鉱物:リチア雲母

化石:脇野魚類化石群

佐賀県

岩石:陶石(変質流紋岩火砕岩)

鉱物:緑柱石

化石:唐津炭田の古第三紀化石群

長崎県

岩石:デイサイト溶岩

鉱物:日本式双晶水晶

化石:茂木植物化石群 長崎市茂木町

大分県

岩石:黒曜石

鉱物:斧石

化石:更新世淡水魚化石群

熊本県

岩石:溶結凝灰岩

鉱物:鱗珪石(トリディマイト)

化石:白亜紀恐竜化石群

宮崎県

岩石:鬼の洗濯岩(砂岩泥岩互層)

鉱物:ダンブリ石

化石:シルル紀−デボン紀化石群

鹿児島県

岩石:シラス(主に入戸火砕流堆積物)

鉱物:金鉱石(自然金)

化石:白亜紀動物化石群

沖縄県

岩石:琉球石灰岩

鉱物:リン鉱石

化石:港川人

石マニア以外はわかるような、わからないような

石マニアではない私からすれば、新潟県のひすい、自然金。

長野県・大分県の黒曜石、島根県の自然銀あたりは、よくわかります。

宮城県の砂金、鹿児島県の金鉱石も、「信長の野望」シリーズで伊達・島津でプレイすると、金山が出て序盤が楽というのを思い出したり。

一方で化石は、ほぼわかりません。

かろうじて、北海道のアンモナイト、長野県のナウマンゾウ、沖縄県の港川人あたりは日本史で覚えています。

しかし、東京都の化石がトウキョウホタテと言われても、これはついていけません。

全般的には、なじみのある石を選んだ、というよりも、この選定をきっかけに知名度を上げよう、としているのかな、と思います。

他人事でない公務員・教員試験志望者

この141種類の石について、マニアでもないのに覚えなければならないのが、公務員・教員志望の大学生です。

公務員・教員の筆記試験は、広く浅く問われる教養試験。

近年では、公務員試験だけでなく教員試験でも、ご当地問題が急増しています。

ご当地問題では、地元の歴史、文化、地理などを問う問題です。

当然ながら、県のシンボルである木・花・鳥は毎年のように出題されています。

ということは、この石シリーズも出題される可能性はきわめて高い、と見ていいでしょう。

まさに公務員・教員志望者にとっては重石にしかならないわけで。

石マニアでもないのに、何で覚えなければならないのか、とお嘆きかもしれません。

まあ、決まった以上は諦めてください。

せっかくなので、予想問題を作ってみました。

予想問題1・ストレートパターン

問題1:2016年に大分県の石として指定されたものは何か?

回答:黒曜石

問題2:2016年に新潟県の鉱物として指定されたものは何か?

回答:金(自然金)

石、鉱物、化石がメジャーだと、このパターンでの出題が予想されます。

予想問題2・歴史地理複合パターン

問題1:天明3年の浅間山大噴火で形成され2016年に群馬県の石と指定されたものは何か?

回答:鬼押出し溶岩

問題2:姶良カルデラ噴火で発生した大規模な火砕流や降下物による堆積物で,鹿児島県全体を広く覆っており、2016年に鹿児島県の石に指定されたものは何か?

回答:シラス

問題3:沖縄県具志頭村港川の採石場から発見され、東アジアの末期更新世における新人の進化を解明する上でも貴重な資料でもあり、2016年に沖縄県の化石に指定されたものは何か?

回答:港川人

県の石が分からなくても、問題文を読めばわかるパターン。

予想問題3・他地域複合パターン

問題1:次の県の鉱物のうち、金・砂金・白金を県の石としていない都道府県を選べ

1:北海道2:秋田県3:宮城県4:新潟県5:鹿児島県

回答:2(秋田県/黒鉱)

問題2:次の県の化石のうち、植物を県の化石としていない都道府県を選べ

1:秋田県2:栃木県3:岡山県4:長崎県5:大分県

回答:5(大分県/更新世淡水魚化石群)

他地域を含めた複合パターン。

黒曜石(長野県、大分県)、銅・黄銅(栃木県、兵庫県、山口県)などが狙われそう。

このパターンは選択肢から問題作成者が得点率を上げるか、あるいは下げるか、という発想も見え隠れします。

問題1だと、金のみにして、選択肢を全然関係ない県(銅の栃木県あたり)にしておけば、得点率は上がるでしょう。

一方、問題1のように、白金(北海道)を含めると、難易度が上がり、得点率は相当下がります。

問題2も、マイナーな化石を狙うという罠。

お手上げなら、さっさと次の問題に移ることをお勧めします。

予想問題4・超変化球パターン

問題1:次の県の化石のうち、中部のものではない選択肢を選べ

1:師崎層群の中期中新世海生化石群2:富士川層群の後期中新世貝化石群3:ミエゾウ4:掛川層群大日層の貝化石群5:ナウマンゾウ

回答:3(ミエゾウ)

問題文・選択肢を呼んでもさっぱりわからない人が多いはず。

が、ミエゾウが三重県の化石であり、その三重県が中部・甲信越ではなく、関西に区分されている、と分かればすぐ回答可能。

こういう変化球問題もありそうです。

大学ジャーナリスト

1975年札幌生まれ。北嶺高校、東洋大学社会学部卒業。編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計31冊・65万部。 2023年1月に『ゼロから始める 就活まるごとガイド2025年版』(講談社)を刊行予定。

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