AKB48 恋愛禁止の掟って、それこそ人権侵害ではないか。

伊藤 和子 | 弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長

AKB48のメンバー峯岸みなみさんが恋愛禁止令を破ったことを理由に丸刈りになって涙で謝罪した映像にはとにかく愕然とした。

恋愛禁止というのはジョークかと思ってきたけれど、実際に降格させられたり、丸刈りになって謝罪をさせられるということにおどろいた。

言うまでもないけれど、そんな個人の自由を禁止する就業規則があったら人権侵害で違法・無効であることは明らか。懲戒処分など認められないでしょう。

そもそも、好きでもない男(しかも少年)に公然と胸を触らせるポルノで「児童ポルノ」に該当する撮影をしたのは放任し、そちらの責任を上層部が何らとっていない。

なぜ好きでもない男とのわいせつな画像を撮影して、それを公然と公衆の目に晒すようなことをAKBメンバーに「仕事」としてやらせて、犯罪行為の責任も取らない上層部が、メンバーが好きな男と密かにあうことは禁止し、降格処分を下すことができるのか、そのポリシーに合理性・正当性はまったくない。

彼女は、「自分の意思で丸刈りにした」と言っているが、あのような髪型になって、Youtubeの画像に出ること自体、秋元氏らがすべてのプロデュースをコントロールしていると言われるAKBでありうるのだろうか。

上層部の許可なくそのようなことが行えるとは到底思えない。

仮に強要したのでなくとも、Youtubeの画像が公開されることを黙認していることは明らかだろう。

あんな職場がもし身近にあったら、恐ろしい。あのような行動を容認している職場環境は、ほぼ例外なく、人権への配慮のないパワハラ的環境であろう。次に恋愛禁止を破った人も同じこと、もしくはもっと過激な謝罪をしないと許されないことになるだろう。

彼女は丸刈りになって「AKB48をやめたくない」とアピールしている。

丸刈りになって反省の決意を示さなければ、やめさせられてしまう、という認識があったからであろう。

結局、(謝罪のかいあってか)降格処分になったというが、そもそも、何度も言うけれど、恋愛禁止を理由に解雇や降格するのは人権侵害で違法である(こんなこと、真面目に議論するのがアホらしいほど当たり前の話)。

自ら丸刈りになって涙を流し、もっとも厳しい処分を回避してもらうために必死にならざるを得ない、圧倒的力関係の差のあるなか、末端の若い女性であるメンバーたちにそうした心理的強要をしている、そうした状況を作り出している組織上層部の社会的責任が問われる必要があると思う。

女子柔道の暴力、レイプの問題と、AKB48の問題、通底しているのは日本の男社会が若い女の子を本当に蔑視し、人権を軽視し、性を商品化し、虐げていること。いずれの報道をみても、暴力、パワハラ、性の搾取のオンパレードではないか。

女性たちが本当に虐げられているので悲しくなる。

スポーツ、エンターテイメントという若い人たちが最も注目し、影響を受ける分野で、女性たちが無力な状況に置かれ、それが社会に見せつけられているのが悲しい。

業界の方々にはよーく考えてほしい。

伊藤 和子

弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長

1994年に弁護士登録。女性、子どもの権利、えん罪事件など、人権問題に関わって活動。米国留学後の2006年、国境を越えて世界の人権問題に取り組む日本発の国際人権NGO・ヒューマンライツ・ナウを立ち上げ、事務局長として国内外で現在進行形の人権侵害の解決を求めて活動中。同時に、弁護士として、女性をはじめ、権利の実現を求める市民の法的問題の解決のために日々活動している。ミモザの森法律事務所(東京)代表。

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