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甘酸っぱい日常でいこう!

岩佐大輝起業家/サーファー

最近はドキドキ、ワクワク、つまり「甘酸っぱい」感覚を最も大切にしている。何か重要な判断を迫られた場合にはそれが「甘酸っぱいか?」で決める。甘酸っぱいとは、人生の初デートで最初に手をつなぐ瞬間、手と手が触れるか触れないか、ギリギリの瞬間、あの感覚のことだ。ちなみにエロじゃない。エロとは全然違う。まあ、この感覚を言葉で説明するのはとっても難しいのだけど、とにかくドキドキ、ワクワクのこと。大切なのは仕事でも遊びでも家庭でもあらゆる場所に甘酸っぱさを創りだせるかだ。

甘酸っぱさは強いソワソワ感をともなって、僕らの潜在能力を究極的なレベルまで引き出してくれる。甘酸っぱくない人の多くは残念ながら潜在能力の25%くらいしか使えていない。甘酸っぱいモードに入ると潜在能力の100%近くまで発揮できる。だから、甘酸っぱいスイッチをいつでもオンに出来る力を身に着けておければ、同じことをよーいドンでスタートしたらほとんどの場合、誰にも負けないスピードで突っ走ることができる。仕事でも遊びでも。人生を豊かにするものを一つだけあげよと言われたら、間違いなく甘酸っぱさと答える。甘酸っぱさこそすべてだ。

じゃあどうやったら甘酸っぱくなれるか?たった四つのコツがある。これを意識すれば誰でも甘酸っぱくなれる。

一.迷ったらすぐにやる「実行実現」

二.全速力で突っ走る「電光石火」

三.多くの仲間と共にやる「価値共創」

四.人や社会の役に立つことをやる「自利利他」

これを続けると、あっという間に甘酸っぱくなれる。

甘酸っぱい人のところには、人がたくさん集まってくる。しかもなぜかイケてる人が集まってくる。ソワソワ感でいっぱいになる。そしていつの間にか彼ら彼女らが甘酸っぱくなり、次第にその周りの人も甘酸っぱくなる。甘酸っぱい畑ができる。甘酸っぱい畑には出会いが沢山ある。それこそがイノベーションの源泉だ。

経営者やリーダーの一番の役割はイノベーションが起きやすい環境を創っておくこと。つまり甘酸っぱい畑を耕しておくことだ。その為の努力はひとつも惜しんではならないのだが、そのためにまずは自分自身が甘酸っぱくなくてはならない。

甘酸っぱくなれるコツをもう一つ忘れていた。美味しいイチゴをとにかく食べまくること。24歳で起業したIT会社をひとに任せ、故郷の宮城県山元町に戻りイチゴ作りを始めてからもうすぐ三年になる。山元町のミガキイチゴはあっという間に日本で大ブレーク。東京の百貨店でひと粒1000円で売られるブランドになった。そしてミガキイチゴは海を越えてインドにも進出した。三年前、何もなかった場所にたくさんの人が集まってきて、新しいものが次々と創造されている。これはすべて甘酸っぱさのパワーだ。

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※このエッセイは一般財団法人経済産業調査会の会報『リーチレター』(2014年9月号)に掲載されています。

起業家/サーファー

1977年、宮城県山元町生まれ。2002年、大学在学中にIT起業。2011年の東日本大震災後は、壊滅的な被害を受けた故郷山元町の復興を目的にGRAを設立。アグリテックを軸とした「地方の再創造」をライフワークとするようになる。農業ビジネスに構造変革を起こし、ひと粒1000円の「ミガキイチゴ」を生み出す。 著書に『99%の絶望の中に「1%のチャンス」は実る』(ダイヤモンド社)、『絶対にギブアップしたくない人のための成功する農業』(朝日新聞出版)などがある。人生のテーマは「旅するように暮らそう」。趣味はサーフィンとキックボクシング。

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